歯医者で相談(セカンドオピニオン)だけは可能?具体的な費用やセカンドオピニオンの重要性について現役歯科医師が解説
- 山浦 泰明

- 10月24日
- 読了時間: 15分
更新日:22 時間前

「この治療方法で本当に大丈夫だろうか」「抜歯は避けられないのだろうか」と、歯科治療に不安を感じたことはありませんか?
そんなときは、別の歯科医師に意見を求める「セカンドオピニオン」という選択肢があります。
しかし、「主治医に失礼ではないか」「相談だけで診てもらえるのか」「費用はどれくらいかかるのか」など、セカンドオピニオンについて疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が、現役の歯科医師の視点から、歯科治療におけるセカンドオピニオンについて詳しく解説します。
セカンドオピニオンを検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
セカンドオピニオンって何?
セカンドオピニオンとは、現在診療を受けている医師とは別の医師に、診断内容や治療方針について「第2の意見」を求めることを指します。
担当医以外の医師から診断や治療方針について助言(第2の意見)を得て、患者自身が十分に理解し納得した上で治療法を選べるように設けられた仕組みです。
近年では歯科治療においてもセカンドオピニオンが一般的になってきており、特にインプラントや矯正治療、審美歯科などの自費診療、あるいは抜歯を伴う治療では積極的に活用されています。
セカンドオピニオンは「転院」や「担当医を変えること」とは異なり、あくまで別の専門家の意見を聞くことで、より良い治療選択をするための手段と言えます。
セカンドオピニオンと転院の違い
セカンドオピニオンと転院は、しばしば混同されますが、明確な違いがあります。
セカンドオピニオンは、現在の主治医のもとで治療を続けることを前提に別の歯科医師から意見をもらうことです。
一方、転院は治療を受ける歯科医院そのものを変更することを意味しています。
セカンドオピニオンを受けた結果、最終的に転院を選択することもありますが、セカンドオピニオンを受けること自体が転院を意味するわけではありません。
基本的には、セカンドオピニオンで得た意見を主治医に報告し、今後の治療について話し合うことが推奨されます。
この過程を経ることで、患者様はより多くの情報をもとに、納得のいく治療選択ができるようになります。
歯医者で相談だけは可能?
「相談だけで診てもらうのは申し訳ない」と感じる方もいらっしゃいますが、結論から申し上げますと、歯科医院で相談だけを目的としたセカンドオピニオンを受けることは十分に可能です。
歯科治療は、同じ症状であっても歯科医院や歯科医師によって診断内容や治療法が異なることがあります。
これは歯科医師それぞれの専門分野、経験、治療に対する考え方が異なるためです。
例えば、歯が失われた場合の対処法として、インプラント治療を得意とする歯科医院ではインプラントを提案されることが多く、入れ歯治療に力を入れている歯科医院では入れ歯を勧められることがあります。
セカンドオピニオンは患者様の権利
医療の選択において、患者様は十分な情報を得る権利があります。
セカンドオピニオンを検討することは、より良い治療結果を得るための重要なステップであり、決して主治医に対して失礼なことではありません。
多くの歯科医院がセカンドオピニオンに対して理解を示しており、患者様の知る権利を尊重する傾向が強まっています。
むしろ、患者様が治療に納得されていない場合、歯科医師側から「セカンドオピニオンを受けてみてはどうですか」と提案することもあるほどです。
ただし、セカンドオピニオンは「相談」にあたるため、基本的には保険適用外の自費診療となることが多いです。
また、事前予約が必要な場合がほとんどですので、訪れたい歯科医院に事前に問い合わせることをおすすめします。
セカンドオピニオンにかかる具体的な費用
相場は5,000円から20,000円程度
セカンドオピニオンの費用は歯科医院によって異なりますが、一般的には5,000円から20,000円程度が相場となっています。
一部の歯科医院では無料で実施しているところもありますが、無料の場合でも検査費用が別途発生したり、自費治療の提案を目的としている場合もあるため、事前に費用の内訳を確認することが大切です。
また、相談時間によって料金設定が異なる歯科医院もあり、30分で5,000円~10,000円といった形で設定されている場合もあります。
このように費用に幅があるのは、セカンドオピニオンが自由診療(自費診療)であり、歯科医院側で診察費用を自由に設定できるためです。
資料作成費用が別途かかる場合もある
セカンドオピニオンを受ける際には、現在通院中の歯科医院から紹介状やレントゲン写真、検査結果などの資料を受け取ることが推奨されます。
これらの資料作成にも費用がかかることもあります。
資料を持参せずにセカンドオピニオンを受けることも可能ですが、その場合はセカンドオピニオン先で新たに検査を受ける必要があり、追加の検査費用が発生します。
また、過去の治療経過や現在の状態を正確に把握できないため、適切な意見を得ることが難しくなる可能性があります。
なぜ保険適用外なの?
