top of page

歯科医院の定期検診の頻度はどれくらい?定期検診の内容・費用・効果的な頻度を現役の歯科医師が解説

  • 執筆者の写真: 山浦 泰明
    山浦 泰明
  • 9月1日
  • 読了時間: 10分
ree

「歯科医院での歯の定期検診、どのくらいの頻度で行けばいいの?」、「年に1回で十分?」このような疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。


実は歯科の定期検診は、お口の健康を守るだけでなく、全身の健康維持にも大きく関わるとても重要な習慣で、歯の健康は全身の健康にも大きく影響することが近年の研究で明らかになっています。


特に、虫歯や歯周病は症状が進行すると、治療を受けてもお口にダメージが残ってしまうため、予防と早期発見・早期治療が大切です。


今回は定期検診の適切な頻度や内容、費用、メリットについて、山梨県甲府市の山浦歯科医院の院長が、現役歯科医師の立場から詳しく解説していきます。




一般的に推奨される頻度は3〜6ヶ月に1回

歯科医院での定期検診の頻度は、お口の状態により個人差がありますが、一般的には3~6ヶ月に1回のペースが推奨されています。


お口の中の細菌は、歯科医院でクリーニングを受けて除去しても、約3ヶ月で元の状態に戻ってしまうことが研究により明らかになっています。


特に、歯の表面に形成されるバイオフィルムと呼ばれる細菌の塊は、歯ブラシだけでは完全に除去することができません。


このバイオフィルムは、歯科医院での専門的なクリーニングで除去しても、再び歯の表面に形成されてしまうため、再度クリーニングが必要になります。


また、初期のむし歯や歯周病は自覚症状がほとんどなく、長期間放置してしまうと症状が大きく進行するリスクがああります。


特に歯周病は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットに細菌が感染して炎症が生じ、炎症を放置すると歯を支える骨まで破壊してしまい、歯が抜け落ちる恐ろしい病気です。


そのため、3~6ヶ月ごとに定期検診で予防、早期に発見していくことが重要です。


口腔内の状態による定期健診の頻度の違い

定期検診の頻度は、すべての方が同じではありません。


お口の状態によって適切な頻度は変わってきます。


1~2ヶ月に1回のペースが推奨される方

  • 歯周病治療の既往がある方

  • むし歯になりやすい方

  • セルフケアがうまくいかず、汚れがつきやすい方

  • 唾液の量が少ない方

  • 歯並びが悪く、磨き残しが多い方


歯周病治療の既往がある方は、歯周ポケットが深くなりやすい(歯周病の再発)ことが多く、より頻繁な専門的クリーニングが必要となります。


3~4ヶ月に1回のペースが推奨される方

  • 一般的な口腔内状態の方

  • 軽度の歯周治療の既往がある方

  • 過去に何本かのむし歯治療を受けたことがある方


多くの方がこのカテゴリーに該当します。


特別な問題はないものの、バイオフィルムの再形成期間を考慮し、3~4ヶ月ごとの検診が理想的です。


6ヶ月に1回でも可能な方(リスクが低い)

  • お口の状態が良好な方

  • セルフケアがしっかりできている方

  • むし歯や歯周病のリスクが低い方


過去に歯周病やむし歯になったことがない方は、6ヶ月に1回のペースでも問題ありません。


ただし、6ヶ月以上間隔が空いてしまうと口腔環境が変化してむし歯や歯周病になるリスクが変化し高くなった場合に処置が手遅れになってしまうこともあるため、注意が必要です。


年代別の定期検診の推奨頻度

子ども(乳幼児~学童期):3~4ヶ月に1回

乳歯や生えたばかりの永久歯は、大人の完成された歯に比べて柔らかく未完成なため、むし歯になりやすいという特徴があります。


特に乳歯はエナメル質が薄く、一度むし歯になると進行スピードが速いため、注意が必要です。


またこの時期から定期検診の習慣をつけることで、口腔ケアの意識が高まるほか、歯医者さんに慣れ親しむことで、歯科治療への恐怖心も軽減されます。


成人(20~50代):3~6ヶ月に1回

成人の方は、仕事や家庭で忙しく、なかなか定期健診に通う時間が取れないという方も多いかもしれません。


しかし、この年代は歯周病が進行しやすい時期でもあります。


20~30代では、生活習慣の乱れやストレスなどにより口腔内環境が悪化しやすく、歯肉炎になったり、歯周炎へと進行するリスクがあります。また、親知らずのトラブルも起こりやすい年代です。


