「なんか歯が浮いている感じがする…」
「歯が浮いて痛いような気がする…」
歯が浮く感じがしたり、歯が浮いて痛みを感じたりする経験は、実は多くの方が抱える悩みです。
このような症状は放置しておくと、さらに深刻な問題に発展する可能性があります。
この記事では、歯が浮く・浮いて痛いと感じる原因として考えられる主な6つの理由と、それらの対処方法について現役の歯科医師が解説します。
歯が浮く・浮いて痛いと感じる6つの原因
歯が浮く感覚の主な原因は、歯根膜という組織の炎症が原因です。
歯根膜は歯の根と顎の骨の間にある薄い膜のことで、通常は噛んだ時の力を抑えるクッションの役割や、噛んだ時の感覚センサーの役割、噛む力を調整する役割などをしていますが、この歯根膜に何らかの刺激やダメージが加わると、血行障害が起こり、血液やリンパ液を増やしてそのダメージを回復させようとします。
それが歯が浮く・浮いて痛いと感じるような感覚を引き起こしてしまうのですが、これは主に以下の6つのケースで起こりやすいです。
歯周病(歯周炎)の影響
食いしばり・歯ぎしりをしている
ストレスや疲労がある
食事や生活習慣の影響
歯の治療直後
神経のない歯が感染している
1.歯周病(歯周炎)の影響
歯周病(歯周炎)は、歯が浮くように感じる最も一般的な原因です。
歯周病は、歯を支える骨や歯茎の組織が細菌感染によって炎症を起こす病気で、初期段階では歯茎の腫れ・出血がある程度ですが、進行すると歯周組織に膿が溜まり、歯を圧迫する力が働き、歯が浮いたように感じることがあります。
歯周病を放置したままにすると、症状が悪化し、最悪歯の抜歯のリスクもあるため、歯周病の場合は早期の段階での治療が重要です。
2.食いしばり・歯ぎしりをしている
日常的に強く食いしばったり、睡眠中に歯ぎしりをしていると、歯に過度な力がかかり、傷みや浮いたように感じることがあります。
特に睡眠時の歯ぎしりに関しては、無意識的に行われていることがほとんどで、基本的にコントロールすることができないため、あまりにもひどい場合はマウスピース(ナイトガード)を使用するなどして防ぐ必要があります。
3.ストレスや疲労がある
ストレスや疲労も歯が浮く感覚に影響を与える可能性があります。
自律神経のバランスが乱れることで、歯茎の血行が悪くなり、炎症や違和感を引き起こすことがあるほか、食いしばり・歯ぎしりを引き起こす原因にもなり得ます。
4.食事や生活習慣の影響
食事、喫煙、飲酒などの生活習慣も歯が浮く原因となることがあります。
食事に関しては、硬いものを常習的にかみ続けていたりすると、それが歯のダメージとなり、修復しようと歯根膜に血液やリンパ液が集まって、歯の浮く感覚が発生することがあります。
また、ビタミン不足なども、歯周病や歯肉炎のリスクを高める要因となりますので、正しい食事や生活習慣を守ることは歯にも重要です。
5.歯の治療直後
歯の治療を受けた直後に、歯が浮く感じを覚えることがある方は多いと思います。
これは、詰め物や被せ物による噛み合わせの違和感や、治療の際に歯根膜まで刺激が加わったことが原因で、大抵の場合は1日~3日程度で違和感が治ります。
もし治療から数日以上経っても、歯の違和感の症状が続く場合は歯科医に相談することをおすすめします。
6.神経のない歯が感染している
虫歯が進み、歯の根の先にまで感染が広がると、たとえ神経がない歯でも歯が浮いたような感覚になる場合があります。
この場合、歯の内部に感染源が残っている状態となり、放置すると歯の抜歯が必要になることもあるため、早めに歯科医に相談することが重要となります。
歯が浮くのは自然に治る?自宅でできる対処方法
歯が浮く感覚が自然に治るかどうかは、原因により異なります。
セルフケアで改善することもありますが、根本的な解決には専門的な治療が必要なことが多いです。
口腔ケアの徹底
毎日のブラッシングやデンタルフロスの使用で、口腔内を清潔に保ち、歯周病の予防をすることも大切です。
適度な運動と休養
十分な睡眠や適度な運動を取り入れて、ストレスを和らげましょう。
また、歯ぎしりが気になる場合は、歯科医院でマウスピースを作成してもらい、就寝時にマウスピースの使用を検討しましょう。
歯が浮く感覚でお悩みの場合はご相談ください
歯が浮く感覚は、放置することでさらなるトラブルにつながる可能性があります。
歯が浮く感覚が続く、または痛みが増す場合は、歯科医院で処置が必要となります。少しでも違和感を感じるようになったら早期に適切な対処を行うことが大切です。
当院では診療はもちろん、セカンドオピニオンも受け付けていますので、歯が浮く症状にお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。