引っ越しや転勤で歯医者に行けなくなったらどうする?現役の歯科医師が解説
- 山浦 泰明

- 4月7日
- 読了時間: 8分
更新日:6月5日

「治療の途中なのに引っ越しが決まってしまった」、「転勤先で歯医者をどう探せばいいかわからない」
そんな悩みを抱えている方は、実は少なくありません。
歯科治療は一度始めたら継続することが大切ですが、生活環境の変化によって通院が難しくなるケースもあります。
本記事では、引っ越しや転勤などで歯医者に行けなくなった場合のリスクや、引っ越し前後に取るべき具体的な対処法について、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が、歯科医師の視点からわかりやすく解説します。
「今すぐ何をすべきか」が明確になる内容ですので、ぜひ最後まお読みください。
引っ越し・転勤で歯科治療を中断される人は意外と多い
厚生労働省の調査によると、定期的に歯科を受診している人の割合は決して高くなく、歯科治療を途中でやめてしまう「中断患者」の問題は歯科業界でも長年の課題とされています。
特に引っ越しや転勤など生活環境の変化は、治療中断の大きなきっかけのひとつです。
「また新しい歯医者を探すのが面倒」、「どこに行けばいいかわからない」という理由で、引っ越し後もずっと歯医者に行けていない方も多くいます。
しかし、歯の問題は放置すればするほど悪化するため、早めの対応が重要です。
歯科治療の途中で引っ越すと何が問題になる?
歯科治療は、虫歯の除去から型取り・詰め物の装着まで、複数回の通院が必要なことがほとんどです。
治療の途中で通院をやめてしまうと、仮の詰め物が取れたり、神経の治療が中途半端になってしまったりと、口腔内の状態が不安定なまま放置されることになります。
また、歯周病の治療についても、定期的なクリーニングとセルフケアの指導を継続することが治療の鍵です。
途中で通院をやめると、改善しかけていた歯茎の状態が元に戻ってしまうこともあります。
治療中断によって起こりうる主なリスク
引っ越しをきっかけに歯科治療を中断した場合、具体的にどのような問題が起こりうるのでしょうか。
代表的なリスクを以下にまとめました。
虫歯・詰め物の仮の詰め物の状態が続くリスク
虫歯の治療では、削った歯に仮の詰め物をした状態で次の来院を待つことがよくあります。
この仮の詰め物は強度が低く、長期間使い続けると外れたり欠けたりしやすくなります。
仮の状態が長く続くと、そこから細菌が入り込んで再び虫歯が進行し、最終的には抜歯が必要になるケースもあります。
神経の治療(根管治療)が未完成になるリスク
歯の神経を取り除く「根管治療」は、一般的には複数回の通院をかけて行うことがあります。
途中で中断してしまうと、根管内に細菌が残ったまま封鎖されることになり、後に歯の根の尖端に膿が溜まる「根尖病巣」を引き起こすことがあります。
痛みや腫れが出てからでは治療が難しくなることもあるため、治療途中での放置は特に注意が必要です。
歯周病が悪化するリスク
歯周病の治療は、歯石除去や歯磨き指導を繰り返しながら、口腔内の環境を少しずつ整えていくものです。
定期的なメンテナンスを受けることで歯茎の炎症が落ち着いてきますが、通院が途絶えると再び歯石が蓄積し、歯周病が悪化します。
歯周病は進行すると歯を支える骨が溶けていく病気であり、最悪の場合は歯を失うことにもつながります。
引っ越し前に歯科医院でやっておくべきこと
引っ越しが決まったら、できるだけ早く担当の歯科医師に伝えることが最善の策です。
引っ越し前にしっかりと準備しておくことで、転居先でもスムーズに治療を引き継ぐことができます。
以下に、特に重要な3つの準備事項をご紹介します。
かかりつけ歯科医に早めに引っ越しを伝える
引っ越しが決まったら、次の来院のタイミングで担当の歯科医師に伝えましょう。
できれば引っ越しの2〜3ヶ月前には報告しておくと、残りの治療スケジュールを調整してもらいやすくなります。
治療を完結させてから引っ越しに臨むのが理想ですが、日程的に難しい場合でも、現在の治療状況をしっかりと確認しておくことが重要です。
診療情報提供書(紹介状)を作成してもらう
「診療情報提供書」とは、これまでの治療内容や現在の口腔内の状態、今後必要な治療などを記載した書類で、いわゆる「紹介状」に当たります。
転居先の歯科医院にこの書類を持参することで、新しい歯科医師がスムーズに治療を引き継ぐことができます。
お願いすれば多くの歯科医院で作成してもらえますので、遠慮なく相談してみましょう。
レントゲン画像・治療記録のコピーをもらう
これまで撮影したレントゲン(X線)画像のコピーをもらっておくと、新しい歯科医院で過去の治療歴の把握をしやすくなり、治療計画や治療の流れがスムーズになることもあります。
デジタルデータとして保存されている場合は、CD-ROMやデータ形式でもらえることもあります。
