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インプラントができない・難しいケースはある?骨が足りなくてインプラントができないと言われた場合の対処法を現役歯科医師が解説

  • 執筆者の写真: 山浦 泰明
    山浦 泰明
  • 2025年12月12日
  • 読了時間: 14分

「骨が足りないのでインプラント治療はできません」と歯科医院で言われて、諦めかけていませんか?


失った歯を取り戻すための治療法として、インプラントは非常に優れた選択肢のひとつです。


しかし、すべての方が同じ条件で治療を受けられるわけではなく、お口の状態や全身の健康状態によっては、そのままではインプラント治療が難しいケースも存在します。


特に「骨が足りない」という理由で治療を断られた方は少なくありません。


ただし、骨が不足しているからといって、必ずしもインプラント治療が不可能というわけではなく、現代の歯科医療技術では、骨を増やす処置(骨造成)を行うことで、多くの方がインプラント治療を受けられるようになっています。


本記事では、山梨県甲府市でインプラント治療を中心に実施している山浦歯科医院の院長が、現役歯科医師の視点からインプラント治療ができない・難しいとされるケースと、その対処法について詳しく解説します。



インプラント治療ができない・難しいケースとは?

インプラント治療は誰でも受けられる治療ではなく、患者様の健康状態やお口の中の状態によって、治療が難しい場合があります。


ここでは、インプラント治療ができない、または慎重な対応が必要となる主なケースをご紹介します。


顎の骨が少ない・薄い場合

インプラント治療でもっとも多い課題が、顎の骨の幅や厚みが不足しているケースです。


インプラントは顎の骨に人工の歯根を埋め込む治療法のため、土台となる骨がしっかりしていることが不可欠となります。


骨の厚みや高さが十分でない場合、インプラントを埋入することができません。


特に上顎の前歯部分は骨が薄い傾向があり、インプラント治療が難しくなることが知られています。


ただし、「骨が少ない=インプラントができない」というわけではありません。


後述する骨造成という治療法により、骨を増やしてからインプラント治療を行うことが可能です。


歯周病や虫歯がある場合

お口の中に歯周病や虫歯がある状態でインプラント治療を行うと、細菌感染のリスクが大幅に高まります。


インプラントを埋め込む際には歯肉を切開して骨を露出させるため、衛生環境が整っていないと感染症を引き起こす可能性があります。


また、歯周病が進行している場合、すでに顎の骨が溶けて少なくなっていることも多く、インプラントを支える骨が不足している状態になっています。


このような場合は、まず歯周病や虫歯の治療を優先的に行い、お口の中の環境を整えてからインプラント治療に進むことになります。


全身疾患を抱えている場合

インプラント治療は外科手術を伴うため、特定の全身疾患をお持ちの方は治療が難しい場合があります。


糖尿病の場合

糖尿病を患っている方は、血糖値のコントロール状態によってインプラント治療の可否が判断されます。


血糖値が高い状態が続くと、免疫力の低下により感染症のリスクが高まるほか、傷の治りが遅くなる、骨とインプラントの結合が弱くなるなどの問題が生じる可能性があります。


一般的に、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の数値が6.5%未満、空腹時血糖値が130mg/dl未満であれば、インプラント治療が可能と判断されるケースが多くなっています。


