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虫歯になりやすい人・歯周病になりやすい人の特徴を現役の歯科医師が解説

  • 執筆者の写真: 山浦 泰明
    山浦 泰明
  • 7 日前
  • 読了時間: 9分


虫歯と歯周病は多くの人に共通する口腔内のトラブルですが、遺伝的要因、生活習慣、口腔ケアなど複数の要因が絡み合い、なりやすい人とそうでない人が分かれます。


本記事では、甲府市で虫歯治療や歯周治療(歯周病・インプラント治療)を実施している山浦歯科医院の院長が、現役歯科医師の視点から「虫歯になりやすい人」、「歯周病になりやすい人」の特徴を解説し、さらに虫歯菌・歯周病菌の関係や予防のポイントなどについて詳しくご紹介していきます。


虫歯や歯周病はなぜ起こる?


虫歯

歯周病

原因菌

虫歯菌(ミュータンス菌など)

歯周病菌(ポルフィロモナス・ジンジバリスなど)

主な疾患

虫歯(う蝕)

歯周病(歯肉炎・歯周炎)

主な作用

糖分を分解・酸を生成し、歯質を溶かす

歯周組織を破壊し炎症を引き起こす

症状

歯の痛み、穴(虫歯)

歯肉の腫れ・出血、口臭、歯のぐらつき

発症部位

歯の表面・歯冠部

歯肉および歯根周囲の歯周組織

予防方法

歯磨き、フッ素塗布、糖分摂取の管理

歯磨き、歯間清掃、歯石除去、定期的なメンテナンス

虫歯や歯周病は、歯を支える組織や歯そのものが細菌によってダメージを受ける病気です。


どちらも進行すると自然治癒が期待できず、適切な治療が必要となりますが、同じように生活していても、遺伝的要因や生活習慣、口腔内環境などの複合的な要因によって虫歯や歯周病になりやすい人・なりにくい人が分かれます。


虫歯菌と歯周病菌の関係

虫歯と歯周病は、一見すると別々の疾患のように思われがちですが、実際には口腔内の環境を共有しています。


口腔内には多種多様な細菌が存在し、その中でも特に虫歯に深く関わるのが「ミュータンス菌(ストレプトコッカス・ミュータンス)」、歯周病に深く関わるのが「歯周病菌(ポルフィロモナス・ジンジバリスなど)」と呼ばれる菌です。


これらの菌は、食事や唾液の状態、個々の免疫力、口腔ケアの習慣など、さまざまな要因によって増殖し、そのバランスが崩壊することによって虫歯や歯周病の疾患を引き起こします。


そのため、虫歯菌と歯周病菌が互いに影響を与えあうことがあります。


虫歯菌は主に歯の表面で糖分を分解し酸を産生して脱灰を起こし、歯周病菌は歯ぐきや歯を支える骨を破壊するというように、それぞれ攻撃対象が異なる細菌です。


しかし、どちらの菌もプラークと呼ばれるネバネバした塊の中で繁殖するため、不十分な口腔ケアによってプラークが増えれば、虫歯菌も歯周病菌も活動しやすい環境が整ってしまうことになります。


