
インプラント治療
Dental-Implant
インプラント治療は、歯を失った部分に人工の歯根(チタン製)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
この方法の大きな特徴は、「見た目が自然で審美的に優れている」「噛む力が天然の歯に近く、機能的にも優れている」という点です。
従来のブリッジや入れ歯と異なり、周囲の健康な歯を削らずに単独で機能できるため、咀嚼(そしゃく)・発音・見た目すべての面で自然な感覚を取り戻すことができます。
インプラント治療とは?
インプラント治療の始まりは、スウェーデンのペル・イングヴァール・ブローネマルク博士が「オッセオインテグレーション(骨とインプラントが直接結合する現象)」を発見し、それを応用して世界で初めてインプラント治療に成功したことにあります。
この成果をきっかけに1970〜1980年代にかけてインプラント治療が世界中に広まり、現代のインプラント技術の基盤が築かれました。
インプラント治療の歴史
現代のインプラント治療
1980〜1990年代になると、歯の根に近い形状の「スクリュータイプ」インプラントが開発され、
より安定性と審美性を高めるための改良が進みました。
具体的には、
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インプラントとアバットメント(支台部)をしっかり接続する構造
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チタン表面の改良による骨結合の安定化
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内部接続型やコニカルコネクションなどの新技術の導入
といった進化が起こり、1990年代以降はアメリカ・ヨーロッパを中心に世界中で普及し、現在では日本でも標準的な治療法として広く認知されています。
このようにして、インプラント治療は半世紀以上の研究と技術革新を経て、見た目・機能・耐久性のすべてを兼ね備えた治療法へと発展しました。
インプラントの仕組み・構造
インプラントは、以下の3つで構成されています。

①インプラント体(フィクスチャー)
顎の骨に埋め込まれる人工の歯根にあたる部分で、「フィクスチャー」や「インプラント体」とも呼ばれます。
主にチタンやジルコニアといった生体親和性の高い素材で作られており、アレルギー反応が起きにくく、骨と強く結合する性質があります。
この部分が骨としっかり結合することで、上部の人工歯を安定して支えることができます。
②支台部(アバットメント)
インプラント体と人工歯をつなぐ中間パーツです。
こちらもチタンやジルコニアで作られ、強度・耐久性・生体適合性に優れています。
インプラント体の上に装着され、人工歯(被せ物)をしっかり固定します。
③人工歯(上部構造)
アバットメントの上に取り付けられる見える部分の歯です。
素材にはセラミックやジルコ ニアが多く使われ、噛み合わせ・見た目・周囲の歯との調和を考慮して、患者様ごとにオーダーメイドで作製します。
インプラント・入れ歯・ブリッジの違い

部分入れ歯

インプラント

ブリッジ
※個々の症例や患者様の状態によって異なる場合があります。
インプラントのメリット・デメリット
メリット
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天然の歯に近い噛み心地と見た目を再現できる
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健康な歯を削る必要がない(単独で機能)
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適切なメンテナンスで長期的に使用可能
デメリット
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保険が効かないため費用が高い
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治療期間が長い(数ヶ月〜半年程度)
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骨量が足りない場合、骨造成など追加処置が必要
入れ歯のメリット・デメリット
メリット
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比較的安価で短期間で作製可能
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手術不要で、広範囲の欠損にも対応可能
デメリット
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噛む力が弱く、発音や会話がしづらい場合がある
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着脱・洗浄など日常的なケアが必要
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使用中にズレる・違和感を感じやすい
ブリッジのメリット・デメリット
メリット
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短期間で治療が完了する
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手術不要で、保険が適用されやすい
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入れ歯より強く噛める
デメリット
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隣の健康な歯を大きく削る必要がある
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土台の歯への負担が大きく、虫歯や歯周病リスクが上昇
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土台に問題が起きた場合は、全体を再治療する必要がある
山浦歯科医院のインプラント治療の特徴
山浦歯科医院では、低侵襲(体への負担が少ない)かつ高精度な手術のため に、先進の機器とシステムを導入しています。
シンプラント(Simplant)
「シンプラント」は、CTスキャンの画像データをもとに3Dシミュレーションを行い、インプラントを正確な位置・角度・深さに埋入できるようサポ ートするシステムです。
この技術は「コンピューターガイデッドサージェリー(Computer-Guided Surgery)」と呼ばれ、神経や血管などの重要な構造を避けながら、安全かつ精密な手術を可能にします。
県内でも導入している歯科医院はまだ少ないですが、シンプラントを用いることで難しい症例でも成功率が高まり、より多くの患者様にインプラント治療の選択肢を提供できるようになります。

