歯茎がかゆい・ムズムズする原因は?対策方法を現役歯科医師が解説
- 山浦 泰明

- 3月3日
- 読了時間: 11分

「歯茎がムズムズする」「なんだかかゆい感じがする」こうした違和感を経験したことはありませんか?
痛みではないため、つい我慢してしまいがちな歯茎のかゆみですが、実はお口の中からの重要なサインかもしれません。
厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査によると、15歳以上の約47.9%の方に歯周病の兆候が認められています。
歯茎のかゆみは、こうした歯周病をはじめとする口腔トラブルの初期症状として現れることが多く、放置すると深刻な問題へと発展する可能性があります。
この記事では、歯茎がかゆくなる原因から具体的な対策方法まで、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が、現役歯科医師の視点から詳しく解説していきます。
歯茎がかゆい・ムズムズする7つの主な原因
歯茎のかゆみには、さまざまな原因が考えられます。
歯周病(最も多い原因)
歯茎のかゆみのような違和感の原因として最も多いのが歯周病です。
歯周病は、歯と歯茎の間に細菌が入り込むことで炎症を起こす病気で、初期段階では歯茎のムズムズとしたかゆみのような違和感として現れることがあります。
歯周病が進行すると、歯茎の腫れや出血、口臭、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあるため、早期の発見と治療が重要です。
かゆみのような違和感を感じる段階は、まだ初期であることが多いため、この時点で適切なケアを始めれば、進行を食い止めることができます。
令和5年の患者調査では、歯周病で治療を受けている方は1,135万人以上にのぼり、誰もがかかる可能性のある身近な病気といえます。
虫歯の進行
虫歯というと「痛み」をイメージする方が多いですが、実は初期段階では歯肉のかゆみのよな違和感として感じることもあります。
これは虫歯が進行して歯と歯の隣り合ったところに穴が開くと、そこに食べ物が詰まり、隙間の歯茎が炎症を起こしてムズムズとした違和感を覚えるケースになります。
さらに、虫歯が神経にまで達すると歯髄炎という状態になり、それが原因で根の先に炎症が起きる根尖性歯周炎になると、歯が浮くような感じやムズムズ感が生じることがあります。
親知らずの問題(智歯周囲炎)
10代後半から20代前半にかけて生えてくる親知らずも、歯茎のかゆみのような違和感の原因となります。
親知らずが生えてくる過程で、歯茎にムズムズとしたかゆみを感じることがあり、特に親知らずは奥歯のため歯ブラシが届きにくく、不衛生になりやすい場所です。
斜めや横向きに生えたり、一部だけしか顔を出していない状態では、汚れがたまりやすく、細菌が繁殖して歯茎に炎症を起こす「智歯周囲炎」になることがあります。
この場合、かゆみのような違和感だけでなく痛みや腫れも伴うことがあります。
アレルギー反応
歯磨き粉やマウスウォッシュに含まれる成分、または特定の食べ物に対するアレルギー反応として、歯茎がかゆくなるような違和感を感じることがあります。
特に香料や保存料が多く含まれた製品を使用している場合、敏感な歯茎に刺激を与え、軽い炎症やムズムズ感が発生することがあります。
また、果物や野菜などを食べた後に口の中がかゆくなる「口腔アレルギー症候群」という症状もあります。
花粉症をお持ちの方に起こりやすく、特定の食品を食べることで歯茎を含む口の中全体にかゆみを感じることがあります。
ドライマウス(口腔乾燥)
口の中が乾燥すると、唾液の分泌が不足し、歯茎が刺激を受けやすくなります。
その結果、歯茎にムズムズ感や違和感が生じることがあります。
ドライマウスは、特定の薬の副作用、ストレス、加齢などによって引き起こされることが多く、現代人に増えている症状のひとつです。
唾液には、口の中を洗浄したり、細菌の繁殖を抑えたりする重要な役割があり、唾液の量が減ると、細菌が増殖しやすくなり、歯茎のトラブルが起こりやすい環境になってしまいます。
ストレスや疲労の蓄積
風邪やインフルエンザなどの体調不良時に歯茎がかゆくなる経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ストレスや疲労は、免疫力の低下や神経の乱れを引き起こし、歯茎のかゆみのような違和感の原因となることがあります。
ストレスがかかると、無意識のうちに歯ぎしりや食いしばりを行うことがあり、その結果、歯茎に強い圧力がかかってムズムズ感を引き起こします。
また、体調不良や免疫力の低下によって、口内の免疫機能が弱まり、歯茎が炎症を起こしやすくなります。