つまりどちらか一方が深刻化すると、もう一方も発症しやすくなる可能性をはらんでいるのです。


虫歯になりやすい人の5つの特徴

虫歯になりやすいかどうかは、生活習慣や口腔内の状態によって大きく左右されます。


特に以下のような特徴をお持ちの方は、虫歯のリスクが高まる可能性があります。


1.甘いもの・間食が多い

ミュータンス菌などの虫歯菌は糖分を分解して酸をつくるため、砂糖を含む食事は虫歯菌のエサとなり、菌が酸を産生しやすくなります。


頻繁に砂糖や炭水化物を摂取する食生活の方は、口腔内が酸性状態に傾きがちになり、虫歯が進行しやすくなります。


また、間食の回数が多いと歯の再石灰化が起こるタイミングが減少し、虫歯リスクが上がります。


2.歯磨きの回数・時間が少ない

食後の歯磨きや就寝前の歯磨きが不十分だと、歯の表面や歯と歯の間にプラークが残ってしまいます。


プラークが残ってしまうと、プラーク内の細菌が酸を生成し続け、エナメル質や象牙質が侵される原因となります。


特に寝る前に磨かずに寝てしまうと、一晩中口腔内で虫歯菌が増殖しやすくなるので注意が必要です。


3.唾液の量が少ない

唾液は口腔内を洗浄し、歯を保護する働きをもっています。


唾液の分泌量が少ない人は酸を中和する力が低下するため、虫歯になりやすい環境になりがちで、ドライマウス(口腔乾燥症)や、薬などの副作用、またはストレスなどがあると唾液量が減少していることがあります。


4.詰め物・被せ物が多い

過去に治療した歯が多い場合、その詰め物や被せ物との境界に汚れが溜まりやすく、新たな虫歯が発生しやすいケースがあります。


定期的なメンテナンスでこれらの部分をしっかりケアすることが重要です。


5.フッ素を活用していない

フッ素には再石灰化を促す作用があり、虫歯の予防に効果的です。


フッ素配合の歯磨き粉や洗口液を使わない場合、エナメル質の修復力が弱まり、虫歯に対して脆弱になる可能性があります。


歯周病になりやすい人の6つの特徴

歯周病は「沈黙の病気」と呼ばれるほど自覚症状が出にくく、気づいたときには症状が進行していることが少なくありません。


特に以下のような特徴や習慣がある方は、歯周病のリスクが高くなる傾向があります。


1.歯磨きが不十分

歯周病はプラーク中の歯周病菌によって引き起こされるため、特に以下のような場合は、歯周病リスクが高まります。


  • 毎回のブラッシングに十分な時間をかけていない

  • 歯ブラシの当て方が不適切(歯と歯ぐきの境目を意識していない)

  • デンタルフロスや歯間ブラシを使わない

  • 歯の表面だけ磨いている

  • 舌苔(舌の汚れ)の清掃をしない


こうしたケースに該当する場合、歯と歯ぐきの境目や歯間部にプラークが溜まりやすく、歯周病菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。


2.喫煙習慣がある

喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病のリスクが高いことがわかっています。


これはたばこに含まれるニコチンなどの有害物質が血管を収縮させ、歯ぐきへの血流を低下させることで、歯周組織の免疫力を下げてしまうのが一因と言われています。


喫煙者は非喫煙者と比べて、歯周病が進行しやすいだけでなく治りにくい傾向もあるといわれています。


3.ストレスや睡眠不足

ストレスや睡眠不足が続くと免疫力が低下し、歯周病菌への抵抗力も落ちてしまいます。


ストレスを感じると唾液量が減少し、口腔内の自浄作用が働きにくくなり、睡眠不足はホルモンバランスが乱れ、炎症が進みやすくなります。


その結果として歯周病の進行リスクが高くなります。


4.全身疾患(糖尿病など)がある

糖尿病などの全身疾患を抱えている場合、体の免疫力が落ちてしまうため、歯茎の炎症や傷が治りづらく、歯周病が進行しやすくなる傾向があります。


また、高血圧や心臓病などの慢性疾患を持つ方も、体力や抵抗力の低下が進みやすく、歯周病リスクが高まる場合があります。


5.不規則な食生活や栄養バランスの乱れ

食生活が乱れると、体全体の健康だけでなくお口の中の環境にも悪影響を及ぼします。


とりわけ糖分の多い食品や飲料を頻繁に摂取していたり、偏った食事でビタミンやミネラルが不足する状態が続くと、歯ぐきの健康を保つために必要な栄養素が不足し、歯周病に対する抵抗力が低下します。


6.歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは歯や歯ぐきに過剰な力を加え、歯周組織を傷つける原因となります。


