治療途中でも歯医者は変えられる?変更したほうがいいケース・しないほうがいいケースを現役歯科医師が解説
- 山浦 泰明

- 4月14日
- 読了時間: 9分
更新日:6月5日

「今の歯医者さん、なんか合わないな…でも途中で変えても大丈夫なの?」と悩んでいる方は、意外と多くいらっしゃいます。
治療の途中で歯医者を変えることは、少しためらいを感じるかもしれません。
しかし、結論からお伝えすると、治療途中でも歯科医院を変更することは可能です。
ただし、変更すべきタイミングや状況があることも事実。むやみに転院を繰り返すことで、治療の質が下がったり、余計な費用や時間がかかってしまうこともあります。
この記事では山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が、歯医者を変えても良いケース・変えないほうが良いケース、転院時の注意点や手順について、わかりやすく解説します。
「今の歯科医院に不安や不満がある」という方は、ぜひ最後までお読みください。
治療途中でも歯医者を変えることはできる?
まず大前提として、歯科治療の途中であっても、患者さんには「自分が受ける医療機関を選ぶ権利(医療機関選択権)」があります。
日本では、どの医療機関を受診するかは患者さん自身が自由に決められるため、歯科医院の変更(転院)を制限するルールは存在しません。
実際に、さまざまな理由から転院を希望される方は少なくありません。
「引越しで通えなくなった」「担当医との相性が合わない」「セカンドオピニオンを求めたい」など、その理由は患者さんによってさまざまです。
ただし、治療の段階や状況によっては、転院によって治療が複雑になったり、余分な費用が発生する場合もあります。
歯医者を変えたほうがいいケース
以下のような状況が続いている場合は、転院を前向きに検討してみましょう。
説明が少なく、治療の内容がよくわからない
「何の治療をしているのか説明がない」「質問しても答えてもらえない」という状況は、患者さんにとって大きなストレスになります。
治療内容や今後の見通しを理解した上で同意する「インフォームド・コンセント」は、医療の基本です。
説明が不十分だと感じる場合は、まず担当医に質問してみましょう。
それでも改善されないようであれば、転院を検討する合理的な理由になります。
治療が長引いている、または通院回数が多すぎる
治療内容によっては、ある程度の通院回数が必要な場合もあります。
しかし、何度通っても症状が改善せず、治療の終わりが見えない場合は注意が必要です。
特に根管治療(歯の根の治療)は、適切に行われれば数回で完了することも多い処置。
にもかかわらず、何ヶ月も同じ処置が繰り返されている、あるいは終わりの見通しを説明してもらえないという場合は、セカンドオピニオンを求める価値があります。
痛みや不調が続いている
治療後も痛みが続く、詰め物や被せ物が合わない感じがする、噛み合わせがおかしいといった症状が続いている場合も、転院を検討するサインです。
治療後の一時的な痛みや違和感は自然なことですが、それが数週間以上続く場合は、治療に問題がある可能性も考えられます。
担当医への相談とあわせて、別の医師の意見を聞いてみることも選択肢のひとつです。
費用に関して不透明な点がある
治療費の説明が事前になく、請求されてはじめて費用を知るという状況は、患者さんとの信頼関係において問題があります。
保険診療の場合は公定料金がありますが、自由診療(保険外)の場合は医院によって費用が異なります。
事前に費用の説明がされているか、追加費用が発生する際に事前説明があるかを確認しましょう。
説明がなく高額請求される、あるいは費用についての質問を避けられるような場合は、転院を検討する理由になりえます。
引越しなどで通院が困難になった
転居によって通院が難しくなった場合は、遠慮なく転院して構いません。
これは非常に現実的な理由であり、新しい歯科医院でも適切に引き継いでもらえます。
治療途中の場合は、現在の医院で「紹介状(診療情報提供書)」を作成してもらうと、スムーズに転院できます。
歯医者を変えないほうがいいケース
一方で、状況によっては治療を変えるよりも今の医院で続けたほうが、患者さんのメリットになる場合もあります。
以下のケースでは、慎重に判断しましょう。
治療が最終段階に近い場合
被せ物の型取りが終わっている、インプラントの手術が完了している、歯列矯正がほぼ完了しているなど、治療がかなり進んでいる段階での転院は、かえってリスクが高くなる場合があります。
途中から引き継いだ歯科医師が、前医の治療方針や使用した材料を把握するのに時間がかかることもあり、場合によっては治療のやり直しが必要になることもあります。
特に最終段階が近い場合は、そのまま通い続けることを検討してみてください。
一時的な感情や誤解が理由の場合
「先生の態度が少し気になった」「待ち時間が長くて不満だった」など、一時的な出来事が理由の場合は、すぐに転院を決める前に、まず医院側に伝えてみることをおすすめします。
多くの場合、コミュニケーションのすれ違いや誤解が原因であることも少なくありません。
話し合いで解決できれば、長期的に信頼できる歯科医師と関係を築けるというメリットがあります。
インプラントや矯正など特殊な治療の途中
インプラント治療や歯列矯正は、担当医が最初から最後まで一貫した治療計画に基づいて進めることが多いため、途中での転院が特に難しい治療のひとつです。
