インプラントの寿命はどれぐらい?交換時期や交換にかかる費用を現役歯科医師が解説

更新日:8月26日

インプラント治療を検討している方から、「インプラントは一生使えるのですか?」というご質問をよくいただきます。
数十万円という費用をかける治療だからこそ、どのくらい使えるのかは気になるところです。
一方で、「一度入れれば手入れは要らない」と考えていると、想定より早く使えなくなってしまうこともあります。
インプラントの寿命は、患者様ご自身のケアと定期的なメンテナンスによって大きく変わるのが実際のところです。
本記事では、インプラントの寿命に関する調査データから、交換が必要になるサイン、交換にかかる費用、寿命を延ばすために今日からできることまで、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が現役の歯科医師の視点でわかりやすく解説します。
治療前の方も、すでにインプラントをお使いの方も、ぜひ最後までお読みください。
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インプラントの寿命はどれくらい?
インプラントには、「何年で交換」というような寿命はありません。
適切に治療・管理ができれば10~15年後も9割以上が残っているとされ、20年以上使えるケースも珍しくありません。
適切なメンテナンスを続けていれば、長期にわたって使い続けられます。
複数の研究を統合したシステマティックレビューでは、インプラントの10年生存率は約94〜96%と報告されています。
つまり、10年の時点で9割以上のインプラントが機能を保っているということです。
ただし、この数字は定期的なメンテナンスを受けていることを前提としたものであり、すべての方に当てはまるわけではありません。
生存率に影響する主な要因として、次のような点が挙げられています。
埋入した部位(上顎と下顎で結果に差が出る傾向がある)
骨造成などの追加処置を伴ったかどうか
喫煙習慣の有無
糖尿病などの全身疾患
定期メンテナンスの受診状況
これらの条件が重なるほど、平均的な数字より短くなる可能性があります。
逆に言えば、コントロールできる要因も多く含まれているということです。
インプラント体と被せ物で異なる寿命
インプラントの寿命を考えるうえで、多くの方が見落としがちなのがこの点です。
インプラントは1つの部品ではなく、3つの構造でできています。
部位 | 役割 | 交換の考え方 |
インプラント体(フィクスチャー) | 顎の骨に埋め込む人工の歯根 | 骨と結合していれば長期間そのまま使える |
アバットメント(支台部) | 歯根と被せ物をつなぐ中間パーツ | 破損時に交換することがある |
上部構造(被せ物) | 実際に見えている歯の部分 | 摩耗や破損により作り直すことがある |
つまり「インプラントの交換」と言っても、多くの場合は被せ物の作り直しを指します。
インプラント体そのものを撤去して埋め直すケースは、被せ物の交換に比べればずっと少ないのが実情です。
インプラントの構造については、インプラント治療のページでも詳しくご説明しています。
なお、インプラント体はメーカーによって形状や表面処理が異なり、これが長期的な安定性にも関わります。
インプラントの寿命を縮める4つの原因
インプラントは虫歯にはなりませんが、だからといってトラブルと無縁というわけではありません。
早期に使えなくなってしまうケースには、いくつかの共通した原因があります。
ご自身に当てはまるものがないか、確認してみてください。
インプラント周囲炎
インプラントの寿命を縮める最大の原因が、インプラント周囲炎です。
これは、インプラントに細菌感染が生じ、周囲の歯ぐきや骨に炎症が起こる状態で、進行するとインプラントを支える骨が失われていきます。
天然の歯における歯周病に相当するものと考えるとイメージしやすいでしょう。
システマティックレビューによれば、インプラント周囲炎は患者単位でおよそ20%、インプラント単位でおよそ12%に見られると報告されています。
さらに、炎症が歯ぐきに留まっている「インプラント周囲粘膜炎」の段階まで含めると、患者単位で4〜5割に達するという報告もあります。
