インプラント治療
Dental-Implant
インプラント治療とは?
インプラント治療は、顎の骨にチタンの部品(人工歯根)を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。
この治療法の大きな利点は、審美性(見た目)と機能の両面で自然な歯に近い状態を再現できることです。
従来のブリッジや入れ歯と比較して噛み心地が天然の歯に近く、周囲の健康な歯を傷つけることなく、単独で機能し、見た目や発音、咀嚼機能を改善する効果があります。
ただし、インプラント治療を受けるには適切な骨量が必要であり、診査、手術、仮歯の調整、最終的な被せ物の装着など、治療は数ヶ月におよぶため、複数回の通院が必要となります。
インプラントの仕組み・構造
インプラントは、三つの部分から構成されています。
インプラント体(人工歯根/フィクスチャー)
インプラント体は、顎の骨に直接埋め込む土台にあたる部分で、人工歯根やフィクスチャーと呼ばれます。
主にチタンやジルコニアなどの生体親和性の高い素材で作られているため、アレルギー反応を引き起こすリスクが極めて低いほか、時間の経過とともに周囲の骨組織と強固に結合する性質があるため、安定性が高いのも特徴です。
この部分がしっかりと骨と結合することで、後の人工歯の装着が可能になります。
手術時には、ドリルで顎骨に適切な穴を開け、そこにインプラント体を埋入します。
支台部(アバットメント)
支台部(アバットメント)は、土台であるインプラント体と上部の人工歯を接続する中間部分にあたるパーツです。
こちらも主にチタンやジルコニアで作られており、強度と生体親和性に優れています。
人工歯(上部構造)
人工歯(上部構造)は、アバットメントの上に装着される被せ物の歯のことです。
主にセラミック、ジルコニアなどで作られており、噛み合わせ、強度、周りの歯とのバランス、色味などを考慮しながら、個別にカスタマイズします。
インプラント部品の中でも、この部分が唯一口を開いた時に外から見える部分であり、機能性はもちろん、見た目にも影響があるため、慎重に選ぶことが重要です。
インプラント・入れ歯・ブリッジの違い
※個々の症例や患者様の状態によって異なる場合があります。
インプラントのメリット・デメリット
インプラントのメリットは、天然の歯に近い見た目と機能を維持できる点です。
高い安定性と天然の歯に近い噛む力があり、周囲の健康な歯を削る必要なく単独で機能します。
見た目も一番自然な歯に近く、メインテナンスをしっかり行うことで、長期間にわたって機能の維持が可能で、骨の萎縮を防ぐ効果も期待できます。
一方で、デメリットとしては、保険適用外のため治療費用が高額なこと、そして、治療期間も数ヶ月から半年と長く、骨量が不足している場合は追加の処置が必要となることがあるという点です。
入れ歯のメリット・デメリット
入れ歯のメリットは、比較的安価かつ短期間で治療を完了できる点です。
入れ歯は手術不要で簡単に作製できるため、手軽に歯の機能と見た目を回復することができるほか、広範囲の歯の欠損にも対応可能で、調整や修理も容易です。
しかしその一方、入れ歯は安定性や噛む力が弱く、噛む力が制限されることがあり、硬い食べ物を食べるのが難しくなることがあります。
また、定期的な調整が必要で、毎日の着脱・洗浄が必要な点もデメリットです。
ブリッジのメリット・デメリット
ブリッジは、失った歯の両隣の歯を支えにして人工歯を固定する方法です。
ブリッジは、インプラントよりも短期間で治療を完了でき、比較的自然な見た目と機能を実現できます。
また、入れ歯よりも安定性があり、噛む力も強く、かつ手術が不要でありながら、保険適用のためインプラントと比べて費用を抑えられる傾向にあるというのもメリットです。
一方デメリットとしては、土台の歯にかかる負担が大きいため土台の歯に問題が起きる事が多く、また、ブリッジをするために健康な歯を削る必要があるのと、ブリッジ下の部分の清掃が難しくなってしまうため、土台の歯の虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
また、土台の歯に問題が生じた場合には、全体の再治療が必要になります。
山浦歯科医院のインプラント治療の流れ
診査
レントゲン撮影やCTスキャンを使用し顎骨の量と質を調べ、口腔内の状態、歯の位置や噛み合わせなどをみて総合的に評価します。
また、患者様の全身の健康状態や既往歴も確認し、インプラント治療が安全に行えるかどうかを判断します
この診査に基づき、最適な治療計画を立案し、患者様に治療の流れや予想される結果をご説明します。
骨造成手術(必要な場合)
インプラントを埋入する部位の骨の量が少ない場合は、事前に骨造成手術を行います。
骨量不足と診断された患者様も、骨造成手術を行うことで安全にインプラントの埋入が可能です。
骨造成手術はインプラント埋入と同時に行う場合と、インプラント埋入前に行う場合があります。
GBR(骨誘導再生法)
GBR法(Guided Bone Regeneration:骨誘導再生法)は、インプラント埋入において骨の厚みや高さが不足している場合に用いられる骨増大方法です。
この方法では、骨が不足している部分に人工の骨補填材、または他部位から自分の骨を移植し、メンブレン(膜)でその周囲を覆うことで、骨の再生を促進します。