インプラントの場合、埋め込んだインプラント体のメーカーや種類によって対応できる医院が限られることもあります。
矯正治療も、ブラケット(矯正装置)の種類や治療計画が引き継ぎにくいケースがあります。
どうしても転院が必要な場合は、現在の担当医に詳細な資料や情報提供をお願いしましょう。
転院すべき?しないべき?状況別チェック
どのような状況で転院を検討すべきか、わかりやすく整理しました
状況 | 転院の判断 | ポイント |
説明がなく治療内容がわからない | 転院を検討 | インフォームド・コンセントは医療の基本 |
治療が長引き終わりが見えない | 転院を検討 | セカンドオピニオンを活用する |
痛みや不調が数週間以上続く | 転院を検討 | 別の医師の意見を聞く価値あり |
費用説明が不透明 | 転院を検討 | 事前説明は患者の権利 |
引越しで通院困難になった | 転院を推奨 | 紹介状をもらうとスムーズ |
治療が最終段階に近い | 転院を慎重に検討 | やり直しが必要になる場合あり |
一時的な不満・誤解が理由 | まず話し合いを | コミュニケーションで解決できることも |
インプラント・矯正の途中 | 転院は要相談 | 引き継ぎが難しいケースがある |
同じ状況でも患者さんの治療段階や具体的な内容によって判断は異なります。
迷った場合は、まずセカンドオピニオンとして別の歯科医院に相談してみることをおすすめします。
転院するときの手順と注意点
転院を決めた場合は、できるだけスムーズに引き継ぎができるよう、以下の手順で進めることをおすすめします。
①現在の歯科医院に転院の意思を伝える
正式に転院する前に、現在通院している歯科医院に「他の医院に移りたい」という意思を伝えましょう。
特にかかりつけ医として長く通っている場合は、直接伝えることが丁寧です。
「引越しをした」「別の先生の意見も聞きたい」など、正直に理由を伝えることで、転院先への情報提供もスムーズになります。
②診療情報提供書(紹介状)と資料を受け取る
転院の際に最も重要なのが「診療情報提供書(紹介状)」です。
これには、現在の治療内容・使用した材料・治療経過・今後の方針などが記載されており、転院先の医師が状況を正確に把握するために欠かせません。
また、レントゲン写真(エックス線画像)のコピーや、歯型(模型)のデータなど、治療に関わる資料も可能な限り受け取っておきましょう。
これらは転院先での診断・治療計画立案に大きく役立ちます。なお、紹介状の発行には費用がかかる場合があります。
③転院先の歯科医院に連絡・予約をする
転院先が決まったら、予約の際に「治療途中での転院である」ことをあらかじめ伝えておくとスムーズです。
持参する資料(紹介状・レントゲン等)についても確認しておきましょう。
初診の際には、これまでの治療経緯や現在の症状、困っていることを詳しく伝えることが大切です。
新しい担当医が正確な情報をもとに治療方針を立てるために、できるだけ詳しく説明するようにしましょう。
④保険証・医療費控除の手続きをする
保険診療の場合、転院しても健康保険は引き続き使えます。保険証を転院先に持参すれば問題ありません。
ただし、同一月内に複数の歯科医院を受診した場合、レセプト(診療報酬明細書)の処理に注意が必要なこともあるため、転院のタイミングについて転院先に確認するとよいでしょう。
また、年間の医療費が一定額を超えた場合は「医療費控除」の対象になります。
転院前後の領収書を大切に保管しておくと、確定申告の際に活用できます。
転院とセカンドオピニオンの違い
「転院」と「セカンドオピニオン」は似ているようで、意味が異なります。
転院 | セカンドオピニオン | |
目的 | 治療を行う医院を変更する | 別の医師の意見を聞く |
治療 | 転院先で治療を継続する | 基本的に治療は行わない |
費用 | 転院先の通常診療費 | 相談料(自由診療)が発生することが多い |
活用場面 | 現在の医院での治療継続が困難 | 現在の診断・治療方針に不安がある時 |
セカンドオピニオンは、現在の治療方針に疑問を感じた際に、別の専門家の意見を聞くための相談です。
相談後に元の医院で治療を続けることも、転院することも患者さんが自由に選べます。
「転院するほどではないけれど、今の治療に不安がある」という場合は、まずセカンドオピニオンから検討するのもひとつの方法です。
転院・歯医者の変更なら山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
治療途中でも、患者さんには歯科医院を変える権利があります。
「説明が足りない」、「治療が長引いている」、「痛みが続いている」といったお悩みがある場合は、一人で抱え込まずに、ぜひご相談ください。
山梨県甲府市の山浦歯科医院では、転院やセカンドオピニオンのご相談を広く受け付けています。
初診時には、これまでの治療経緯を丁寧にお伺いし、患者さんが納得した上で治療を進めることを大切にしています。
また、治療内容についての疑問点や費用のご相談も、わかりやすくご説明しますので、「他院で治療中だけど不安がある」「別の先生の意見を聞いてみたい」という方も、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。
参考文献