セカンドオピニオンが基本的に保険適用外となる理由は、担当医以外の歯科医師に治療方法や病状について意見をもらう「相談」という行為のみでは、健康保険の対象とならないためです。
ただし、セカンドオピニオンとして別の歯科医院を訪れる際に、「相談」ではなく「診療」を目的として保険証を提示して受診する場合は、通常の保険診療として扱われます。
この場合は厳密にはセカンドオピニオンではなく、別の歯科医院で改めて診察を受けることになります。
費用については事前に歯科医院のホームページを確認したり、電話で問い合わせたりして、明確にしておくことをお勧めします。
セカンドオピニオンの重要性とメリット
歯科治療においてセカンドオピニオンを受けることには、多くのメリットがあります。
1.治療の選択肢が広がる
セカンドオピニオンを受ける最大のメリットは、治療の選択肢が広がることです。
歯科医師にはそれぞれ得意分野や専門領域があり、また治療に対する考え方も異なります。
例えば、「抜歯が必要」と診断された場合でも、別の歯科医師に相談すると「歯を残す治療法」を提案してもらえることがあります。
また、インプラント治療において「骨が少ないため治療は難しい」と言われた場合でも、歯科医院によっては骨造成を行いインプラント治療が可能な場合もあります。
複数の専門家の意見を聞くことで、今まで知らなかった治療法に出会える可能性があります。
2.納得して治療を受けられる
歯科治療、特に虫歯で歯を削る治療や抜歯などは、一度行ってしまうと元に戻すことができません。
疑問や不安を抱えたまま治療を進めてしまうと、後になって「他の方法があったかもしれない」と後悔する可能性があります。
セカンドオピニオンを受けることで、治療方法のメリット・デメリットを複数の視点から理解でき、より納得したうえで治療に臨むことができます。
精神的な不安が解消されることで、治療への協力度も高まり、結果的に良好な治療結果につながることも期待できます。
3.誤診のリスクを軽減できる
可能性は非常に低いですが、診断に誤りがある場合もゼロではありません。
セカンドオピニオンを受けることで、客観的な立場から改めて診察してもらうことができ、誤診のリスクを軽減できます。
また、複数の歯科医師が同じ診断をした場合は、その診断の信頼性が高いと判断でき、安心して治療を進められるでしょう。
4.相性の良い歯科医師を見つけられる
歯科治療は数回の通院で終わるものから、長期間にわたるものまでさまざまです。
長期間の治療では、歯科医師との相性が治療の成功に大きく影響します。
セカンドオピニオンを活用することで、治療についての情報を得るだけでなく、治療開始前に実際に歯科医師と対面し、治療方針や考え方を聞くことができます。
これにより、ご自身に合った信頼できる歯科医師を見つけるチャンスが広がります。
5.費用の妥当性を判断できる
特にインプラントや矯正治療などの自費診療では、歯科医院によって費用が大きく異なることがあります。
セカンドオピニオンを受けることで、治療費の相場を知り、費用の妥当性を判断ができます。
また、治療費の内訳や保証内容も詳しく確認できるため、予算に応じた治療計画を立てやすくなります。

セカンドオピニオンを受けるべきタイミング
セカンドオピニオンは、どのようなタイミングで受けるべきなのでしょうか。
ここでは、セカンドオピニオンを検討すべき具体的な状況について解説します。
治療方針に不安や疑問を感じたとき
主治医から治療方針の説明を受けた際に、不安を感じたり、疑問が残ったりした場合は、セカンドオピニオンを受けるベストなタイミングです。
治療を開始してしまった後では、セカンドオピニオンの意味が薄れてしまいますので、治療開始前に受けることが重要となります。
具体的には、以下のような状況でセカンドオピニオンを検討すると良いでしょう。
「抜歯が必要」と言われたが、できれば歯を残したい
提案された治療法が自分の希望と大きく異なる
治療の説明が不十分で、よく理解できない
治療期間が予想より長く、理由がよくわからない
治療費が予算を大きく超えている
これらに当てはまる場合は、納得がいくまで主治医に質問することも大切ですが、それでも不安が解消されない場合はセカンドオピニオンを検討することをおすすめします。
大がかりな治療を控えているとき
