
「歯が浮く」、「歯がグラグラする」、「歯が揺れる」といった感覚はありませんか?
歯は健康な状態でもわずかに動くことはありますが、普段の生活で明確に動きを感じるほど揺れるという場合は、何らかのトラブルが起きている可能性が高いです。
それらの原因の多くは歯周病や、かみ合わせのトラブルですが、他にもいくつかの要因があり、放置することで症状が悪化し、最悪の場合は歯を失うリスクにつながることもあります。
この記事では、歯のグラつきの原因と対策について現役の歯科医師が詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
歯が浮く・グラグラする・揺れる原因は?
歯が浮く・グラグラする・揺れる原因はさまざまですが、ここでは代表的な原因をいくつ紹介します。
歯周病
歯ぎしり・くいしばり
かみ合わせの問題
外傷・怪我
乳歯の生え替わり
歯周病
歯がグラグラする症状で、最も多い原因が歯周病です。
歯周病は、歯を支える歯ぐきや歯槽骨といった歯周組織が、細菌の感染などによって炎症を起こし、少しずつ破壊されていく病気です。進行すると歯を支える骨が減り、歯が不安定になって揺れ始めます。
特に歯ぐきからの出血や腫れ、口臭、歯茎が下がるなどの症状がある場合は歯周病の可能性が高いです。
歯ぎしり・くいしばり
就寝中や日中の無意識な状態で、歯ぎしりやくいしばりをしている人は少なくありません。
こうした動作は、歯や歯周組織に大きな負荷をかけ、長期間続くと、歯を支える組織が徐々にダメージを受けてしまい、歯が揺れやすくなります。
歯ぎしりやくいしばりは自覚しにくいですが、次のようなクセがある人は要注意です。
ストレスを感じると無意識に歯を食いしばる
日中、上下の歯を接触させている時間が長い(通常は上下の歯は接触しないのが正常)
就寝中に歯ぎしりをしている(朝起きると顎が疲れている)
かみ合わせの問題
かみ合わせ(咬合)のバランスが乱れていると、一部の歯に過度な力がかかります。
その結果、負荷が集中した歯や周辺の歯茎・顎の骨にダメージを与え、歯が揺れ始める原因となることがあります。
かみ合わせの悪さは、歯の位置や顎関節の状態、遺伝的要因などさまざまな要素が絡むため、歯科医院での総合的な治療が必要です。
外傷・怪我
転倒やスポーツでの衝撃など、直接歯や顎に大きな力が加わった場合にも歯がグラつくことがあります。
外傷による歯の揺れは、歯の神経や血流に問題が生じている場合も多いため、早めの診断と処置が不可欠です。
外傷後、特に目立った痛みがなくても歯が揺れる場合は放置せず、歯科医院に相談しましょう。
乳歯の生え替わり
お子さんの場合、乳歯から永久歯へ生え替わる時期に歯が揺れるのは正常な現象です。
ただし、生え替わり時期でないのに歯が揺れる場合や、永久歯が生え揃った後に揺れが生じる場合は要注意ですので、その場合は歯科検診を受けるとよいでしょう。
歯が浮く・グラグラする・揺れるのは治る?歯科医院での治療法
結論からいうと、「歯がグラつく=必ず抜ける」というわけではなく、適切な対応をすることによって歯を残せるケースは多くあります。
歯周病が原因の場合は、早期に発見して治療を開始すれば、歯槽骨の再生を促せたり、進行を止められたりする可能性が高いです。
歯ぎしりの場合は、マウスピースなどを活用して歯ぎしりの負担を軽減したり、かみ合わせを調整して負担を分散することでも、歯の揺れを改善できることがあります。
ただ、いずれにしても一度グラつき始めた歯を放置しても自然に元に戻ることはまれですので、まずは歯科医院で症状の原因を特定し、適切な治療を行ってもらうことが重要です。
ここでは歯科医院での代表的な治療方法をご紹介します。
歯周病治療の治療方法
歯周病が原因の場合、進行度合いに応じて以下のような治療が行われます。
スケーリング・ルートプレーニング(軽度)
歯石やプラークを取り除き、歯ぐきと歯との隙間を清潔に保つことで歯周組織の改善を目指します。
歯周外科手術(中程度)
歯周ポケットが深く、通常のクリーニングでは改善が難しい場合に行われます。
歯ぐきを切開して歯石を徹底的に除去し、歯槽骨の再生を促すことを目指します。
再生療法(重度)
特殊な薬剤や人工骨、メンブレンなどを用いて、失われた歯周組織を再生させる治療法です。
