一時帰国で歯医者に行く場合はどうする?保険証がない場合は?現役の歯科医師が解説
- 山浦 泰明

- 4月21日
- 読了時間: 10分
更新日:6月5日

海外に住んでいると、「歯が痛くなったけど現地では受診しにくい」「日本に帰ったときにまとめて歯科治療を済ませたい」と考える方は少なくありません。
しかし、いざ一時帰国して歯医者に行こうとすると、「保険証はどうすればいいの?」、「どんな治療が受けられる?」「費用はどれくらいかかる?」といった疑問が次々と浮かんでくるのではないでしょうか。
本記事では、一時帰国中に歯科医院を受診する際の手順や注意点、保険証がない場合の対応方法について、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が、歯科医師の立場からわかりやすく解説します。
帰国前にしっかり準備しておくことで、限られた滞在期間を有効に活用できますので、ぜひ最後までお読みください。
一時帰国中に歯科受診を考えるべき理由
海外での生活が長くなると、日本と比べて歯科受診のハードルが高くなりがちです。
言語の壁や医療費の高さ、質のばらつきなど、現地で安心して治療を受けることが難しいと感じている方も多いでしょう。
一時帰国のタイミングは、日本において質の高い歯科医療を受けられる貴重な機会です。
帰国中に歯科を受診しておくことで、現地でのトラブルを未然に防ぐことができます。
特に定期的なメンテナンスや検診は、問題が小さなうちに対処できるため、長期的に見ても歯の健康を守るうえで非常に重要です。
海外での歯科治療は高額になりやすい
海外、特に欧米やオーストラリアなどでは、歯科治療の費用が非常に高額になる傾向があります。
海外の歯科保険は日本のように公的制度ではなく、民間保険に加入していない場合は全額自己負担となります。
日本では公的な健康保険制度のもと、保険適用の治療であれば費用の一部(通常は3割)負担で済みます。
一時帰国中に治療を受けることで、海外と比べて大幅にコストを抑えられる可能性があります。
自由診療においても、日本語でのコミュニケーションが可能なため、治療内容や費用について十分な説明を受けたうえで納得して治療を進められる点も大きなメリットです。
海外では言語の壁から、説明が不十分なまま治療が進んでしまうこともありますが、日本ではそういった心配が少なくなります。
一時帰国で歯医者に行く場合の基本的な流れ
一時帰国中に歯科受診を希望する場合、帰国前から準備を進めることが大切です。
滞在期間が限られている分、スムーズに受診できるよう事前に段取りを整えておきましょう。
帰国前に確認・準備しておくこと
帰国前に以下の点を確認・準備しておくことをおすすめします。
現在の健康保険の加入状況を確認する
日本の国民健康保険や社会保険に加入しているかどうかを確認しましょう。
海外旅行保険や海外在住者向け保険の内容を調べる
一時帰国中の歯科治療が補償対象になる場合があります。
過去にかかっていた歯科医院に連絡する
以前のカルテがあれば、スムーズに治療を再開できます。
受けたい治療の内容をある程度まとめておく
「どこが痛い」「以前どんな治療をした」など、症状や治療歴を整理しておくと受診がスムーズになります。
帰国後の滞在スケジュールを確認する
治療内容によっては複数回の通院が必要なため、日程に余裕をもたせましょう。
事前の準備があるかどうかで、限られた帰国期間を有効に使えるかどうかが大きく変わります。
特に保険証の有無は費用に直結するため、早めに確認しておくことが重要です。
歯科医院の予約と受診の手順
帰国が決まったら、できるだけ早めに歯科医院への予約を入れましょう。
一時帰国期間中に治療が完結するよう、初回受診日を帰国直後に設定するのが理想的です。
受診の一般的な流れ
帰国前に予約を入れる
初回受診:問診・口腔内検査・レントゲン撮影
治療計画の説明・費用の確認
治療開始(内容によっては複数回の通院が必要)
治療完了・帰国前のメンテナンス