特に根管治療や骨の状態に関わる治療を受けていた場合は、画像情報が重要です。
引っ越し先で新しい歯医者を選ぶときのポイント
引っ越し先でかかりつけの歯科医院を見つけることは、長期的な口腔の健康を守るうえでとても大切です。
以下に、歯科医院を選ぶ際に特に意識してほしい3つの視点をご紹介します。
アクセスのよさ・通いやすさで選ぶ
歯科医院選びでもっとも重要なのは「通い続けられるか」という点です。
どれだけ良い歯科医院でも、遠くて通いにくければ結局足が遠のいてしまいます。
自宅や職場から近く、診療時間が自分の生活スタイルに合っているかどうかを最初に確認しましょう。
土日診療や夜間診療の有無も、仕事が忙しい方には重要な判断基準です。
治療の幅・設備・専門性で選ぶ
引っ越し前から続けていた治療の内容によっては、特定の診療科目や設備が必要になる場合があります。
例えば、インプラントや矯正治療を検討している場合は、その専門性を持つ歯科医院を選ぶことが大切です。
ホームページや口コミを確認し、治療の幅広さや設備の充実度も選択の参考にしましょう。
口コミ・評判を参考にする
Googleマップの口コミや地域の情報サイトのレビューも、歯科医院選びの参考になります。
ただし、口コミはあくまでも個人の感想であり、すべての方に当てはまるわけではありません。
実際に受診して歯科医師や受付スタッフとのコミュニケーションを確認し、「この先生に任せたい」と感じられるかどうかを自分の目で判断することが大切です。
確認項目 | チェックポイント |
アクセス | 自宅・職場からの距離、駐車場の有無 |
診療時間 | 土日・祝日診療、夜間対応の有無 |
診療内容 | 一般歯科・小児・矯正・インプラントなど |
設備 | デジタルレントゲン・CT・マイクロスコープなど |
対応力 | 初診時の説明の丁寧さ、質問しやすい雰囲気 |
口コミ・評判 | Googleや地域情報サイトのレビュー内容 |
上記のチェックリストを参考に、複数の候補から自分に合った歯科医院を選ぶことをおすすめします。
初診の段階で「相談しやすいか」「説明が丁寧か」を確認することも、長く通い続けるための大切な判断材料です。
引っ越し先の歯医者を初めて受診するときに伝えること
新しい歯科医院に初めて受診する際は、以下の情報をできる限り伝えるようにしましょう。
事前に伝えておくことで、歯科医師が適切な診断と治療計画を立てやすくなります。
以前の歯科医院での治療内容と現在の治療状況
持参した診療情報提供書(紹介状)とレントゲン画像
現在感じている症状(痛み・違和感・仮の詰め物の状態など)
服用中の薬やアレルギーの有無
引っ越し前の歯科医院の名称・所在地(問い合わせが必要な場合に備えて)
紹介状がない場合でも、口頭で治療経緯を伝えることで歯科医師は状況を把握しやすくなります。
「どんな治療をしていたかよくわからない」という場合でも、気になる症状や心配な点を正直に話すことが大切です。
転勤・単身赴任の場合の対処法
転勤や単身赴任では、家族と別々の生活を送りながら歯科医院もどこに通えばよいか悩む方が多くいます。
こうした場合は、状況に応じて2つのアプローチが考えられます。
帰省のタイミングでかかりつけ歯科を続ける
単身赴任で月に数回は地元に帰る機会がある方は、そのタイミングでもともとのかかりつけ歯科に通い続ける方法があります。特に長期的な矯正治療や、信頼関係を築いてきた担当医との治療を続けたい場合に有効です。
ただし、急な痛みや緊急の対応が必要な場合は、赴任先でも診てもらえる歯科医院を事前に探しておくと安心です。
転勤先にもかかりつけ歯科医を作る
単身赴任期間が長期になる場合や、定期的なメンテナンスを継続したい場合は、赴任先でもかかりつけ歯科医を作ることをおすすめします。
「仮のかかりつけ」として赴任先の歯科医院を活用し、地元のかかりつけ歯科医と連携してもらう形を取ると、治療の一貫性を保ちやすくなります。
引っ越し・転勤後の歯科治療なら山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
山梨県甲府市にある山浦歯科医院では、引っ越しや転勤などで他院からの転院をご希望の方を広く受け入れております。
以前の治療記録や紹介状をお持ちでない場合でも、現在の状態を丁寧に確認しながら、最適な治療計画をご提案します。
初めての方でも安心して相談いただけるよう、初診時には現在の症状や治療のご希望を丁寧にお伺いしています。
「引っ越し先でどこに行けばいいかわからない」、「転勤中に急に歯が痛くなった」、そんな場合は、ぜひ山浦歯科医院へお気軽にご相談ください。
皆様のお口の健康を守るために、スタッフ一同、誠心誠意対応してまいります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。
参考文献


