根管治療は痛い?治療中・通院中の痛みの原因と対処法を現役の歯科医師が解説


「根管治療の途中なのに、思っていたより痛みが強くてつらい」と感じていないでしょうか。
歯の神経を扱う治療のため、施術中や通院の合間に痛みや違和感が出ること自体は珍しくありません。
痛いからと自己判断で通院をやめてしまうと、治療の途中で止まった歯の内部で細菌が増え、かえって症状が悪化することがあります。
本記事では、根管治療の治療中・通院中に痛みが出る原因、痛みが続く期間の目安、つらいときの対処法、何度治療しても痛みが引かないときの考え方まで、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が現役の歯科医師の視点でわかりやすく解説します。
なお、治療がすべて終わったあとも続く痛みについては、別の記事で扱っています。
いま治療を受けている最中で、痛みが気になる方は、ぜひ最後までお読みください。
根管治療そのものは痛いのか
根管治療そのものは、麻酔をして進めるため、強い痛みを感じにくい治療です。
痛みが出やすいのは、炎症が強くて麻酔が効きにくい場合や、器具が根の先に触れる場面に限られます。
麻酔が効いた状態で進める治療
神経がまだ生きている歯では、治療の最初に麻酔をして痛みを抑えます。
「めちゃくちゃ痛いのでは」と不安を持つ方は多いのですが、多くは麻酔が効いた状態で処置を受けられます。
どのくらい痛むかは、神経の状態や炎症の程度によって一人ひとり異なります。
強い痛みを我慢する必要はないので、つらいときはその場で伝えてください。
治療中の「ピピピ」という音の正体
根管治療中に聞こえる「ピピピ」という電子音は、根管長測定器という機器の音です。
根の長さを電気的に測り、器具が根の先に近づくと音で知らせる仕組みです。
音そのものは痛みとは関係がなく、器具を入れすぎないための目安として使われます。
機器の音に驚く方もいますが、痛みのサインではないので心配はいりません。
根管治療で痛みが出るタイミング
根管治療で感じる痛みは、治療前・施術中・通院の合間・被せ物を入れたあとで、原因も対処も変わります。
どの段階の痛みかを分けて考えると、様子を見てよいのか、受診したほうがよいのかの見当がつきやすくなります。
タイミング | よくある痛み | 主な原因 |
治療前 | 何もしなくてもズキズキする・眠れない | 神経の急性の炎症(歯髄炎) |
施術中 | 器具が触れたときに響く痛み | 根の先に器具や刺激が及ぶ |
通院の合間 | 仮蓋や噛んだときの痛み・違和感 | 内部の圧力の変化や一時的な炎症 |
被せ物のあと | 噛むと痛い・浮いた感じ | 噛み合わせや根の先の炎症 |
治療前の強い痛みは、まだ治療が始まっていない段階の痛みで、早めの受診で和らぐことが多いものです。
施術中に痛みが出る原因
施術中の痛みは、麻酔の効きにくさと、器具が根の先に触れる刺激が主な原因です。
強い炎症による麻酔の効きにくさ
強い炎症が起きている歯は、麻酔が効きにくくなることがあります。
炎症で組織が酸性に傾くと、麻酔薬の成分が働きにくくなるためです。
効きにくいときは、麻酔の量や種類を変えたり、時間をおいてから処置を進めたりします。
痛みが強いまま処置を続けないよう、その場で伝えてもらうことが大切です。
根の先に触れる器具の刺激
根管の中を清掃する細い器具を、リーマーやファイルといいます。
この器具が根の先の組織に触れると、ズキッと響く痛みを感じることがあります。
器具が届く範囲を正確に把握できると、この痛みは抑えやすくなります。
山浦歯科医院では、歯科用CTで根の長さや形をあらかじめ立体的に確認し、器具が根の先を越えないように処置を進めます。
神経を取ったあとに残る根の先の感覚
神経を取り除いたあとの通院では、麻酔を使わずに処置を進めることがあります。
痛みの元になる神経がすでに無いため、麻酔なしでも痛みを感じにくいからです。
ただ、根の先の周りには感覚が残っているため、麻酔をしないと痛むことがあります。
毎回強く痛むようであれば、麻酔を追加してもらうこともできます。
消毒や薬の入れ替えによる刺激
根管治療では、内部を消毒して薬を入れ替える通院を数回行います。
消毒液や薬剤の刺激で、処置のあとに一時的な痛みが出ることがあります。
また、細菌が減っていく過程で、一時的に症状が動くこともあります。
多くは数日でおさまりますが、回を追うごとに痛みが強くなる場合は注意が必要です。
通院の合間に痛みが出る原因
通院の合間は、仮の蓋(仮蓋)をした状態で過ごします。
この時期の痛みは、内部の圧力の変化や、噛む力による刺激が主な原因です。
仮蓋の内側で変わる圧力
治療中の歯には、細菌が入らないように仮蓋(かりぶた)をします。
仮蓋をした直後は、内部の圧力が変化して、鈍い痛みが出ることがあります。
薬の効果で炎症が落ち着くにつれ、痛みは和らいでいくのが一般的です。
強く噛むと仮蓋に力が集中するため、治療した歯で硬いものを噛むのは控えてください。
取れた・欠けた仮蓋からの刺激
仮蓋は一時的なものなので、硬いものを噛むと取れたり欠けたりすることがあります。
すき間ができると、そこから細菌や飲食物が入り、刺激で痛むことがあります。
取れたまま放置すると治療がやり直しになることもあるため、早めに歯科医院へ連絡してください。
すぐに受診できないときは、その歯で噛まないようにし、やさしく歯みがきを続けてください。
市販の接着剤などで自分でふさぐのは避けてください。
土台や被せ物の噛み合わせ
根の治療が終わると、土台を立てて被せ物を作る段階に進みます。
土台を入れるときの刺激や、被せ物の噛み合わせによって、一時的に痛みが出ることがあります。