初回受診では、まず現在の口腔内の状態を詳しく確認します。
その後、必要な治療の優先順位を歯科医師と相談しながら決めていく流れになります。
滞在期間が短い場合は、その期間内でできる治療と、次回帰国時に行う治療を分けて計画を立てることも可能です。
保険証がない場合の歯科受診について
一時帰国中の最大の疑問のひとつが「保険証がないと受診できないの?」という点です。
結論からいうと、保険証がなくても歯科医院を受診することは可能です。
ただし、その場合は「自費診療(保険外診療)」となるため、費用の全額を患者さん自身が負担することになります。
保険証の有無によって受診の可否が変わるわけではありませんが、費用の面で違いが出ます。
自分の状況をきちんと把握したうえで、歯科医院に相談することが大切です。
海外在住者の健康保険の扱い
日本の健康保険制度は、日本に住所(住民登録)がある方を対象としています。
海外に長期滞在する場合、住民票を抜いて(転出届を提出して)いる方は、国民健康保険の資格を失うため、保険証を使用することができません。
一方で、以下のケースでは帰国中でも健康保険が使える場合があります。
住民票を抜いていない場合
国内に住民登録が残っていれば、国民健康保険に加入したままとなり、保険証が有効です。
ただし、海外在住中も保険料の納付義務があります。
会社の健康保険(社会保険)に加入したまま海外赴任している場合
勤務先の健康保険組合の被保険者であれば、帰国時も保険証を利用できます。
自分がどの状況に当てはまるかは、勤務先の担当部署や市区町村の窓口に確認するのが確実です。
保険証なしで受診した場合の費用目安
保険証がない場合は自費診療となり、治療費は全額自己負担になります。
自費診療の費用は歯科医院によって異なりますが、一般的な目安として以下のような価格帯が多く見られます。
治療内容 | 保険診療(3割負担の目安) | 自費診療(目安) |
初診料・検査 | 2,000〜4,000円程度 | 5,000〜15,000円程度 |
虫歯治療(詰め物) | 1,500〜5,000円程度 | 10,000〜50,000円程度 |
歯のクリーニング | 2,000〜4,000円程度 | 5,000〜20,000円程度 |
根管治療(神経の治療) | 5,000〜15,000円程度 | 30,000〜100,000円程度 |
歯の抜歯 | 2,000〜5,000円程度 | 10,000〜30,000円程度 |
※上記はあくまで参考目安です。
実際の費用は治療内容・使用する素材・医院によって大きく異なります。受診前に歯科医院へ問い合わせるか、初診時に詳しく確認しましょう。
自費診療の場合でも、海外と比較すれば費用を抑えられるケースは少なくありません。
また、歯科医院によっては一時帰国の方向けに相談対応を行っているところもあるため、遠慮なく問い合わせてみることをおすすめします。
海外旅行保険・民間保険の活用
一時帰国中の歯科治療については、加入している海外旅行保険や海外在住者向けの民間保険が補償対象になる場合があります。
保険の種類によっては、急性の歯痛や応急処置については補償されるケースもあります。
ただし、保険の適用条件や手続き方法は保険会社ごとに異なります。
帰国前に加入している保険の内容を確認し、必要であれば保険会社に直接問い合わせておくと安心です。
また、受診後の領収書や診断書が必要になる場合もありますので、受診時に歯科医院側へその旨を伝えておきましょう。
一時帰国中に受けやすい歯科治療の種類
一時帰国の際に歯科医院で受けられる治療は多岐にわたります。
ただし、治療内容によっては複数回の通院が必要なため、滞在期間や帰国スケジュールに合わせて優先順位を考えることが大切です。
限られた時間の中でできる治療と、次の帰国に持ち越す治療を歯科医師とよく相談しながら、最適な治療計画を立てましょう。
1回〜数回の通院で完結しやすい治療
以下の治療は比較的短期間で完結しやすく、一時帰国中でも受けやすい内容です。