40~50代になると、歯周病の有病率が高くなり、歯を失うリスクも増加します。


また、虫歯の有無や過去に治療した詰め物や被せ物の経過をみるためにも3~6ヶ月に1回の定期検診を受けることで、歯を長く健康に保つことができます。


高齢者(65歳以上):1~2ヶ月に1回

高齢になると、唾液の分泌量が減少し、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。


歯周病は全身疾患との関連も指摘されており、歯周病菌が血管内に入ると、脳梗塞や心疾患、糖尿病などのリスクを高めることが研究により明らかになっています。


そのため、高齢者の方にとって、口腔ケアは全身の健康管理の一環として非常に重要です。


入れ歯を使用している方も、入れ歯の調整や、残っている歯のケアを怠ると、さらに歯を失うことにつながりますので、1~2ヶ月に1回の頻度で定期的に検診を受け、メンテナンスをするのがおすすめです。


定期検診の基本的な内容について

ree

基本的な検査項目

定期検診では、以下のような検査や処置を行います。


1. 口腔内の視診・触診

視診・触診によりむし歯や歯周病の有無を確認します。


歯の表面の汚れや、歯茎の腫れ、目に見える虫歯などをチェックします。


2. 歯周ポケットの測定

歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)の深さを測定し、出血・排膿の有無も確認します。


健康な歯茎では1~3mm程度ですが、歯周病が進行すると4mm以上になります。


3. レントゲン撮影

目では見えない歯と歯の間のむし歯や、歯を支える骨の状態、歯の根の状態などを確認します。


4. かみ合わせのチェック

かみ合わせのバランスが崩れると、特定の歯に負担がかかり、歯が欠けたり、歯周病が進行したりする原因になります。


5. 詰め物・被せ物の状態確認

過去に治療した詰め物や被せ物の劣化や、その周囲から起きる二次的なむし歯の有無を確認します。



専門クリーニング(PMTC)

PMTCとは「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で、歯科医師や歯科衛生士による専門的な歯のクリーニングのことです。


PMTCの手順

  1. 染め出し液でプラーク(歯垢)の付着状況を確認

  2. 超音波スケーラーなど専門的な器具でプラークや歯石を除去

  3. 専用のペーストと機械を使って歯の表面を磨く

  4. 歯と歯の間をフロスや歯間ブラシで清掃

  5. フッ素塗布で歯質を強化


PMTCでは、日常の歯磨きでは除去できないプラーク(歯垢)やバイオフィルム、歯石を徹底的に除去します。


また、コーヒーやお茶、タバコなどによる着色汚れも取り除くことができ、歯本来の白さを取り戻すことができるほか、歯の表面をツルツルに磨き上げることで、新たな汚れや細菌が付着しにくくなります。


