根管治療は成功率が低いのなぜ?再発が起きる原因や再発の症状・再根管治療の成功率を高める方法について専門医が解説
- 山浦 泰明
- 10月9日
- 読了時間: 19分
更新日:11月20日

虫歯が進行し、「神経を取る治療が必要です」と言われた経験はありませんか?
この治療を「根管治療」と呼びますが、実は日本における根管治療の成功率は30%程度と意外にも低く、再発して再根管治療が必要になるケースが非常に多いのが現状です。
根管治療は歯科治療の中でも特に難易度が高い治療とされており、一度失敗すると再治療の成功率はさらに低下してしまいます。
本記事では、根管治療の成功率や再発が起きる原因、そして再発を防ぐための対策について、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が、現役歯科医師の視点から詳しく解説します。
根管治療をお考えの方や、過去に治療した歯に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
根管治療とはどのような治療?
根管治療は、虫歯が歯の神経まで達したときや、神経が感染・炎症を起こしたときに行う治療です。
歯の内部には「根管」と呼ばれる細い管があり、その中に神経や血管が通っています。
根管治療では、感染した神経や血管を取り除き、根管内を徹底的に清掃・消毒します。
その後、細菌が入り込まないように薬剤で密閉し、土台を立てて被せ物をするという流れで治療を進めていきます。
この治療は「歯を残すための最後の砦」とも呼ばれ、適切に行われれば抜歯を回避して天然歯を保存することができる重要な治療法です。
しかし、根管は直径1mm以下と非常に細く、枝分かれした複雑な構造をしているため、歯科治療の中でも最も難易度が高い治療の一つとされています。
根管治療には大きく分けて2種類あり、初めて神経を取る「抜髄(ばつずい)」と、以前に根管治療を受けた歯が再び問題を起こした場合の「再根管治療(感染根管治療)」です。
この2つでは、治療の難易度や成功率が大きく異なります。
日本における根管治療の成功率は低い?
日本における根管治療の成功率は、残念ながら先進国の中でも特に低い水準にあります。
国内外の成功率データの比較
東京医科歯科大学付属病院の調査によると、日本で根管治療を受けた歯の45〜70%に再発が見られるという結果が報告されています。
初回の根管治療(抜髄)の成功率
日本の保険診療:約30~50%
精密根管治療(自費診療・専門医による治療):約90〜95%
再根管治療(感染根管治療)の成功率
日本の保険診療:約25〜30%
精密根管治療(自費診療・専門医による治療):約80〜85%
このデータから分かるように、初回治療と再治療では成功率に大きな差があります。
特に、一度失敗した歯の再治療は非常に難しく、成功率が大幅に下がってしまうのです。
再治療を繰り返すほど成功率が低下する
根管治療は、繰り返すほど成功率が低下していきます。
というのもm治療のたびに根管を削るため、歯の壁が徐々に薄くなっていきます。
歯質が薄くなると歯が脆くなり、割れやすくなってしまいます。
また、前回の治療で使用した器具によって根管の形が変化したり、場合によっては傷ついたりしているため、無菌状態にすることが一層困難になります。
さらに、治療を重ねるごとに根管内の細菌は複雑化し、薬剤に対する抵抗性を持つようになることもあります。
このため、一般的には1本の歯に対して行える根管治療の回数は3回程度が限度とされており、それ以上繰り返すと最終的には抜歯になる可能性が高くなってしまいます。
だからこそ、できる限り初回の治療で確実に治すことが、歯を長く保つために非常に重要なのです。
根管治療の成功率が低い5つの理由
初回の根管治療(抜髄)の成功率が低い理由は、主に以下の5つが挙げられます。
根管の複雑な構造による治療の難しさ
細菌の完全除去が困難
ラバーダム防湿の使用率の低さ
マイクロスコープなど精密機器の不足