血糖値を適切にコントロールできていれば、糖尿病の方でもインプラント治療を受けることは十分に可能です。


骨粗鬆症の治療を受けている場合

骨粗鬆症そのものはインプラント治療の妨げにはなりませんが、特定の治療薬を服用している場合は注意が必要です。


ビスホスホネート製剤という骨粗鬆症の治療薬を服用していると、顎の骨が壊死するリスクがあるため、インプラント治療が制限されることがあります。


お薬の種類や服用期間、投与方法によっては治療が可能な場合もありますので、必ず主治医と歯科医師の両方に相談することが大切です。


その他の全身疾患

心臓病、高血圧、腎疾患、肝臓病などの全身疾患をお持ちの方も、症状の程度や服用している薬によってはインプラント治療が難しい場合があります。


ただし、これらの疾患も適切にコントロールされていれば治療できる可能性があるため、かかりつけの主治医と連携しながら治療計画を立てていくことになります。


年齢が若い場合

成長期にある未成年の方は、顎の骨がまだ成長段階にあるため、インプラント治療は推奨されていません。


インプラントを埋め込んだ後に顎の骨が成長すると、インプラントの位置がずれてしまったり、周囲の歯並びに影響を与えたりする可能性があります。


骨の成長には個人差があり、その速度を正確に予測することは困難です。


そのため、多くの歯科医院では20歳くらいまで、顎の骨の成長が落ち着くまで待ってからインプラント治療を開始することを推奨しています。


成長が完了するまでの間は、入れ歯やブリッジなど別の方法で歯の機能を補うことになります。


妊娠中の場合

妊娠中はインプラント治療を避けることが望ましいとされています。


インプラント治療では局所麻酔や投薬、レントゲン撮影が必要となります。


これらが胎児に与える影響は限定的とされていますが、リスクをゼロにすることはできません。


また、治療によるストレスが母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性も考慮する必要があります。


妊娠中にインプラント治療を希望される場合は、出産後、体調が安定してから治療を開始することをお勧めします。


また、授乳期間中についても、担当の歯科医師と相談しながら適切な治療開始時期を決めていくことが大切です。


喫煙習慣がある場合

喫煙習慣のあるの方は、インプラント治療の成功率が低下することが知られています。


タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、一酸化炭素は酸素の運搬を妨げます。


その結果、歯肉への酸素や栄養の供給が不足し、傷の治りが悪くなったり、インプラントと骨の結合が弱くなったりします。


また、喫煙者は非喫煙者と比較して、治療後にインプラント周囲炎を発症するリスクが高いことも報告されています。


インプラント治療を希望される場合は、治療前から禁煙することが強く推奨されます。




なぜ顎の骨が少なくなってしまうのか?

顎の骨が少なくなってしまう理由はいくつかあります。


歯を失った後の長期間の放置

歯を失った後、何もせずに長期間放置すると、その部分の顎の骨は徐々に痩せていく傾向があります。


これは「骨吸収」と呼ばれる現象で、歯を失ってから時間が経てば経つほど骨の吸収は進行するため、インプラント治療を検討されている方は、できるだけ早めに歯科医院でご相談いただくことをお勧めします。


歯周病による骨の吸収

歯周病は、歯を支える骨を溶かしてしまう病気です。


歯周病が進行すると、歯周病菌が産生する毒素や炎症反応により、歯を支えている歯槽骨が破壊されていきます。


重度の歯周病では、広範囲にわたって骨が失われてしまうため、歯を抜いた後にインプラントを埋め込むための十分な骨が残っていないことが多くなります。


歯周病の治療を適切に行い、進行を食い止めることが、将来的なインプラント治療の選択肢を広げることにつながります。


長期間の入れ歯の使用

入れ歯を長年使用していると、入れ歯が当たる部分の骨が徐々に痩せていくことがあります。


長年入れ歯を使用されてきた方がインプラント治療を希望される場合、骨造成が必要になるケースが多い傾向があります。


生まれつき骨が薄い場合

骨の厚みや高さには個人差があり、生まれつき顎の骨が薄い方もいらっしゃいます。


このような場合、歯を失っていなくても、もともとインプラントを埋め込むのに十分な骨量がないことがあります。


全体的に骨が薄い場合は骨造成の難易度が上がることもありますが、精密な検査と診断により、患者様に最適な治療法を見つけることが可能です。



骨が少ない場合の対処法・治療法

骨が少ないと診断された場合でも、骨造成という治療法により骨を増やすことで、インプラント治療が可能になるケースが多くあります。


骨造成治療は、骨が不足している部分に人工骨や自家骨を移植し、新しい骨の再生を促す治療法ですが、治療部位や骨の不足の程度によって、適切な方法が選択されます。


GBR法(骨誘導再生法)