処置中の痛みはほとんどありません。


1回の処置時間は30分から1時間30分程度(処置内容によって)です。


ブラッシング指導と予防処置

定期検診では、患者様一人ひとりに合わせたブラッシング指導も行います。


歯並びや磨き残しの傾向から、適切な歯ブラシの持ち方、動かし方、力加減などをアドバイスするほか、歯間ブラシやデンタルフロスの使い方についても指導します。


歯と歯の間は歯ブラシだけでは清掃できないため、これらの補助用具の使用が重要です。


予防処置としては、フッ素塗布が代表的で、フッ素は歯のエナメル質を強化し、むし歯になりにくくする効果があります。


特に子どもの歯には効果的で、定期的なフッ素塗布により、むし歯のリスクを大幅に減らすことができます。



定期検診の費用について

保険適用での費用相場

定期検診は保険が適用されることが多く、3割負担の場合、1回あたり約2,500円~4,000円程度が相場です。


この費用には、基本的な検査とクリーニング、歯石除去などが含まれていますが、レントゲン撮影が必要な場合は、別途1,500円程度かかることがあります。


ただし、レントゲン撮影は毎回必要というわけではなく、口腔内の状況や前回の撮影からの期間によって判断されます。


初診の場合は、初診料などが加わるため、もう少し費用がかかることがあります。


自費診療のPMTCについて

より高度な予防を目的としたメインテナンスを希望される場合は、自費診療となることがあります。


自費診療のメインテナンスPMTCの費用相場は、8,000円~15,000円程度です。


自費診療でのメインテナンスは、徹底的な予防処置を行うため、特殊な機器や薬剤を使用することもあります。


歯科医院によって使用する機器や薬剤、処置内容が異なるため、事前に内容と費用を確認することをおすすめします。


定期検診を受けることのメリット

中には「定期検診にかかる費用がもったいない」、「いくのが面倒くさい」と感じる方もいるかもしれませんが、長期的に見ると、定期検診には様々なメリットがあります。


むし歯・歯周病の予防と罹患時の早期発見が可能

定期検診の最大のメリットは、むし歯や歯周病を予防し、罹患した場合にも早期に発見し対応できることです。


定期的なクリーニングにより、むし歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石を除去することで、これらの病気を予防することができ、清潔かつ健康な口腔内環境を維持することができます。


また、初期のむし歯や歯周病は自覚症状がほとんどないため、気づいたときには進行していることが多いです。


定期的に専門家のチェックを受けることで、小さな変化も見逃さず、適切な対処ができます。


初期のむし歯であれば、削らずにフッ素塗布などで経過観察することも可能で、歯周病も初期の歯肉炎の段階であれば、適切なケアで健康な状態に戻すことができます。



全身疾患の予防

近年の研究により、口腔の健康と全身の健康には密接な関係があることが明らかになっています。


特に歯周病は様々な全身疾患と関連が高く、歯周病菌が血管内に入ると、動脈硬化を促進し、心臓病や脳梗塞のリスクを高めます。


また、糖尿病との相互関係も指摘されており、歯周病があると血糖コントロールが悪化し、逆に糖尿病があると歯周病が悪化しやすくなります。


そのため、定期検診により口腔の健康を維持することは、これらの全身疾患の予防にもつながります。


定期検診を受けないリスク

症状が出てからでは手遅れになる可能性がある

「痛くなったら歯医者に行けばいい」と考えている方も多いかもしれませんが、痛みなどの症状が出てからでは、すでに病気がかなり進行していることが多いです。


むし歯の場合、痛みを感じるようになると、すでに神経の近くまで進行していることが多く、神経を取る治療が必要になることもあります。神経を取ってしまうと歯は脆くなり、将来的に歯を失うリスクが高まります。


また、歯周病は「沈黙の病気」と呼ばれ、痛みを感じることなく進行します。


そのため、歯がグラグラするようになってから気づく方も多いですが、その段階では歯を支える骨が大幅に失われており、歯を保存することが困難になることもあります。


治療費と治療期間が増大する

定期検診を受けずに、むし歯や歯周病が進行してから治療を受けると、治療費も治療期間も大幅に増加します。


初期のむし歯であれば1回の治療で済むことが多いですが、神経まで達したむし歯では、複数回の根管治療が必要になり、その後被せ物を作る必要があり、治療期間も数週間から数ヶ月かかってしまいます。


歯を失ってしまった場合、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの選択肢がありますが、いずれも高い治療費がかかります。


生活の質(QOL)の低下

歯を失うことは、単に見た目の問題だけでなく、生活の質に大きく影響します。


咀嚼機能が低下しいろんなものが食べられなくなったり、発音が不明瞭になったり、人前で笑うことに抵抗を感じるようになったりします。


日本では80歳時点での平均残存歯数は8~10本であり、予防先進国のスウェーデンの約20本以上と比べるとかなり少ない数値です。


この差は、定期検診の受診率の違いによるものと言われており、定期検診を受けることで、日本においても80歳になっても20本以上の歯を残すことが可能だと考えます。


予防歯科(PMTC)・定期健診は山梨県甲府市の「山浦歯科医院」

歯の定期検診は、口腔内の健康を維持し、全身の健康を守るために非常に重要です。


定期検診を受けることで、むし歯や歯周病の早期発見・予防ができ、長期的には治療費の削減にもつながるほか、口腔の健康は全身の健康にも影響するため健康維持に関与し、生活の質の向上にも貢献します。


山梨県甲府市の山浦歯科医院では、世界基準の設備と技術で、患者様一人ひとりの口腔内の状態やライフスタイルに合わせた定期検診をご提案しています。


「しばらく歯医者に行っていない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

​院名

院長

住所

〒400-0031山梨県甲府市丸の内二丁目33-8

電話番号

055-222-2272


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。

bottom of page