厄介なのは、天然の歯の歯周病に比べて痛みなどの自覚症状が出にくく、気づいたときには骨の吸収が進んでいることが少なくない点です。
粘膜炎の段階で見つけられれば、清掃と炎症のコントロールで改善が見込めます。
だからこそ、症状がなくても定期的に確認することに意味があります。
噛み合わせの負担と歯ぎしり
インプラントには、天然の歯にある歯根膜というクッションの役割を果たす組織がありません。
そのため、噛む力がダイレクトに骨へ伝わります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、想定以上の力がかかり、被せ物の破損やネジのゆるみ、骨への過剰な負担につながることがあります。
心当たりのある方は、ナイトガード(就寝時のマウスピース)の使用について歯科医師にご相談ください。
メンテナンス不足
インプラントは人工物ですが、その周囲には天然の歯ぐきと骨があります。
ここに汚れが溜まれば、当然ながら炎症が起こります。
セルフケアだけでは、インプラントと歯ぐきの境目や、被せ物の内側といった清掃しにくい部分の汚れを完全に落とすことは困難です。
定期的な専門的クリーニングを受けていない場合、インプラント周囲炎のリスクは大きく高まります。
喫煙と全身疾患
喫煙は、歯ぐきの血流を悪化させ、免疫機能や傷の治りなどに影響することが知られています。
また、血糖コントロールが不良な糖尿病も、感染への抵抗力や治癒に関わるため、インプラントの予後に影響する要因として挙げられます。
これらに該当する方は、治療前の段階で歯科医師と情報を共有し、リスクを踏まえた計画を立てることが大切です。
インプラント治療に伴うリスクについては、別の記事でも詳しく取り上げています。
交換が必要になるサインと時期の目安
「そろそろ交換の時期でしょうか」というご相談もいただきますが、年数だけで判断するものではありません。
実際には、状態を見て判断します。
以下のようなサインがあれば、時期にかかわらず一度ご相談ください。
被せ物が欠けた、割れた
噛んだときに違和感やぐらつきを感じる
インプラント周囲の歯ぐきが腫れる、出血する、膿が出る
食べ物が以前より挟まりやすくなった
被せ物が外れた
これらは、被せ物の劣化やネジのゆるみ、インプラント周囲炎など、原因がさまざまです。
自己判断で様子を見るのではなく、状態を確認したうえで必要な処置を選ぶことをおすすめします。
部位ごとの交換の考え方は次のとおりです。
部位 | 起こりうること | 対応 |
上部構造(被せ物) | 摩耗、欠け、破折、変色 | 作り直しが必要になることがある |
アバットメント・ネジ | ゆるみ、破損 | 締め直しや部品交換で対応できる場合がある |
インプラント体 | インプラント周囲炎による骨吸収、結合の喪失 | 撤去と再埋入を検討する |
ネジのゆるみのように、早く見つかれば簡単な処置で済むものもあります。
一方、インプラント周囲炎による骨の吸収は元に戻すことが難しく、進行すると撤去せざるを得ません。
早期発見の価値が最も大きいのが、この領域です。
交換にかかる費用
インプラント治療および交換に伴う処置は、いずれも自由診療(保険適用外)となります。
当院のインプラント治療の費用は、以下の通りです。
内容 | 費用(税込) |
チタンアバットメント&PFM(金属焼き付けセラミック) | 616,000円 |
ジルコニアアバットメント&オールセラミッククラウン | 660,000円 |
シンプラント(ガイデッドサージェリー) | 132,000円 |
上記はデータ解析・診断・手術から、最終的にセラミックの被せ物を装着するまでの1本あたりの総額です。
被せ物のみを作り直す場合や、部品の交換のみで対応できる場合は費用が異なります。
状態によって必要な処置が変わるため、まずは診査のうえでお見積りをご説明しています。
治療期間・回数
新たにインプラントを埋入する場合、埋入手術から最終的な被せ物の装着まで、通常4~6ヶ月程度が目安です。
通院回数は診査・手術・型取り・装着・調整を含め、複数回にわたります。
骨造成を伴う場合は、さらに期間を要します。
リスク・副作用
