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歯周病の匂いの特徴は?口臭の治し方・セルフチェックの方法を現役の歯科医師が解説!

  • 執筆者の写真: 山浦 泰明
    山浦 泰明
  • 7月15日
  • 読了時間: 9分

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口臭の原因はさまざまですが、その中でも多くの方が見落としがちな要因のひとつが“歯周病”です。


歯周病は進行すると歯を失うリスクが高まるだけでなく、独特な匂いを伴い、周囲に気づかれやすいという特徴があります。


そして、歯周病由来の口臭を放置してしまうと、口腔内環境がますます悪化し、最終的には歯を支える骨が溶けてしまう可能性もあります。


本記事では、歯周病が引き起こす口臭の特徴、そしてその治し方やセルフチェックの方法について、現役歯科医師の視点から詳しく解説します。


適切なケアや受診のきっかけにしていただければ幸いです。


歯周病について

歯周病とは、歯茎や歯を支える組織(歯槽骨など)に炎症が起き、徐々に進行していく病気です。


初期段階では歯ぐきの腫れや出血、口臭などの症状が見られ、中等度から重度へ進行すると、歯がグラグラと動揺したり、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。


歯周病の原因菌は歯垢(プラーク)の中に潜んでおり、適切なケアが行われないと増殖して歯茎や歯槽骨にダメージを与えます。歯周病は日本人成人の大半が罹患している、もしくはその予備軍ともいわれるほど非常に身近な病気です。


なぜ口臭が発生するのか

口臭は主に、口腔内の細菌が食べカスや歯垢を分解する際に発生する揮発性硫黄化合物(VSC)というガスが原因で起こります。


歯周病が進行すると、歯と歯茎の間にある歯周ポケットが深くなり、細菌のすみかが広がることで、さらに口臭が強くなりやすくなります。


特に歯周ポケット内では酸素が少ない環境であるため、嫌気性菌(空気の少ない環境で繁殖しやすい菌)が増殖しやすく、歯茎からの出血や膿なども加わって独特の不快な匂いを放つことが特徴です。


歯周病が原因の口臭の特徴

歯周病が原因の場合、口臭には以下のような特徴があります。


1. 硫黄臭・生臭さ

歯周病由来の口臭は、腐った玉ねぎや卵が混じったような独特の“生臭さ”や“硫黄臭”が強いといわれています。


これは嫌気性菌が産生する揮発性硫黄化合物によるものです。


2. 長時間持続する

歯周ポケット内の汚れや膿が原因となっているため、歯周病による口臭は持続的に感じられることが多いのが特徴です。


口腔ケアの直後でも、しっかり細菌を除去できていない場合は、すぐに匂いが戻ってしまいます。


3. 歯肉の炎症や出血を伴う

歯周病が進行していると、歯茎の腫れや出血、歯肉からの膿などがみられることがあります。


こうした症状と口臭が同時にみられる場合は歯周病由来の可能性が高いでしょう。


4. 唾液がネバネバしている

口腔内の衛生状態が悪化すると、唾液の粘度が増し、ネバネバした感じになることがあります。


これは細菌や老廃物が増加しているサインでもあり、口臭が強まる要因となります。


このような特徴を自覚した場合には、早めの対策や歯科受診が望ましいでしょう。


歯周病は初期段階であれば改善が期待できますが、放置すると口臭だけでなく歯の喪失など重大な影響につながる可能性があります。


口臭を放置するリスク

歯周病由来の口臭を放置してしまうと、次のようなリスクが高まります。


1.歯周病の進行

口臭が気になるほど歯周ポケットが深くなっている場合、すでに歯周病は中度~重度に移行している可能性があります。


そのまま放置すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶け、歯が抜けるリスクも上がります。


2.全身への悪影響

歯周病と全身疾患の関連性は多くの研究で示唆されています。


心疾患や糖尿病、早産・低体重児出産などとの関連が指摘されており、口臭の問題だけでなく、健康リスクも深刻化する恐れがあります。


3.コミュニケーション障害

口臭に対して周囲は敏感に反応しがちです。


職場や学校、プライベートなどで人と接する機会が多い方ほど、口臭による自己イメージの低下や対人関係のストレスを抱えやすくなります。


セルフチェックで歯周病由来の口臭を見極める方法

歯科医院での専門的な検査・診断が最も正確ですが、まずは自宅でセルフチェックを行うことで、歯周病による口臭の可能性をある程度把握することができます。


以下の項目に当てはまる数が多いほど、歯周病や口臭リスクが高い可能性があります。


  1. 歯磨きの際に歯茎から出血することがある

  2. 歯茎が赤く腫れている・ぶよぶよしている

  3. 朝起きたときに強い口臭を感じる

  4. 歯が長くなったような感覚がある(歯茎が下がっている)

  5. 歯と歯の間に食べ物がよく詰まる

  6. 唾液がネバネバした感じが続く

  7. 家族や友人から口臭を指摘されたことがある

  8. デンタルフロスや歯間ブラシを使ったときに嫌な匂いがする


これらはあくまで目安ですが、いくつか当てはまる場合は早めに歯科医院を受診することをおすすめします。


歯周病による口臭の治し方


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歯周病を原因とする口臭を改善するには、口腔内環境の改善と歯周組織の健康回復が必要不可欠です。


以下では、具体的な対処法をいくつかご紹介します。


1.正しい歯磨きをする

歯ブラシはヘッドが小さめのものを選ぶと細かい部分に届きやすくなります。


正しい磨き方

  1. 歯と歯茎の境目を意識し、45度の角度で歯ブラシを当てる

  2. 軽い力で小刻みに動かす(ゴシゴシ強く磨かない)