進行した歯周病であっても、場合によっては歯の安定性を回復できる可能性があります。
歯ぎしり・くいしばりの治療方法
歯ぎしりやくいしばりが原因の場合は、以下のような対処法があります。
マウスピース(ナイトガード)の装着
寝ている間に歯ぎしりをしている方には、就寝時のマウスピース着用がおすすめです。
歯の摩耗や過度な負荷を軽減できます。
かみ合わせ調整
かみ合わせが原因の場合は、歯の形態修正、クラウンやブリッジなどの補綴治療、場合によっては矯正治療を行いバランスを整えます。
かみ合わせを適切に治療することで、一部の歯に過度にかかっていた力を分散させ、歯の安定を取り戻しやすくします。
外傷・怪我の治療方法
外傷で歯がグラついている場合は、揺れのある歯を固定するためにワイヤーなどで隣の歯と一時的に固定する場合があります。
神経が損傷した場合は、根管治療が必要になることもあります。
どの程度のダメージなのか、神経や歯周組織に問題がないかを慎重に見極めたうえで、必要な処置を行います。

自分でできるセルフケアと予防策
歯のグラつきは歯科医院での治療がベストですが、歯がグラつく原因は、日々のケアや生活習慣の乱れと深く関係しています。
ここでは、自宅でできる日々のセルフケアと予防方法ついていくつか紹介します。
適切な歯磨きをする
歯周病になり歯を支える骨が減ると、歯がぐらついてしまいます。
歯周病を防ぐために、毎日の歯磨きを見直しましょう。
また、歯ブラシだけでは落としきれない汚れを除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシも併用するのが効果的です。
歯ぎしり・噛み締めを防ぐ
強い噛み締めや歯ぎしりは、歯や歯ぐきに負担をかけ、歯のグラつきを悪化させることがあります。
特に無意識のうちに食いしばるクセがある人は注意が必要です。
日中は奥歯を強く噛み締めていないか意識し、なるべくリラックスするようにしましょう。
夜間の歯ぎしりが気になる場合、ナイトガード(マウスピース)を装着することで、歯への負担を軽減できますが、歯ぎしりはストレスが原因で強く起こることもあるので、ストレス解消のための運動などを取り入れるのも効果的です。
食生活を意識する
歯ぐきを健康に保つためには、食生活も重要です。
栄養バランスが偏ると、歯や歯ぐきの健康が損なわれることがあります。
禁煙とストレス管理
喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、歯周病を進行させる大きな要因です。
タバコを吸うことで免疫力が低下し、歯ぐきの回復力が遅れるため、歯のグラつきを悪化させる可能性がありますので、健康な歯ぐきを維持したい場合は、できるだけ禁煙を心がけましょう。
また、ストレスは噛み締めや歯ぎしりを引き起こしやすくなるため、適度な運動やリラックスできる時間を作ることも大切です。
歯科医院での定期的な歯科検診
歯科医院の定期検診は非常に効果的です。
定期検診では、歯石を除去するスケーリングや、専用機器を使って歯を徹底的にクリーニングするPMTC(プロフェッショナルクリーニング)を受けることができます。
また、かみ合わせのバランスも定期的に確認してもらうことで、歯ぎしりやくいしばりについても改善が見込めます。
特に歯周病が進行している場合、セルフケアだけでは改善が難しく、専門的なケアが必要になりますので、歯科医院で定期的に検診を受けるようにしましょう。
歯のグラつきを感じたら山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
山梨県甲府市の山浦歯科医院では、歯周治療(歯周病・インプラント治療)を中心とし、経験豊富な専門医・スタッフで世界基準の高精度の治療を実施しています。
専門的な知識と経験を生かし、患者さま一人ひとりに適した治療計画を立案し、治療方針や費用、期間なども患者さまが理解しやすいよう丁寧にご説明いたします。
甲府市周辺で「歯がグラつく」「歯周病が気になる」「歯ぎしりやくいしばりがあるかも?」などのお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。