外科処置に伴い、術後の腫れ、痛み、内出血が生じることがあります。
まれに、周囲の神経や血管への影響、上顎洞への影響が生じる可能性があります。
また、埋入後にインプラント体が骨と十分に結合しない場合や、経過中にインプラント周囲炎を発症した場合には、追加の処置や撤去が必要となることがあります。
喫煙習慣、コントロール不良の糖尿病、骨量の不足は、これらのリスクを高める要因です。
費用の詳細は診療費用のページをご覧ください。
なお、インプラント治療にかかった費用は、条件を満たせば医療費控除の対象となります。
インプラントで使える保証制度
当院では、万が一の際に備えて2つの保証制度をご用意しています。
インプラント10年保証制度(ガイドデント社/任意加入)
保証期間中にインプラントの脱落や破損が生じた場合、所定の条件を満たしていれば、1本につき上部構造100,000円まで、インプラント体200,000円までを上限として、無償で再治療を受けられます。
転居などで通院先が変わった場合も、全国のガイドデント認定歯科医療機関で同様の保証を受けられます。
保証料はインプラント1本あたり33,000円です。
自由診療保証制度
当院で治療した詰めもの・被せもの・インプラントについて、通常使用における破損や脱落は5年間無償で再治療いたします。
ただし、定期健診・メインテナンスを受けていただけていない場合など、保証の対象外となる条件もあります。
いずれの制度も、定期的に通院いただくことが前提です。
保証を活かすという意味でも、メンテナンスの継続には価値があります。
インプラントの寿命を延ばすためにできること
ここまで読んでいただいた通り、インプラントの寿命を左右する要因の多くは、日々の習慣と通院によってコントロールできます。
治療の成否は手術の日で決まるのではなく、その後の年月で決まると言っても大げさではありません。
毎日のセルフケア
インプラント自体は虫歯になりませんが、周囲の歯ぐきと骨を守ることが寿命に直結します。
特に意識していただきたいのは、インプラントと歯ぐきの境目です。
歯ブラシは境目に毛先が当たるよう、角度を意識して当てる
歯間ブラシやフロスで、隣の歯との間も清掃する
力任せに磨かず、丁寧に動かす
就寝前のケアは特に念入りに行う
ケアの方法は、被せ物の形や歯並びによって適したものが変わります。
当院では被せ物の装着後に、歯科衛生士がその方に合った清掃方法をご説明しています。
定期メンテナンスの継続
インプラント周囲炎は自覚症状が乏しいため、ご自身で早期に気づくことは困難です。
そのため、症状がない時期に定期的に確認することが重要になります。
当院では、インプラント治療後は3ヶ月に1度のクリーニングをおすすめしています。
メンテナンスでは、インプラント周囲の歯ぐきの状態、噛み合わせ、被せ物やネジの緩みの有無、清掃状態などを確認します。
メンテナンスの内容については、予防歯科(PMTC)のページもあわせてご覧ください。
インプラント治療なら山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
インプラントの寿命は、10年生存率でおよそ9割以上と報告されていますが、この数字はメンテナンスを継続していることが前提です。
寿命を縮める最大の要因はインプラント周囲炎であり、自覚症状が出にくいという性質上、定期的な確認が欠かせません。
また、「交換」といっても多くは被せ物の作り直しであり、インプラント体そのものを撤去するケースは限られています。
違和感やぐらつき、歯ぐきの腫れといったサインがあれば、年数にかかわらず早めにご相談ください。
山浦歯科医院では、歯科用CTによる診査と3Dシミュレーションを用いた治療計画のもとでインプラント治療を行い、治療後は手術用顕微鏡を使ったメンテナンスで長期的な経過を確認しています。
すでに他院でインプラント治療を受けられた方のご相談も承っております。
お口のことで気になる点がありましたら、お気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。
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