噛み合わせが高いと、その歯だけに強い力がかかり、噛むと痛むことがあります。
噛んだときの当たりが気になるときは、調整で和らぐことが多いので相談してください。
痛みが続く期間の目安
施術のあとの一時的な痛みは、数日から長くても1週間ほどで和らいでいくのが一般的です。
日を追って強くなる場合や、2週間を過ぎても変わらない場合は、様子を見ずに相談してください。
痛みの出方 | 目安 |
処置の当日から数日、だんだん和らぐ | 一時的な反応のことが多い |
1週間ほどで落ち着く | 経過として範囲内のことが多い |
日を追って強くなる | 早めに受診 |
2週間以上続く・ぶり返す | 受診して原因を確認 |
顔の腫れや発熱をともなう | その日のうちに受診 |
痛みの感じ方には個人差があり、根の形や炎症の程度によっても変わります。
数字はあくまで目安として、痛みが和らぐ方向か、強まる方向かを手がかりにしてください。
激痛で眠れない・痛み止めが効かないときの対処法
強い痛みで眠れないときは、まず市販の痛み止めで痛みを抑えつつ、できるだけ早く歯科医院に連絡してください。
痛み止めは痛みを一時的に抑えるもので、原因そのものを治すわけではありません。
自宅でできる応急処置
用法・用量を守って、市販の痛み止めを使ってください。
頬の外側を冷たいタオルなどでやさしく冷やすと、痛みが和らぐことがあります。
無理に動き回らず、体を休めて安静にしてください。
治療した歯では噛まないようにし、反対側で食事をとってください。
かえって痛みを強めてしまう行動
入浴・飲酒・激しい運動は、血のめぐりがよくなって痛みが強まることがあるため控えてください。
痛む部分を舌や指で触ったり、強くうがいをしたりするのも避けてください。
温めると炎症が悪化することがあるので、痛いときは冷やすほうが無難です。
そして、自己判断で通院をやめないでください。
治療が途中で止まった歯は、細菌が増えて悪化しやすくなります。
その日のうちに受診すべきサイン
痛みや腫れの広がり方によって、受診を急ぐべき度合いは変わります。
症状 | 受診の目安 |
顔やあごまで腫れている・発熱がある・口が開けにくい | その日のうちに受診 |
眠れないほどの痛みがある・痛み止めが効かない | その日のうちに受診 |
仮蓋が取れた・大きく欠けた | できるだけ早く連絡 |
噛むと痛い状態が2週間以上続く | 数日以内に受診 |
通院のたびに痛みが強くなっている | 次回を待たず相談 |
迷ったときは、痛みや腫れが日を追って強くなっているかどうかを目安にしてください。
顔の腫れや発熱をともなうときは、感染が広がっているおそれがあるため、早急な対応が必要です。
何度治療しても痛みが引かないとき
通院を重ねても痛みが引かない場合、根管の中に細菌が残っている、根にひびが入っている、あるいは痛みの原因が別にあることが考えられます。
このようなときは、原因を確かめたうえで、治療方針を見直す必要があります。
根管に残った細菌による炎症
根管は細く枝分かれしていて、肉眼ですべてを見通すことはできません。
見つけられなかった根管に細菌が残っていると、炎症が続いて痛みの原因になります。
特に奥歯は根の数が多く形も複雑なため、取り残しが起こりやすくなります。
もろくなった歯根のひび割れ
神経を取った歯は水分や栄養が届かなくなり、もろくなっていきます。
強い噛みしめや歯ぎしりがあると、根にひびが入ることがあります。
ひびから細菌が入ると、治療をしても痛みや腫れが治まりにくくなります。
治療中の歯以外にある原因
痛みの原因が、治療している歯ではなく、隣の歯や噛み合わせにある場合もあります。
歯ぎしりや食いしばりで、周りの歯まで痛く感じることもあります。
どの歯が痛みの元かを確かめることが、対処の出発点になります。
歯科用CTとマイクロスコープによる原因確認
原因を確かめるには、根の形や病巣の広がりを立体的に見られる歯科用CTが役立ちます。
山浦歯科医院では、診査から処置まで歯科用CT・マイクロスコープ・ラバーダム防湿を用い、痛みの原因の確認と、細菌を持ち込まない治療に努めています。
拡大した視野で見ることで、見落とされていた根管や、折れて残った器具が見つかることもあります。
当院の治療内容は精密根管治療のページで詳しくご説明しています。
セカンドオピニオンという選択肢
いま受けている治療の説明に納得できない、痛みが続いて不安が消えないというときは、別の歯科医師の意見を聞くこともできます。
これまでの経過や受けた説明、レントゲン画像などがあると、相談がスムーズに進みます。
根管治療の痛みが気になるなら山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
根管治療で感じる痛みは、治療前・施術中・通院の合間・被せ物のあとで原因が異なります。
施術後の一時的な痛みは数日から1週間ほどで和らぐことが多く、日を追って強くなる痛みや2週間以上続く痛みは、様子を見ずに相談してください。
つらいときは市販の痛み止めで抑えつつ、温めない、自己判断で通院をやめないことが大切です。
何度治療しても痛みが引かないときは、細菌の取り残しや根のひびなど、原因を画像で確かめる必要があります。
山浦歯科医院では、歯科用CTとマイクロスコープで原因を確認し、ラバーダム防湿のもとで、痛みの軽減に配慮した精密根管治療にあたっています。
他院で治療中の歯のご相談や、抜歯をすすめられた歯のご相談も承っています。
治療中の痛みが続いてつらい方は、我慢せず一度ご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。
参考文献