ピエゾサージェリー(Piezosurgery)
「ピエゾサージェリー」は、超音波振動を利用して骨だけを選択的に削る技術です。
従来のドリルとは異なり、軟らかい組織(歯肉・血管・神経など)を傷つけずに骨を整形できるため、より安全で体への負担が少ない手術が可能です。
この技術により、出血や腫れを抑えながら、繊細な処置を正確に行うことができます。

マイクロサージェリー(Micro Surgery)
「マイクロサージェリー」は、手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使って拡大視野のもとで行う精密手術です。
肉眼では見えない細かい部分まで確認しながら処置できるため、
インプラントを埋め込む位置や周囲の組織をより丁寧に扱うことができます。
これにより、組織へのダメージを最小限に抑え、手術の精度と成功率を高めることが可能です。
インプラント10年保証の保険制度
山浦歯科医院では、ガイドデント社のインプラント10年保証の保険制度を導入しています。
インプラントを埋め入れた日から保証がスタートし、保証期間中に万が一、インプラントの脱落や破損が生じた場合でも、所定の条件を満たしていれば、インプラント1本につき、上部構造100,000円まで、インプラント体200,000円までを上限に、無償で再治療を受けることが可能です。
また、転居などで通院先が変わった場合も、全国のガイドデント認定歯科医療機関で同様の保証サービスを受けられるため、長期にわたり安心してインプラントをご使用いただけます。
山浦歯科医院のインプラント治療の流れ
インプラント治療は、手術の計画から始まり、最終的に上部構造が入るまで丁寧かつ慎重に進めていきます。
①診査
まず初めに、CTスキャンを用いて顎の骨の厚みや密度、神経や血管の位置を詳細に確認します。
また、患者様の全身状態や既往歴、口腔内の噛み合わせ、歯並びなどを総合的に評価し、インプラント治療が安全に行えるかどうかを判断します。
当院ではさらに、「シンプラント(Simplant)」という3Dシミュレーションソフトを使用し、CTデータをもとに精密な治療計画を立てています。
これにより、インプラントを埋め込む位置・角度・深さを事前に可視化し、より安全で精度の高い手術を実現しています。
②骨造成手術(※必要な場合)
インプラントを埋め込む部分の骨の量が不足している場合は、骨造成手術を行います。
この処置は、骨を増やすことでインプラントをしっかり固定できる土台を作るものです。
方法としては、骨が不足している部分に人工骨や自家骨(自分の骨)を移植し、骨の再生を促す「GBR法(骨誘導再生法)」や、上顎の奥歯部分で行う「ソケットリフト」や「サイナスリフト」など、症例に合わせて最適な方法を選択します。
骨造成は、インプラント埋入と同時に行う場合と、事前に行ってから一定期間おいて埋入する場合があります。
③1次手術(埋入手術)
一次手術では、顎の骨に小さな穴(直径3〜4mm程度)を開け、インプラント体(人工歯根)を慎重に埋め込みます。
手術時間はおよそ30〜60分程度で、局所麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。
実際には、手術中に寝てしまう患者様も多く、リラックスして受けていただけます。
また、当院では手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を用いた低侵襲手術を行っており、切開を最小限に抑えることで、術後の腫れや痛みをほとんど感じないのが特徴です。
手術後は、数ヶ月かけてインプラント体が骨としっかり結合(オッセオインテグレーション)するのを待ちます。
④二次手術(ヒーリングアバットメント取付)
インプラントが骨と安定して結合した後、再び歯肉の一部を小さく開き、ヒーリングアバットメント(治癒用アバットメント)を装着します。
この部品は、歯肉の形を整え、最終的な人工歯(上部構造)を装着する準備を整えるためのものです。
手術は30分程度で終わり、局所麻酔下で行うため痛みはほとんどありません。
⑤印象(型とり)
歯肉がきれいに治癒した後、人工歯を製作するために精密な型取り(印象)を行います。
この型をもとに、患者様の噛み合わせや歯並び、周囲の歯とのバランスを再現した模型を作製し、見た目や機能性に優れた人工歯(上部構造)を製作します。
⑥上部構造(被せ物)の装着
完成した人工歯をアバットメントの上に装着し、噛み合わせ・審美性・適合状態を細かくチェックします。
必要に応じて微調整を行い、違和感や噛みづらさがないことを確認してから本固定を行います。
装着後は、歯科衛生士がご自宅でのセルフケア方法(歯ブラシ・フロス・インターデンタルブラシの使い方など)を丁寧にご説明します。
⑦定期的なメインテナンス・予防歯科
インプラント治療後は、インプラント周囲の歯肉や噛み合わせの状態を定期的にチェックし、歯科衛生士によるクリーニングやブラッシング指導を行います。
山浦歯科医院では、歯科衛生士全員が手術用顕微鏡を使用してメインテナンスを行います。
肉眼では見えない細部まで確認しながら清掃(PMTC)することで、インプラントだけでなく天然歯も含めた口腔全体を長期的に健康に保ちます。
山浦歯科医院のインプラント症例
※本症例は一例であり、治療結果・期間・費用は個人差があります。
詳細は診察時にご説明いたします。
60代女性の根管治療&インプラント治療