保険診療の制約と診療報酬の問題
1. 根管の複雑な構造による治療の難しさ
根管は非常に複雑な構造をしており、これが治療の難易度を高めている最大の要因です。
歯の種類によって根管の本数は異なり、前歯では通常1本、小臼歯では1〜2本、大臼歯では3〜4本の根管があります。
さらに問題なのは、それぞれの根管が単純な直線ではないという点です。
根管は曲がりくねっており、途中で枝分かれしていることも多く、複雑に入り組んだ網目状の構造をしています。
この複雑な構造のため、一般的には根管の全体像を正確に把握することが非常に困難です。
見落とした根管や枝分かれした細い部分に細菌が残ってしまうと、そこから再び感染が広がり、治療の失敗につながります。
歯科医師の技術や経験はもちろん重要ですが、それだけでは限界があり、適切な機器や設備が不可欠なのです。
2. 細菌の完全除去が困難
根管治療の最も重要な目的は、根管内を無菌状態に近づけることです。
しかし、細菌は目に見えない上に、根管の複雑な構造の隅々まで入り込んでいるため、完全に除去することは非常に困難な作業です。
お口の中には常に数百種類、数億個の細菌が存在しています。
根管内の細菌を除去しても、治療中に唾液が根管内に入り込めば、再び細菌感染を起こしてしまいます。
特に根管は網目状に細かく枝分かれしているため、治療器具が物理的に届かない部分が存在します。
細菌が少しでも根管内に残っていると、治療後しばらくは症状がなくても、時間の経過とともに細菌が活性化し、再び増殖して炎症を引き起こします。
そのため、数ヶ月後、場合によっては数年後に症状が再発することもあります。
3. ラバーダム防湿の使用率の低さ
ラバーダムとは、治療する歯以外をゴム製のシートで覆い、唾液や細菌の侵入を完全に防ぐための器具です。
海外では根管治療における必須アイテムとされており、アメリカやヨーロッパではラバーダムを使用せずに根管治療を行うと医師免許を取り上げられるほど重要視されています。
研究データによると、ラバーダムを使用することで根管治療の成功率は90%まで高まります。
一方、ラバーダムを使用しない治療では成功率が50%以下に低下してしまうという報告もあり、、ラバーダムの有無だけで成功率に30〜40%もの差が生じます。
しかし、日本ではラバーダムを使用している歯科医院は全体のわずか1%程度、つまり100軒に1軒しかないというのが現状です。
これは、保険診療の制約や時間的・経済的な制約、そして歴史的にラバーダムが普及してこなかった背景などが影響しています。

4. マイクロスコープなど精密機器の不足
根管内は非常に狭く暗い空間であり、肉眼で内部まで確認することは不可能です。
マイクロスコープ(手術用顕微鏡)を使用すれば、治療部位を最大20倍程度に拡大して観察することができ、肉眼では見えない細かい根管、根管内の亀裂、汚れ(細菌)の取り残しなどを発見できます。
また、根管の見落としを防ぎ、不必要に歯を削ることも避けることができるため、治療の精度が飛躍的に向上し、成功率を大幅に高めることができます。
しかし、マイクロスコープは高価な機器であり、扱うには専門的なトレーニングも必要です。
そのため、日本の歯科医院での普及率はまだ十分ではなく、多くの根管治療が肉眼または低倍率のルーペ(拡大鏡)だけで行われているのが実情です。
ルーペの倍率は4倍程度であり、マイクロスコープと比べると見える範囲や精度に大きな差があります。
5. 保険診療の制約と診療報酬の問題
日本の保険診療制度では、根管治療にかけられる時間や使用できる材料・機器に様々な制限があります。
根管治療は本来、1回の治療に60〜90分、場合によっては120分程度の時間が必要な精密な処置ですが、保険診療では15〜30分程度の短時間で治療を進めざるを得ない状況があります。
また、根管治療の診療報酬は、治療の難易度や必要な時間、使用する機器・材料のコストに見合っていないという指摘が多くあります。