GBR法は、骨の幅や厚みが不足している場合に広く用いられる骨造成の方法です。


この治療法では、骨が不足している部分に人工骨や自家骨を移植し、その上から特殊な膜(メンブレン)で覆います。


この膜は骨造成のためにいれた材料を保持し、またその部位に歯肉などの軟組織が侵入するのを防ぐ役割を果たします。


約3~6ヶ月かけて骨が再生されるのを待ち、十分な骨量が確保されたらインプラントを埋め込みます。


骨の不足量が比較的少ない場合は、インプラントの埋入と同時にGBR法を行うことも可能です。


この場合、治療期間を大幅に短縮できるというメリットがあります。


GBR法は上顎・下顎を問わず適用できる汎用性の高い治療法で、インプラント治療における骨造成の基本的な方法として広く行われています。


ソケットリフト

ソケットリフトは、上顎の奥歯部分で骨の高さが不足している場合に行われる骨造成法です。


上顎の奥歯の上には「上顎洞」という空洞があります。


歯を失うとこの上顎洞の底部の骨が薄くなってしまい、インプラントを埋め込む高さが確保できないことがあります。


ソケットリフトでは、インプラントを埋め込む穴から器具を挿入し、上顎洞の底を覆っている粘膜(シュナイダー膜)を押し上げて、できたスペースに人工骨を充填します。


この方法は、骨の厚みが4~5mm以上ある場合に適用され、インプラントの埋入と同時に行えるため、治療期間が比較的短く済むという特徴があります。


傷口も小さく、患者様への負担が少ない治療法として知られています。


治療後3~6ヶ月で人工骨が自分の骨に置き換わり、インプラントがしっかりと固定されます。


サイナスリフト

サイナスリフトは、上顎臼歯部の骨が広範囲にわたって薄い場合や、骨の厚みがおよそ3mm以下の場合に行われる骨造成法です。


ソケットリフトと同様に上顎洞の底部を持ち上げて骨を増やす治療法ですが、アプローチの方法が異なります。


サイナスリフトでは、頬側の歯肉を切開して骨に窓を開け、そこからシュナイダー膜を持ち上げて、広いスペースに人工骨を充填します。


広範囲の骨造成が可能なため、複数の歯を失っている場合や、骨の吸収が著しい場合に適用されます。


骨が完全に再生するまでに約6~9ヶ月かかり、その後にインプラントを埋め込む手術を行うため、治療期間は長くなります。


ただし、骨の量が比較的多い場合は、サイナスリフトとインプラントの埋入を同時に行うこともできます。


この場合、治療期間を3ヶ月程度短縮することが可能です。


その他の骨造成の方法

上記以外にも、患者様の状態に応じてさまざまな骨造成の方法があります。


リッジエキスパンジョン(骨幅拡大術)

骨の幅が狭い場合に、骨を押し広げてインプラントを埋め込むスペースを作る方法です。


繊細な技術が必要なため、対応できる歯科医院は限られていますが、骨を増やしながらインプラントの安定性を高めることができます。


スプリットクレスト(骨分割術)