抜歯やインプラント、矯正治療、歯周外科治療など、大がかりな治療や高額な自費診療を控えている場合は、セカンドオピニオンを受けることが特に有効です。
これらの治療は身体的・経済的負担が大きく、一度開始すると後戻りが難しいため、事前に複数の専門家の意見を聞くことで、より安心して治療に臨むことができます。
治療が長引いているとき
現在の治療がなかなか進まない、何度調整してもらっても症状が改善しない、治療後の痛みがいつまでも取れないといった場合も、セカンドオピニオンを検討すべきタイミングです。
治療が長引く理由はさまざまですが、別の歯科医師の視点から状況を見てもらうことで、新たな解決策が見つかる可能性があります。
歯科医師との相性に不安を感じるとき
治療技術に問題がなくても、歯科医師との相性が合わないと感じることもあるでしょう。
コミュニケーションがうまく取れない、質問しづらい雰囲気があるなど、歯科医師との関係に不安を感じる場合も、セカンドオピニオンを検討する理由になります。
長期的な治療では、歯科医師との信頼関係が非常に重要ですので、セカンドオピニオンを活用して、より相性の良い歯科医師を見つけることも、患者様の権利として尊重されるべきことです。
セカンドオピニオンを受ける際の注意点
セカンドオピニオンを有効に活用するためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
1.デメリットを理解しておく
セカンドオピニオンには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。
費用がかかる
前述のとおり、セカンドオピニオンは基本的に自費診療となるため、5,000円から20,000円程度の費用がかかります。
さらに、紹介状や検査資料の作成費用も別途必要になる場合があります。
同じ診断になる可能性がある
セカンドオピニオンを受けても、必ずしも異なる診断や治療法が提示されるわけではありません。
主治医の診断と同じ結果になる場合もあります。
ただし、その場合でも「複数の専門家が同じ意見」という事実により、安心して治療を進められるというメリットはあります。
時間と手間がかかる
セカンドオピニオンを受けるためには、資料の準備、予約、実際の相談など、一定の時間と手間がかかります。
緊急性の高い治療が必要な場合は、セカンドオピニオンを受けることで治療開始が遅れるリスクも考慮する必要があります。
2.事前準備をしっかり行う
セカンドオピニオンを有効に活用するためには、事前準備が重要です。
まず、現在の治療内容、診断結果、疑問点や不安なことを紙に書き出して整理しておきましょう。
限られた相談時間を有効に使うために、聞きたいことを明確にしておくことが大切です。
また、可能であれば主治医から紹介状、レントゲン写真、検査結果などの資料を受け取っておくことをおすすめします。
これらの資料があれば、セカンドオピニオン先の歯科医師が現在の状況を正確に把握でき、より的確な意見を得られる可能性が高まります。
3.目的を明確にする
セカンドオピニオンの目的は、「自分にとって都合の良い治療を探すこと」ではなく、「客観的な視点から最善の治療を選ぶこと」です。
「もっと安く治療を受けたい」「通院回数を減らしたい」といった理由だけでセカンドオピニオンを繰り返すと、かえって治療が遅れたり、適切な治療を受けられなくなったりする可能性があります。
医学的根拠に基づく治療法を無視して、ご自身の希望だけを叶えてくれる歯科医院を探すためにセカンドオピニオンを利用すると、良くない結果に結びついてしまうこともありますので注意が必要です。
4.受けられないケースもある
すべての歯科医院がセカンドオピニオンを受け付けているわけではありません。
また、以下のようなケースではセカンドオピニオンを受けられない場合があります。
主治医に対する不満や医療過誤、訴訟に関する相談の場合
医療費の内容や医療給付に関する相談の場合
患者様本人ではなく、ご家族からの相談で本人の同意が得られない場合
相談内容に対応できる専門医がいない場合
セカンドオピニオンを検討する際は、事前に受け入れ可能かどうかを歯科医院に確認することをおすすめします。
主治医への適切な伝え方
「セカンドオピニオンを受けたいと伝えたら、主治医との関係が悪くなるのではないか」と心配される方も多いのではないでしょうか。