例えば、保険診療での根管治療の報酬は数千円程度であり、マイクロスコープなどの高価な設備を導入し、ラバーダムやニッケルチタンファイルなどを使用し十分な時間をかけて丁寧に治療すればするほど、歯科医院の経営が成り立たなくなるという矛盾した状況があるのです。
このような制度的な背景が、日本における根管治療の成功率の低さに影響していると考えられます。
ただし、保険診療であってもマイクロスコープやラバーダムを使用し、質の高い治療を提供している歯科医院もありますので、歯科医院選びの際にはそうした点を確認することが重要です。
根管治療後に再発(再根管治療)する3つの原因
根管治療をしたのにもかかわらず、再治療が必要となる主な原因は以下の3つです。
根管内の細菌の取り残し
不完全な根管充填
被せ物の不適合や破損
1.根管内の細菌の取り残し
再発の最も多い原因は根管内に細菌が残ってしまうことです。
細菌が少しでも残っていると、時間の経過とともに活性化し再び増殖して炎症を引き起こします。
細菌が残る理由としては、以下のようなケースがあります。
複雑な根管の構造で器具が届かない部分があった
根管の一部を見落としてしまった
治療中に唾液が根管内に入り込んでしまった
消毒が不十分だった
特に治療中にラバーダムを使用していない場合、唾液中の細菌が根管内に侵入するリスクが高まります。
唾液には無数の細菌が含まれているため、ほんの少量でも根管内に入ると再感染の原因となります。
2.不完全な根管充填
根管内を清掃・消毒した後は、「根管充填」という処置を行います。
これは、根管内に隙間ができないように専用の薬剤(充填材)を詰めて、細菌の侵入経路を完全に遮断する重要な工程です。
根の先端まで薬剤がしっかり詰められていない場合、その空洞部分で細菌が増殖します。
また、充填材と根管壁の間に微細な隙間がある場合も、そこから細菌が侵入して再感染の原因となります。
さらに、充填材の質が低い場合、時間の経過とともに劣化して隙間ができることもあります。
適切な根管充填を行うためには、根管の形態を正確に把握し、適切な充填材を根の先までしっかり詰める高度な技術が必要です。
また、MTAセメントなど、高い殺菌効果と封鎖性を持つ高品質な充填材を使用することで、成功率を大幅に向上させることができます。
3.被せ物の不適合や破損
根管治療後は、土台(コア)を立てて、その上から被せ物(クラウン)を装着します。
この最終的な修復物の質も、治療の長期的な成功に大きく影響します。
被せ物が歯にぴったりと適合していない場合、歯と被せ物の境目に隙間ができます。
この隙間から細菌が侵入し、根管内に到達して再感染を引き起こします。また、接着剤の劣化や被せ物自体の破損も、細菌の侵入経路となります。
特に問題なのは、治療から数年が経過した場合で、保険診療で使用される金属の被せ物は、時間とともに腐食したり、歯との境目の隙間が広がったりすることがあります。
一方、セラミックなどの自費診療の被せ物は、劣化しにくく適合性も高いため、長期的な予後が良好です。
根管治療の成功は、最終的な被せ物まで含めて初めて完結すると言えます。
再発したときに現れる症状と緊急度
根管治療後に再発した場合、様々な症状が現れます。
症状の程度によって緊急度が異なるため、適切に判断して対応することが重要です。
緊急度が高い症状
何もしなくても強い痛みがある(自発痛)
夜も眠れないほどの激しい痛みがある場合は、最も緊急度が高い状態です。
根の先に炎症が起こり膿が溜まり、周囲の骨や組織を圧迫している可能性があります。これは「急性根尖性歯周炎」と呼ばれる状態で、すぐに処置が必要です。
このような症状がある場合は、迷わずすぐに歯科医院に電話をしてください。
診療時間外であれば、「何もしなくても激しく痛む」ことを明確に伝え、緊急対応をお願いしましょう。
我慢せず、できるだけ早く受診することが大切です。
顔が腫れている
歯茎だけでなく、顔まで腫れ上がっている場合は、非常に危険な状態です。