骨の厚みが3mm程度しかない場合に、骨を2枚に割って広げ、その隙間にインプラントを埋め込む方法です。


高度な技術が必要ですが、骨が少ない方でもインプラント治療を可能にする選択肢の一つです。


自家骨移植

患者様ご自身の骨を他の部位から採取して移植する方法です。


人工骨と比較して骨の生着率が高いというメリットがありますが、骨を採取する部位の手術が必要になるため、身体への負担は大きくなります。


骨造成以外の対処法

骨が少ない場合、必ずしも骨造成が必要というわけではありません。


患者様の状態によっては、以下のような方法でインプラント治療を行うことができます。


ショートインプラントの使用

従来のインプラントよりも短いインプラントを使用することで、骨造成をせずに治療できる場合があります。


ショートインプラントは、骨の高さが十分でない場合に有効な選択肢です。


技術の進歩により、短いインプラントでも長期的に安定した結果が得られることが報告されています。


ただし、骨の状態や噛み合わせの状況によっては適用できないこともあるため、歯科医師による詳細な診断が必要です。


傾斜埋入法

インプラントを斜めに埋め込むことで、骨のある部分を有効活用する方法です。


特に上顎洞や神経など、避けなければならない構造物がある場合に、インプラントの角度を調整することで骨造成を回避できることがあります。


この方法は高度な技術と精密な治療計画が必要ですが、患者様の負担を軽減できるというメリットがあります。



全身疾患がある場合の対処法

全身疾患をお持ちの方でも、適切な対処により安全にインプラント治療を受けられる可能性があります。


糖尿病の場合

血糖値を適切にコントロールすることが最も重要です。


インプラント治療を受ける前に、内科の主治医と相談しながら、食事療法・運動療法・薬物療法により血糖値を改善します。


HbA1cが6.5%未満、空腹時血糖値が130mg/dl未満を目標に、数ヶ月かけて血糖値を安定させることで、安全に治療を受けられる可能性が高まります。


治療中も定期的に血糖値を測定し、内科医と歯科医師が連携して治療を進めていくことが大切です。


骨粗鬆症の治療中の場合

服用している薬の種類と服用期間を正確に歯科医師に伝えることが重要です。


ビスフォスフォネート製剤を服用している場合、服用方法や服用期間によって対応が異なります。


場合によっては、主治医と相談して一時的に薬を休薬してからインプラント治療を行うこともあります。


休薬の期間や治療のタイミングについては、骨粗鬆症の主治医と歯科医師が連携して決定します。


その他の全身疾患の場合

心臓病、高血圧、腎疾患などの全身疾患をお持ちの方は、以下の点に注意して治療を進めます。


  • かかりつけの主治医に診断書や検査結果を提供してもらい、歯科医師と情報を共有する

  • 服用している薬の種類と量を正確に伝える

  • 治療中の体調管理を徹底し、定期的に主治医の診察を受ける

  • 必要に応じて静脈内鎮静法を用いて、リラックスした状態で治療を受ける


主治医と歯科医師が連携することで、全身疾患をお持ちの方でも安全にインプラント治療を受けられる可能性が広がります。


骨造成の費用と治療期間の目安

骨造成治療はインプラント治療と同様、保険適用外(自費診療)となるため、費用は歯科医院によって異なります。


骨造成の費用

骨造成の部位や範囲、手術方法や使用する材料によって費用が大きく変わります。


小さい範囲の骨造成であれば数万円から、広範囲の大きな骨造成となると50万円以上かかってくることもあります。


これらの費用は、インプラント本体の費用とは別に必要となります。


インプラント1本あたりの費用は一般的に30万円~50万円程度ですので、骨造成を行う場合は総額が高額になることを理解しておく必要があります。


治療期間の目安

骨造成を含むインプラント治療全体の期間は、方法によって大きく異なります。


  • GBR法とインプラント同時施術の場合: 約4~7ヶ月

  • ソケットリフトとインプラント同時施術の場合: 約4~7ヶ月

  • サイナスリフトの場合: 約10~12ヶ月(別々に行う場合)

  • サイナスリフトとインプラント同時施術: 約6~9ヶ月


治療期間は患者様の骨の状態や治癒力によって変わるため、あくまで目安としてお考えください。


詳しい治療期間については、精密検査の後に歯科医師から説明を受けることをお勧めします。


山梨県甲府市でインプラント治療なら「山浦歯科医院」

インプラント治療ができない、または難しいとされるケースは確かに存在しますが、多くの場合、適切な対処により治療が可能になります。


特に「骨が少ない」という理由で治療を断られた方は、骨造成という選択肢があることを知っていただきたいと思います。


GBR法、ソケットリフト、サイナスリフトなどの骨造成技術により、以前は不可能とされていたケースでもインプラント治療を受けられるようになっています。


また、糖尿病などの全身疾患をお持ちの方も、適切な血糖値管理や主治医との連携により、安全にインプラント治療を受けられる可能性があります。


大切なのは、経験豊富な歯科医師による精密な検査と診断、そして患者様一人ひとりの状態に合わせた治療計画です。


「インプラントはできない」と諦める前に、まずは専門的な知識を持つ歯科医師にご相談いただくことをお勧めします。


山浦歯科医院では、患者様のお口の状態を詳しく診査し、最適な治療法をご提案させていただきます。


骨が少ない方、全身疾患をお持ちの方も、まずはお気軽にご相談ください。

​院名

院長

住所

〒400-0031山梨県甲府市丸の内二丁目33-8

電話番号

055-222-2272


※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。


参考文献

  • 日本口腔インプラント学会「インプラント治療指針」

  • 厚生労働省「医療広告ガイドライン」




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