骨ができるまでには通常6ヶ月程度必要で、新たに骨ができた後にインプラント埋入を行います。
ソケットリフト
ソケットリフトは、上顎の奥歯の骨の高さが不足している場合や、骨が少ない場合に用いられる骨造成手術です。
専用の器具で上顎の奥歯の上にある上顎洞と呼ばれる副鼻腔の底部に穴を開け、上顎洞の粘膜(シュナイダー膜)を慎重に持ち上げた後、その空間に骨を移植、または骨補填材を充填します。
場合によってはインプラント体を同時に埋入することもあります。
サイナスリフト
サイナスリフトは、上顎のインプラント治療において、ソケットリフトよりもさらに骨の増大が必要な場合に用いられる骨造成手術です。
上顎臼歯部の骨を露出させた後、側方から上顎洞にアプローチし、シュナイダー膜を大きく持ち上げ、その空間に骨をまたは骨補填材を充填します。
その後は、切開した傷口を閉じて、6か月以上待ち、骨が出来た段階でインプラント埋入に移ります。
1次手術(埋入手術)
1次手術では、インプラント体を顎骨に埋め込む手術を行います。
局所麻酔下で行われ、歯肉を切開して骨を露出させた後、専用のドリルで穴を開けます。
その穴にインプラント体を慎重に埋入し、歯肉を縫合して手術を終えます。
手術時間は通常30分から1時間程度です。
術後は若干の腫れや痛みが生じることがありますが、数日で落ち着きます。
手術後は数ヶ月間、インプラント体が骨と結合するのを待ちます。
2次手術(ヒーリングアバットメント取付)
2次手術では、局所麻酔下で歯肉を切開し、埋入されたインプラント体を露出させ、その後、粘膜の形を整えるためにインプラント体にヒーリングアバットメント(治療用アバットメント)を取り付けます。
この手術は通常30分程度で終わり、1次手術に比べて侵襲性が低いため、術後の不快感も少なくなります。
歯肉の治癒を待ちつつ、最終的な人工歯の製作に向けた準備を進めていきます。
この時点で、暫定的な人工歯を装着することもあります。
印象(型とり)
粘膜治癒後、専用の印象部品を使用して、インプラントとその周囲の歯や歯肉の正確な型を取ります。
この型は、技工所に送られ、そこで患者様の口腔内の状態を再現した模型が作られ、患者様の歯並びや噛み合わせ、また審美的に合った上部構造を作製します。
上部構造(被せ物)の装着
最終的な人工歯(上部構造)をセットし、色合い、形状、噛み合わせなどを細かくチェックします。
必要に応じて微調整を行い、最終的に問題がないことを確認したら、専用のセメントや特殊なネジを使用して人工歯をフィクスチャーに固定します。
また、レントゲン撮影を行い、正しく装着されているかを確認します。
装着直後は違和感を感じることもありますが、通常は数日で自然な感覚になっていきます。
定期的なメインテナンス
インプラント治療後は、通常3〜6ヶ月ごとに定期検診を行い、インプラント周囲の歯肉の状態、噛み合わせの状態などを詳細にチェックしていきます。
また、その際は歯科衛生士による歯磨き指導等も行い、必要に応じて口腔内クリーニングでプラークや歯石も除去します。
インプラント治療後の注意点
メインテナンスが必須
インプラント治療後も定期的なメインテナンスは必須となります。
定期的なメインテナンスにより、インプラント周囲炎というインプラントの感染症を早期に発見・予防することができます。
もし問題が生じた場合でも、早期に対処することで深刻化を防ぐことができるので、メインテナンスは単なるチェックではなく、インプラントの寿命を延ばし、お口全体の健康を維持するための重要な処置となります。
インプラント周囲炎になることがある
歯が感染して起きる歯周病のように、インプラントが感染し周囲の軟組織に炎症が起き、インプラントを支えている骨が溶けてしまう「インプラント周囲炎」という病気があります。
主な原因は、歯周病同様プラーク(歯垢)や細菌の蓄積ですが、喫煙、糖尿病、不適切な咬合力なども影響を与える要因となります。
初期症状としては歯肉の腫れや発赤、出血などがあり、進行すると排膿や骨吸収が起こり、最悪の場合インプラントの脱落につながる可能性があります。
予防には、毎日の丁寧な歯磨きと、歯間ブラシやデンタルフロスの使用といったセルフケアと、定期的なメインテナンスでのクリーニングが重要です。
早期発見・早期治療が鍵となるため、少しでも異常を感じたら迅速に歯科医院に相談することが大切です。
インプラント治療の費用
インプラント1本あたりの総額
チタンアバットメント&PFM
(金属焼き付けセラミック)
528,000円
ジルコニアアバットメント
&オールセラミッククラウン
572,000円
インプラント治療を安心して受診していただけるよう、データ解析・診断・ガイド製作・手術から最終的に白いセラミックを被せて仕上げるまでの総額です。
ほとんどの症例がこの金額で処置できますが、骨を増やす必要がある場合のみ、コンサルテーション時に相談させていただきます。
インプラントに伴う骨を増やす処置
GBR(骨造成)
110,000円+骨補填材材料代
ソケットリフト
110,000円+骨補填材材料代
サイナスリフト
330,000円+骨補填材材料代
上記以外でも、治療する歯の状態によって治療方法や材料に他の選択がある場合もありますので、その場合は相談させていただいております。