他人から見ても分かるほど顔が腫れている、口が開けにくい、飲み込みにくい、呼吸がしづらいなどの症状がある場合は、感染が広範囲に広がっている可能性があります。
重症化すると、命に関わる深刻な状態になることもあるため、時間を置かずに歯科医院を受診してください。
場合によっては、救急外来の受診が必要になることもあります。
緊急度が中程度の症状
噛むと痛みがある(咬合痛)
食事で物を噛んだとき、歯を叩いたとき、歯に圧力をかけたときに痛みを感じる症状です。
これは根の先端部分やその周囲に炎症が起きているサインで、我慢できる程度の痛みであっても放置すると悪化する可能性があります。
できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。
また、痛む歯では噛まないように注意し、刺激を避けることが大切です。
歯茎にできものができた・膿が出る
歯茎にニキビのような腫れができたり、そこから膿が出たりする症状です。
これは「サイナストラクト」や「フィステル」と呼ばれるもので、根の先に溜まった膿の出口ができている状態です。
痛みがない場合も多いのですが、これは慢性的な感染が続いているサインです。
放置すると骨が徐々に溶けていき、最終的には歯がグラグラになって抜歯が必要になる可能性があります。
できるだけ早く受診して、適切な治療を受けましょう。
歯茎が腫れているが顔は腫れていない
歯茎だけが腫れていて顔には腫れが出ていない場合は、緊急性は比較的低いですが、放置は禁物です。
慢性的な炎症が起きている可能性が高く適切な治療が必要です。
歯科医院を受診し、状態を確認してもらいましょう。
腫れが急速に拡大したり、顔まで腫れてきたりした場合は、緊急度が上がりますのですぐに受診してください。
緊急度が比較的低い症状
違和感や鈍痛がある
はっきりとした痛みではないものの、何となく違和感がある、重苦しい感じがする、鈍い痛みがあるという症状です。
慢性的な炎症が続いている可能性があります。
症状が軽いからといって油断せず、歯科医院を受診することをおすすめします。
噛んだときに浮いた感じがする
歯が少し浮いたような感覚や、他の歯より高く感じる症状です。
根の周囲の組織に軽度の炎症が起きている可能性があるので、数日様子を見て、症状が続くようであれば受診しましょう。
ただし、強い痛みを伴う場合や、明らかに歯が動いている場合は緊急度が上がりますので早めに受診してください。
根管治療の成功率を高める6つの方法
根管治療の成功率を高めるためには、以下の6つがとても重要です。
1.マイクロスコープを使用した精密治療
マイクロスコープは、再根管治療の成功率を大幅に向上させる最も重要な機器です。
治療部位を最大20倍程度に拡大して観察できるため、肉眼では決して見えない細かい部分まで確認しながら治療を進めることができます。
マイクロスコープを使用することで、以下のような効果が得られます。
見落とされていた根管や枝分かれを発見できる
根管内の細菌や汚染物質の取り残しを防げる
根管内の亀裂や破折を早期に発見できる
前回の治療で残された器具の破片を見つけて除去できる
不必要に歯を削ることを避け、歯質を最大限保存できる
さらに、マイクロスコープには治療の様子を記録(録画)する機能があり、治療中の状態を写真や動画で記録することができるため、患者様にも治療内容を視覚的に説明でき、納得して治療を受けていただくことができます。
再根管治療では、初回治療で残された問題を正確に特定することが成功の鍵となります。
マイクロスコープなしでは発見できない問題が多く、「原因が分からないまま何度も治療を繰り返す」という悪循環に陥りやすいのです。
2.ラバーダム防湿の徹底使用
ラバーダムは、治療する歯だけを露出させ、唾液や細菌の侵入を完全に防ぐゴム製のシートです。
ラバーダムを使用することで、以下のような効果が得られます。
唾液中の細菌が根管内に侵入するのを防ぐ
消毒薬や洗浄液が口腔内に漏れるのを防ぐ