ここでは、主治医にセカンドオピニオンを希望することを伝える際のポイントについて解説します。
正直に伝えることが大切
セカンドオピニオンを受けることは患者様の権利であり、決して失礼なことではありません。
主治医に対しては、「ファーストオピニオン(主治医の意見)は尊重しています。ただ、他の角度からも治療について理解を深めたいので、セカンドオピニオンを受けたい」という姿勢を明確にして伝えることも大切です。
紹介状を依頼する
セカンドオピニオンを受ける際は、主治医に紹介状(診療情報提供書)やレントゲン写真、検査結果などの資料を依頼しましょう。
これらの資料は、セカンドオピニオンを受ける上で非常に重要です。
資料がない場合、セカンドオピニオン先で一から検査を受け直す必要があり、時間も費用もかかります。
また、これまでの治療経過や現在の状態を正確に伝えることができないため、適切な意見を得ることが難しくなります。
セカンドオピニオン後に報告する
セカンドオピニオンを受けた後は、その結果を主治医に報告することも大切です。
セカンドオピニオン先から受け取った報告書を持参し、得られた意見や診断結果を伝えて、今後の治療について改めて話し合いましょう。
セカンドオピニオンを受ける前と後では、持っている情報量が異なるため、主治医との話し合いもより建設的に進むはずです。
セカンドオピニオン先の選び方
セカンドオピニオンを有効に活用するためには、適切な歯科医院を選ぶことが重要です。
セカンドオピニオンに対応しているか確認する
すべての歯科医院がセカンドオピニオンを実施しているわけではありません。
まずは、セカンドオピニオンを受け付けているかどうかを、歯科医院のホームページや電話で確認しましょう。
予約なしで突然訪れても、十分な時間を確保できない、あるいは断られる可能性があります。
事前に「セカンドオピニオンを希望している」ことを伝えて予約を取ることが大切です。
専門性の高い歯科医師を選ぶ
内科や外科のように、歯科にも分野に特化した専門医が存在します。
例えば、インプラント治療についてのセカンドオピニオンであれば、日本口腔インプラント学会の専門医や指導医の資格を持つ歯科医師、矯正治療であれば日本矯正歯科学会の認定医や専門医の資格を持つ歯科医師を選ぶと良いでしょう。
専門医は高度な知識と技術を兼ね揃えているため、今ある不安や疑問は解消しやすくなるでしょう。
カウンセリング時間が十分に確保されているか
セカンドオピニオンでは、ご自身の治療に対する考えや希望を伝えたり、歯科医師の意見を聞いたりする時間が必要です。
いくら質の高い検査を行っても、カウンセリングの時間が短ければ不安や疑問が解消しきれず、セカンドオピニオンを利用した意味がありません。
カウンセリングに十分な時間を確保してもらえるかどうかを知るためには、実際に問い合わせてみることが一番です。
最新の設備や機材を導入しているか
診断や治療の精度を高めるため、最新の機材や設備を導入しているかも重要なポイントです。
例えば、歯科用CTやマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)などの最新機器を備えている歯科医院では、より精密な診断や治療計画の提案が期待できます。
歯科医院のホームページや問い合わせで、どのような設備があるのかを確認してみると良いでしょう。
山梨県甲府市で歯科のセカンドオピニオンなら「山浦歯科医院」
セカンドオピニオンは、別の歯科医師に「第2の意見」を求めることで、治療の選択肢を広げ、より納得して治療を受けるための重要な手段です。
特に抜歯やインプラント、矯正治療など、大がかりな治療や高額な自費診療を控えている場合は、セカンドオピニオンを受けることで後悔のない選択ができる可能性が高まります。
セカンドオピニオンを受けることは、主治医に対して失礼なことではありません。
むしろ、より良い治療を受けるための前向きな姿勢として、多くの歯科医師に理解されています。
山梨県甲府市の山浦歯科医院では、患者様が安心して治療を受けられるよう、丁寧な説明とカウンセリングを心がけております。
セカンドオピニオンに関するご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。