Before

After
来院時の状態
前歯のブリッジ治療の繰り返しのトラブルにより、上顎の前歯3本を失った状態で来院。
来院理由
「もうブリッジにはしたくない」、「健康な歯をできるだけ削らず残したい」とのこと。
治療内容
欠損部位のインプラント治療と、向かって右に見える褐色に変色した歯を精密根管治療から被せ物まで、審美的な バランスをとりながら治療。
治療後の状態
初来院は2019年。手術を同年に行い、現在2025年も経過は良好。
40代男性・大臼歯部のインプラント治療

Before

After
来院時の状態
ブリッジの 支えになっている右下第二大臼歯が、歯根破折のため保存不可能となり抜歯。
来院理由
「右下のブリッジのところが痛むため来院
治療内容
保存不可能なブリッジの支えになっている右下第二大臼歯を抜歯。
手前の支えの歯はそのまま保存し、第一大臼歯部および第二大臼歯部にインプラント治療を行った。
治療後の状態
術後10年後も経過は良好。
プラットフォームの上に骨が盛るような良い状態を維持。
インプラント治療の費用
インプラント1本あたりの総額
チタンアバットメント&PFM
(金属焼き付けセラミック)
528,000円
ジルコニアアバットメント
&オールセラミッククラウン
572,000円
※インプラント治療を安心して受診していただけるよう、データ解析・診断・ガイド製作・手術から最終的に白いセラミックを被せて仕上げるまでの総額です。
※ほとんどの症例がこの金額で処置できますが、骨を増やす必要がある場合のみ、コンサルテーション時に相談させていただきます。
インプラントに伴う骨を増やす処置
GBR(骨造成)
110,000円+骨補填材材料代
ソケットリフト
110,000円+骨補填材材料代
サイナスリフト
330,000円+骨補填材材料代
※上記以外でも、治療する歯の状態によって治療方法や材料に他の選択がある場合もありますので、その場合は相談させていただいております。
山浦歯科医院で対応している主なインプラントメーカー
よくある質問
インプラント治療への思い

院長 山浦 泰明
Yasuaki Yamaura
山浦歯科医院では、インプラント治療を「失った歯を補うための手術」ではなく、人生の質を取り戻すための医療と考えています。
一人ひとりの患者様に最適な治療計画を立て、精密な診断・安全な手術・丁寧なメインテナンスを通じて、長く安心して噛める口腔環境を提供します。
治療後の生活まで見据え、「治して終わり」ではなく「健康を守り続ける歯科医療」を実践しています。
当院の歯周治療関連実績
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米国で開催されたAMED(アメリカ顕微鏡歯科学会)にて『マイクロスコープの歯周治療への応用』について発表
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米国コロンビア大学にて『マイクロスコープ下で行う歯周治療』について発表
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他国内学会にて歯周治療・歯内療法(根管治療)について多数発表
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2013年から手用用顕微鏡の講演依頼をいただき、手術用顕微下で行う歯周治療について多数講演
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2022年歯科書籍『日本の新分類にも対応!「歯周病の新分類』読本』にて『インプラント周囲疾患とその状態の分類』について執筆
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AAP(アメリカ歯周病学会)ボード認定専門医(歯周病治療・インプラント治療専門医)」辻翔太先生主催『米国歯周病専門医プログラム』受講
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日本顕微鏡歯科学会会員
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日本歯周病学会会員
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日本臨床歯周病学会会員