治療器具の誤飲や誤嚥を防ぐ
術者が治療に集中できる環境を作る
欧米では“ラバーダムシートなし”の根管治療は基本的に認められておらず、ラバーダム使用は治療の成否や医療安全の観点から必須とされています。
根管治療においてラバーダムの使用は、もはや選択肢ではなく必須条件といえます。
3.歯科用CTによる3次元的な診断
従来のレントゲン写真は2次元(平面)の画像しか得られないため、根管の立体的な構造や病巣の正確な位置を把握することが困難でした。
歯科用CTを使用することで、顎の状態を3次元(立体)で撮影し、詳細に分析することができます。
歯科用CTによって得られる情報は以下の通りです。
根管の正確な本数と形態
根管の湾曲の程度と方向
見落とされやすい細い根管の発見
根の先の病巣(根尖病巣)の大きさと広がり
骨の吸収の程度
根の破折の有無
特に再根管治療では、前回の治療で見落とされた根管や、通常では発見しにくい複雑な根管を見つけることが重要です。
CTを使用することで、治療計画の精度が大幅に向上し、無駄な処置を避けることができます。
また、治療後の経過観察においても、CTは非常に有効で、根の先の病巣が縮小しているか、骨が再生しているかなどを正確に確認できるため、治療の成否を客観的に判断することができます。
4.ニッケルチタンファイルの使用
根管内をきれいに形成する器具を「ファイル」といいます。
ファイルには「ステンレス製」と「ニッケルチタン製」があり、ニッケルチタン製のファイルは柔軟性に優れているという特徴があります。
この柔軟性により、以下のようなメリットが得られます。
曲がった根管でもきれいに形成・清掃できる
複雑な形態の根管にも安全に対応できる
根管壁を均一に削ることができる
治療器具の破折リスクが低い
根管の本来の形態を維持できる
特に再根管治療では、前回の治療で根管の形が不適切に形成され本来の形態から変化していることが多く、慎重な対応が必要です。
ニッケルチタンファイルを使用することで、根管をさらに傷つけることなく、安全に処置を進めることができます。
また、ニッケルチタンファイルは電動で回転させて使用することが多く、手で操作するステンレスファイルよりも効率的に根管内を形成・清掃でき、治療時間の短縮にもつながります。
5.MTAセメントなど高品質な材料の使用
再根管治療の成功率を高めるためには、治療の最後に根管内に充填する材料の質も重要です。
特にMTAセメントは、従来の根管充填材と比べて以下のような優れた特性を持つ画期的な材料として注目されています。
強力な殺菌効果がある
根の先までしっかり密閉できる
硬組織(歯根尖や根の尖端の骨)の再生を促す可能性がある
水分があっても硬化する
他院で「抜歯しかない」と診断されたケースでも、MTAセメントを使用することで歯を保存できる可能性があります。
ただし、MTAセメントは保険適用外の材料であるため、使用する場合は追加費用がかかることを理解しておく必要があります。
6.十分な治療時間の確保
再根管治療を成功させるためには、十分な治療時間を確保することが不可欠です。
急いで処置を進めると、細菌の取り残しや不完全な充填につながり、再び失敗する可能性が高まります。
精密根管治療では、1回の治療に60〜90分程度の時間をかけ、以下のような処置を丁寧に行います。
CBCTを使用した詳細な診査と診断と治療計画
マイクロスコープ下での拡大視野による精密な治療
ラバーダムの装着による確実な防湿
古い充填材や被せ物の慎重な除去
根管内の適切な形成と徹底的な清掃と消毒
MTAによる根管充填
一方、従来の保険診療では、1回の治療時間が15〜30分程度で、治療が5〜10回以上、期間にして2〜3ヶ月以上かかることも珍しくありません。
治療期間が長引くほど、再感染のリスクが高まり、治療回数が多いと通院の負担も大きくなり、途中で通院を中断してしまう患者様もいます。
中断すると、それまでの治療が無駄になるだけでなく、さらに状態が悪化して抜歯が必要になることもあります。