クリーニング・定期検診:歯石除去や歯面清掃、虫歯・歯周病のチェックを行います。
小さな虫歯の治療:初期段階の虫歯であれば、1〜2回の通院で詰め物の処置まで完了できる場合があります。
応急処置・痛みの緩和:一時的な歯の痛みや、歯の欠けなどに対して応急的な処置を行います。
ホワイトニング:歯の白さを改善する施術で、施術内容によっては短期間で完了できます。
これらの治療は一時帰国のスケジュールに組み込みやすく、毎回の帰国時に定期的に受けることで歯の健康を長期にわたって守ることができます。
複数回の通院が必要な治療
以下の治療は段階を踏んで進める必要があるため、滞在期間が短い場合は注意が必要です。
根管治療(神経の治療):歯の根の中の感染した組織を除去する治療です。
被せもの(クラウン)の作製:型取りから完成まで数回の通院が必要です。
入れ歯・ブリッジの作製:型取りや調整のために複数回通院します。
インプラント治療:外科処置を含む本格的な治療で、数ヶ月にわたる治療期間が必要になります。
これらの治療については、次回の帰国予定を歯科医師に伝えたうえで、帰国のたびに少しずつ進めていく方法をとることも可能です。
途中で帰国してしまう場合でも、仮の処置を施すなど対応できる場合がありますので、歯科医師に相談してみてください。
一時帰国中の歯科受診を成功させるポイント
限られた帰国期間を有効に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。
帰国前に連絡・予約を済ませておく
帰国後にすぐ受診できるよう、渡航前の段階で歯科医院への問い合わせ・予約を入れておくことが理想です。
特に人気の歯科医院は予約が埋まっていることも多いため、早めの連絡が大切です。
一時帰国であることを伝えると、スケジュール調整に配慮してもらえることもあります。
過去の治療記録や診断書を持参する
以前かかっていた歯科医院の治療記録や、海外で受けた治療の診断書・レントゲン画像などがあれば持参しましょう。
治療歴がわかることで、重複した検査を省けたり、より適切な治療計画を立てやすくなったりします。
一時帰国であることを正直に伝える
受診時には、海外在住であり一時帰国中であることを必ず歯科医院に伝えましょう。
帰国期間や次回の来日予定などを共有することで、期間内に完結できる治療と次回へ持ち越す治療を適切に振り分けた治療計画を立ててもらいやすくなります。
また、保険証の有無についても初めから正直に申し出ることが大切です。
保険証がない場合は自費診療となりますが、費用の見積もりを事前に確認することで、安心して治療を受けられます。
痛みがなくても検診を受ける習慣をつける
一時帰国中は「痛いところだけ治せばいい」と考えてしまいがちですが、定期的な検診とクリーニングを習慣にしておくことを強くおすすめします。
虫歯や歯周病は初期段階では自覚症状が出にくく、気づいたときには症状が進行しているケースが少なくありません。
帰国のたびに定期的なメンテナンスを受けることで、大きな治療が必要になる前に問題を発見・対処することができます。
一時帰国中の歯科治療なら山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
山梨県甲府市にある「山浦歯科医院」では、一時帰国中の方の歯科受診にも対応しております。
「保険証がないけれど受診できる?」、「限られた期間でどこまで治療できる?」といったご不安やご疑問も、お気軽にご相談ください。
当院では、患者さん一人ひとりの状況やご要望をしっかりとお伺いしたうえで、滞在期間に合わせた最適な治療計画をご提案し、虫歯・歯周病の治療から、歯のクリーニング・定期検診、審美的な歯科治療まで、幅広いニーズに対応しております。
実際に一時帰国で受診される患者様も多数いらっしゃいますので、甲府市周辺かつ一時帰国中で歯科受診をお考えの方は、ぜひ山浦歯科医院にお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。
参考文献