  3. 奥歯のかみ合わせや歯の裏側もしっかりブラッシング


1日2回以上を目標に、特に就寝前のブラッシングを念入りに行い、歯周ポケット内の汚れを極力残さないようにします。


2.デンタルフロス・歯間ブラシの活用

歯ブラシだけでは除去しきれない汚れが溜まりやすいのが歯と歯の間です。


ここには多くの歯垢が残存しやすく、歯周病や口臭を招きやすいポイントとなりますので、歯ブラシでの歯磨きと合わせて実施しましょう。


デンタルフロス

歯と歯の間に専用の糸(フロス)を通して、歯垢を取ります。


慣れるまでは少し難しい場合もありますが、毎日の習慣に取り入れることで口臭の原因を大きく減らせます。


歯間ブラシ

歯と歯の隙間が広い部分に有効で、適切なサイズのものを選ぶことが大切です。


サイズに合わない大きいブラシを使うと歯茎を傷つける可能性があるので注意してください。


3. マウスウォッシュの活用

マウスウォッシュは口腔内を殺菌し、口臭を一時的に抑える効果が期待できます。


ただし、歯垢や歯石までは除去できないため、あくまで補助的なケアとして利用するのが望ましいです。


殺菌成分入りのもの

CPC(塩化セチルピリジニウム)やクロルヘキシジンなどが含まれている製品を選ぶと、口腔内の細菌を抑える効果が期待できます。


アルコール成分の有無

アルコールが含まれていると爽快感がありますが、刺激を強く感じる場合はノンアルコールタイプを試してみましょう。


4.歯科医院での専門的なケア

プロフェッショナルクリーニング(PMTC)

歯科衛生士が専門的な器具を用いて、歯垢や歯石を徹底的に取り除く方法です。


歯ブラシでは届かない歯周ポケット内の汚れや歯石も除去できるため、歯周病の進行を抑え、口臭の改善にもつながります。


スケーリング

歯石や歯垢を超音波スケーラーやハンドスケーラーで除去する処置です。


ルートプレーニング

歯根面を滑らかに整え、歯茎との密着を高める処置です。


これらの治療を行うことで歯周ポケットを浅くし、歯周病の原因菌を取り除くことができるため、口臭の大きな原因が取り除かれます。


歯周病口臭とその他の口臭の違い【比較表】

口臭には歯周病以外にもさまざまな原因があります。

原因

匂いの特徴

持続性

主な対策

歯周病

硫黄臭・生ごみ臭・腐った卵のような臭い

長時間続く

歯周病治療、歯石除去、正しい歯磨き

虫歯

甘酸っぱい腐敗臭

局所的

虫歯治療、適切なブラッシング

舌苔(ぜったい)

こもった嫌な臭い

朝が特に強い

舌清掃、マウスウォッシュ

口腔乾燥症

蒸れた布や乾いた口の臭い

日中に強い

水分補給、唾液分泌促進

食べ物由来

ニンニク、アルコールなど一時的な強い臭い

数時間で消える

時間経過、歯磨き、洗口

全身疾患

甘酸っぱい・薬品臭・アセトン臭

持続的

医療機関受診、全身疾患の治療

上記の中で歯周病による口臭は特に硫黄臭や腐敗臭が強く、慢性的に続きやすいのが特徴です。


一時的な飲食が原因の口臭とは異なる嫌な匂いが長期間続く場合は、歯周病の可能性が高いと考えられます。


歯周病予防・口臭改善のための生活習慣

歯周病予防や口臭改善には、日々の生活習慣を見直すことも大切です。


1. バランスの良い食生活

ビタミンCやカルシウムなど、歯茎や骨を強く保つ栄養素を摂取しましょう。


よく噛むことで唾液の分泌を促進し、口腔内を清潔に保つことができます。


2. 禁煙・節酒

タバコの煙には有害物質が含まれ、歯茎の血行を阻害して歯周病を進行させやすいです。


また、過度のアルコール摂取は口腔内を乾燥させ、口臭を強くする可能性があります。


3. 十分な水分補給

水分補給は口臭予防に非常に有効です。


ドライマウスを予防するために、こまめに水分を摂取し、唾液分泌を保つよう意識しましょう。


4. 定期的な歯科検診

歯周病は自覚症状が少ないため、定期的な歯科検診で早期発見・早期治療を心がけましょう。


5. ストレスをためない

ストレスは免疫力を低下させ、歯周病の進行を早める要因のひとつです。


適度な運動や休養を取り入れ、生活リズムを整えましょう。


歯周病の口臭でお困りなら甲府市の「山浦歯科医院」

歯周病は気づかないうちに進行しやすく、口臭の原因となるだけでなく、歯を失うリスクや全身への影響も懸念される病気です。


そのため、日頃から正しいブラッシングやデンタルフロスによるケアを欠かさずに行い、定期的に歯科医院でチェックやクリーニングを受けることが重要です。


山梨県甲府市にある山浦歯科医院では、歯周病の検査や治療、プロフェッショナルクリーニングなどを通して、歯周病由来の口臭改善に取り組んでいます。


また、患者さま一人ひとりのお口の状況に応じて適切なセルフケアのアドバイスも行っておりますので、気になる口臭がある方や、歯茎に違和感を覚える方は、ぜひお気軽にご相談ください。

​院名

院長

住所

〒400-0031山梨県甲府市丸の内二丁目33-8

電話番号

055-222-2272


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。


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