加えて、歯周病菌による炎症と物理的負荷が合わさると、骨が溶ける進行が早まる恐れがあります。



虫歯・歯周病予防のポイント


虫歯

歯周病

ケアするところ

歯の表面・歯間のプラーク除去

歯肉・歯周ポケットの清掃

生活の注意点

糖分摂取の頻度・量を抑える

禁煙、ストレス管理

歯周病と虫歯は、それぞれ特徴が異なるものの、根本的にはプラーク管理と健康的な生活習慣が重要となる点は共通しています。


予防には以下のポイントを実践していくことが非常に重要です。


1.正しく歯磨きをする

毎食後のブラッシングはもちろん、歯と歯ぐきの境目、奥歯の噛み合わせ面などは特に念入りに磨きましょう。


歯ブラシの毛先がきちんと歯に当たるようにし、力を入れすぎないことも大切です。


また、歯ブラシだけでは落としきれない歯と歯の間のプラークを取り除くために、デンタルフロスや歯間ブラシを毎日のケアに取り入れましょう。


特に歯並びが複雑な方やブリッジ・インプラントを使用している方は、適切なサイズの歯間ブラシを使うことで効果的に汚れを除去できます。


2.フッ素入りの歯磨き粉や洗口剤(マウスウォッシュ)を使う

毎日の歯磨きの際は、フッ素入りの歯磨き粉やマウスウォッシュも活用するのがおすすめです。


フッ素には歯を強くする再石灰化作用があるため、虫歯予防に有効です。


また、医薬部外品のマウスウォッシュは、殺菌効果や歯の表面に細菌が付着しにくくなる成分が含まれているため、虫歯予防や歯周病予防に効果的と言えます。


ただし、いずれもあくまで補助的な役割なので、ブラッシングとフロスが基本であることを覚えておきましょう。


3.バランスの良い食事と適度な水分補給

生活習慣の面でも、喫煙を控えることや睡眠をしっかりとりストレスを上手にコントロールすることは、歯周病の予防に直結します。


適度な運動やバランスのとれた食事も、全身の血行改善や免疫力維持につながり、歯肉の健康を守る要素となります。


また、虫歯リスクを抑えるうえでも、規則正しい食事時間や適切な水分補給によって唾液の分泌を促し、口腔内の自浄作用を高めることが大事です。


4.歯科医院で定期検診を受ける

歯周病と虫歯を同時にケアするためには、歯科医院での定期検診が非常に有効です。


歯周病の場合は歯石除去やポケットの深さをチェックしてもらえ、虫歯の場合は目視ではわからない初期段階を検査で把握できます。


歯石は一度付いてしまうとブラッシングでは落とせず、歯周ポケット内にある歯石を放置すると炎症が広がって歯ぐきが後退してしまうこともあります。


少なくとも半年に一度はクリーニングを受け、必要に応じた治療を早期に行うことで、将来の重症化を防ぐことができます。


虫歯・歯周病でお悩みの方は山梨県甲府市の「山浦歯科医院」

歯周病菌と虫歯菌はそれぞれ性質が異なるものの、いずれもプラークの中で繁殖しやすく、口腔内環境が悪化すれば双方が進行する可能性があります。


一方が重症化すると免疫バランスが崩れ、もう一方も発症しやすくなるといった連鎖反応を引き起こす恐れもあるため、総合的なケアが欠かせません。


予防のカギは、正しいブラッシングや歯間ケアの徹底、フッ素の活用、食生活や喫煙などの生活習慣の見直しです。


加えて歯科医院での定期検診を受けることで、歯石除去や初期症状の早期発見・早期治療が可能になります。


山梨県甲府市の「山浦歯科医院」では、虫歯や歯周病をはじめ、さまざまな歯科治療を通じて皆さまの口腔内の健康をサポートしています。


定期的な検診を行い、症状が軽度なうちに対策をすることで、長期的に歯を守ることができますので、虫歯や歯周病に悩んでいる方や、予防をお考えの方は、ぜひ当院までご相談ください。

​院名

院長

住所

〒400-0031山梨県甲府市丸の内二丁目33-8

電話番号

055-222-2272


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。

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