ホルモンバランスの変化
妊娠中や生理中、更年期などの時期には、女性ホルモンの変化が歯茎に影響を与え、ムズムズ感や違和感を引き起こすことがあります。
特に妊娠中は、ホルモンの影響で歯茎が炎症を起こしやすくなり、「妊娠性歯肉炎」と呼ばれる状態になることがあります。
ホルモンバランスの変化による一時的な症状であっても、放置すると悪化する可能性があるため、注意が必要です。
歯茎がかゆいときに絶対してはいけないこと
歯茎がかゆいと、つい気になって触ってしまいがちですが、間違った対処法は症状を悪化させる可能性があります。
ここでは、歯茎がかゆいときにやってはいけないことをご紹介します。
指や爪で直接かく
どんなにかゆくても、指や爪で直接歯茎をかくのは絶対に避けてください。
指には様々な細菌が付着しており、指や爪で歯茎を傷つけてしまうと、そこから細菌が侵入し、さらに症状が悪化する可能性があります。
デリケートな状態の歯茎は、わずかな刺激でも傷つきやすくなっています。
「かゆみ」が「痛み」に変わってしまわないよう、直接触ることは控えましょう。
硬い歯ブラシで強く磨く
かゆみがあるからといって、硬い歯ブラシでゴシゴシと強く磨くのもNGです。
強い力でのブラッシングは、歯茎を傷つけ、かえって炎症を悪化させてしまいます。
炎症が起きている歯茎は敏感になっているため、通常よりも優しいケアが必要です。
過度な歯磨きは、歯茎が下がってしまう原因にもなりますので、適切な力加減での丁寧なブラッシングを心がけましょう。
つまようじでつつく
つまようじで歯茎をつついたり、歯と歯茎の間を刺激したりすることも避けてください。
つまようじの先端は鋭く、デリケートな歯茎を簡単に傷つけてしまいます。
また、不適切な使い方は歯茎を下げる原因にもなります。
歯と歯の間の汚れを取りたい場合は、つまようじではなく、歯間ブラシやデンタルフロスを正しく使用することをおすすめします。
放置する
「たかがかゆみだから」と放置することも危険です。
歯茎のかゆみのような違和感は、多くの場合、何らかの口腔トラブルの初期症状で、放置すると歯周病や虫歯が進行し、最悪の場合、歯を失うことにもつながります。
かゆみが続く場合や、他の症状(出血、腫れ、痛みなど)を伴う場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
歯茎のかゆみへの対処法
歯茎がかゆいときの適切な対処法を知っておくことで、症状の悪化を防ぎ、快適に過ごすことができます。
ここでは応急処置から専門的な治療まで、段階的に解説します。
応急処置としてできること
歯茎がかゆくなったときの応急処置として、まずうがいが効果的です。
細菌感染が原因で起きていることが多いため、うがい薬を使用して口の中を清潔に保つことで、細菌の活動を抑え、かゆみを軽減できる可能性があります。
水でのうがいでも、口の中の食べかすや細菌を洗い流す効果があります。
また、十分な休息をとり、免疫力を高め、疲労やストレスを軽減することも大切です。
免疫力が低下していると、口腔内のトラブルが起こりやすくなるため、体調管理も重要な対策のひとつとなります。
適切なセルフケアの方法
日常的なセルフケアとして、まず正しいブラッシングを実践しましょう。
歯と歯茎の境目を意識して、優しく丁寧に磨くことが重要です。
歯ブラシは柔らかめのものを選び、小刻みに動かしながら、一本一本の歯を磨くイメージで行います。
歯間ブラシやデンタルフロスの使用も欠かせません。
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に取り除くことができないため、これらの補助的な清掃用具を併用することで、より効果的なプラークコントロールが可能になります。
アレルギーが疑われる場合は、歯磨き粉やマウスウォッシュを低刺激なものに変更してみましょう。
また、香辛料の強い食べ物やアルコールなど、口腔粘膜を刺激するものを控えることも効果的です。
ドライマウスが原因の場合は、こまめな水分補給を心がけ、唾液の分泌を促すためにガムを噛むことも有効です。
ただし、砂糖入りのガムは虫歯の原因になるため、キシリトール入りのものを選びましょう。
歯科医院での専門的な治療
症状が出た場合は、なるべく早く歯科医院で検査をしてもらいましょう。
歯周病が原因の場合、歯石除去やスケーリング、ルートプレーニングといった治療を行います。
これらは、歯や歯茎に付着した歯石や細菌の塊を専用の器具で取り除く処置です。
虫歯が原因であれば、虫歯の治療を行います。
親知らずによる智歯周囲炎が原因の場合は、抗生物質の投与や消炎処置を行い、状況によっては抜歯が推奨されることもあります。