精密根管治療(自費診療)と保険診療の違い
保険診療 | 自由診療 | |
|---|---|---|
内容 | 感染部分の除去、薬剤塗布、根管充填 | CTによる正確な診断・マイクロスコープ・ラバーダムを用いた精密治療、MTAセメント使用 |
材料・方法 | 標準的な充填材・器具 | マイクロスコープ・高性能器具、CT診断、ニッケルチタンファイル使用など |
成功率 | 約25~50% | 約90%以上 |
費用 | 保険適用で数千円~1万円程度 | 自費で5万~25万円程度/1歯 |
自費診療での精密根管治療と保険治療の根管治療の違いは表の通りです。
精密根管治療は確かに費用が高額ですが、結果的に、長期的な視点で見れば、精密根管治療は十分に価値のある投資といえます。
特に、既に何度か治療を繰り返している歯や、残せるチャンスが限られている歯の場合は、精密根管治療を選択することで歯を保存できる可能性が高まります。
根管治療で歯科医院を選ぶ際のポイント
根管治療の成功率を高めるためには、適切な歯科医院を選ぶことが重要です。
以下のポイントをチェックして、信頼できる歯科医院を見つけましょう。
設備と歯科医師の技術を確認する
根管治療を成功させるためには、適切な設備と技術を持つ歯科医院を選ぶことが重要です。
成功率を高める上で、マイクロスコープの有無、CTの導入状況、ラバーダムの使用は精密な治療を受けるための最低条件なので、まずはそれらの設備があるかは必ず確認しましょう。
また、根管治療は高度な技術が必要な治療のため、根管治療を専門的に学んでいる歯科医師がいるかどうかも重要なポイントです。
歯科医師の経歴を確認し、専門的な資格や研修を受けている歯科医師が在籍しているかを確認するのがおすすめです。
治療方針の丁寧な説明と納得のいくカウンセリング
技術や設備だけでなく、コミュニケーション能力も重要です。
現在の状態を分かりやすく説明してくれるか
複数の治療選択肢を提示してくれるか
それぞれのメリット・デメリット・費用を明確に説明してくれるか
質問に対して誠実に答えてくれるか
治療を押し付けず、患者の希望を尊重してくれるか
信頼できる歯科医師は、患者が納得して治療を選択できるよう、十分な情報提供とカウンセリングの時間を設けてくれます。
治療後のフォローアップ体制
根管治療後の経過観察も再発を予防する上では非常に重要です。
フォローアップ体制については定期的な検診とレントゲン・CT撮影を提案してくれるかや、治療後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年後など、計画的なフォローアップ体制があるか、緊急時の連絡先や対応方法を教えてくれるかも確認しておくと良いでしょう。
長期的に見て、歯の健康を考えてくれる歯科医院を選ぶことをおすすめします。

精密根管治療なら「山梨県甲府市の山浦歯科医院」
根管治療の成功率は、専門的な知識と技術、使用する設備、材料などによって大きく異なります。
また、再発を防ぐためには、初回の治療を確実に成功させることが最も重要です。
山梨県甲府市の山浦歯科医院では、手術用顕微鏡(マイクロスコープ)、高解像度歯科用CT、世界基準の滅菌システムなど、最新の設備を完備し、根管治療から歯周病治療、インプラント治療まで、すべての処置をマイクロスコープ下で行うなど、世界基準に準拠した治療を実施してます。
保険診療・自費診療の隔たりなく、患者様の状態に合わせた最適な治療をご提供しておりますので、「他院で抜歯と言われた」「根管治療を繰り返しても改善しない」「セカンドオピニオンを受けたい」といったお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献・情報源
東京医科歯科大学「根管処置歯における根尖部X線透過像の発現率」(2005-2006)
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。