親知らずの状態や生え方によって、最適な治療法は異なるため、歯科医師とよく相談することが大切です。
アレルギーが疑われる場合は、アレルギー検査を行うこともあります。
原因物質を特定することで、適切な対策を立てることができます。

歯茎のかゆみのような違和感を予防する方法
歯茎のかゆみのような違和感を予防するには、日々の適切なケアと生活習慣の見直しが重要です。
ここでは、効果的な予防方法をご紹介します。
正しい歯磨きの習慣
歯周病や虫歯を予防する基本は、毎日の正しい歯磨きです。
理想的なブラッシングの回数は、朝食後、昼食後、就寝前の1日3回ですが、最低でも朝晩2回は必ず行いましょう。
ブラッシングの際は、歯ブラシを歯に対して45度の角度で当て、歯と歯茎の境目を意識しながら小刻みに動かします。
1箇所につき20回程度、優しく丁寧に磨くことがポイントです。力を入れすぎず、毛先が広がらない程度の力加減を心がけてください。
毛先が開いた歯ブラシでは、十分な清掃効果が得られませんので、歯ブラシは毛先が開いてきたら早めに交換しましょう。
また、自分の口に合ったサイズの歯ブラシを選ぶことも大切です。
歯磨き粉は、フッ素入りのものを使用することで、虫歯予防効果が高まります。研磨剤が多く含まれているものは、歯茎を傷つける可能性があり、また歯にもよくないので避けるようにしましょう。
定期的な歯科検診
セルフケアだけでは取り除けない歯石や、自分では気づきにくい初期の虫歯や歯周病を発見するためには、定期的な歯科検診が欠かせません。
理想的には3〜6ヶ月に一度、歯科医院でのプロフェッショナルケアを受けることをおすすめします。
歯科検診では、歯や歯茎の状態をチェックし、必要に応じて歯石除去やクリーニング(PMTC)を行います。
また、正しいブラッシング方法の指導を受けることで、日々のセルフケアの質も向上します。
早期発見・早期治療は、治療期間の短縮や費用の軽減にもつながります。
症状が出てから受診するのではなく、予防のための定期検診を習慣化しましょう。
生活習慣の改善
口腔内の健康は、全身の健康と密接に関係しています。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動など、健康的な生活習慣を心がけることが、歯茎のトラブル予防にもつながります。
喫煙は歯周病の大きなリスク要因です。
タバコは歯茎の血流を悪くし、免疫力を低下させるため、歯周病にかかりやすく、治りにくくなります。
禁煙は口腔内の健康だけでなく、全身の健康のためにも重要です。
また、ストレスも免疫力を低下させ、歯ぎしりや食いしばりの原因にもなりますので、ストレスをためないことも大切です。
適度な運動やリラックスできる時間を持つなど、ストレス解消法を見つけましょう。
そして、糖分の過剰摂取も避けるべきです。
甘い食べ物や飲み物は、虫歯菌のエサとなり、虫歯や歯周病のリスクを高めます。間食の回数を減らし、食後は歯を磨く習慣をつけましょう。
こんな症状があれば早めに歯科医院へ
歯茎のかゆみに加えて、以下のような症状がある場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することをおすすめします。
歯茎からの出血が頻繁にある
歯茎が赤く腫れている
歯茎が下がってきた
歯がグラグラする
口臭が気になる
冷たいものや熱いものがしみる
噛むと痛みがある
かゆみのような違和感が1週間以上続いている
かゆみ、違和感が次第に強くなっている
これらの症状は、歯周病や虫歯が進行しているサインかもしれません。
歯茎でお悩みの方は山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
歯茎のかゆみのような違和感やムズムズ感は、多くの場合、歯周病や虫歯などの口腔トラブルの初期サインです。
痛みではないため軽視されがちですが、放置すると深刻な問題へと発展する可能性がありますが、適切なセルフケアと定期的な歯科検診により、多くの口腔トラブルは予防できます。
山浦歯科医院では、歯茎のかゆみのような違和感をはじめとする様々な口腔トラブルに対応しております。
山梨県甲府市で歯科医院をお探しの方、お口の健康について気になることがある方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」の結果
厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周疾患の有病状況」
日本生活習慣病予防協会「令和5年(2023) 患者調査の概況」
厚生労働省「医療広告ガイドライン」




