歯の詰め物・被せ物はどれがいい?種類・選び方・費用を現役歯科医師が解説
- 山浦 泰明
- 5月13日
- 読了時間: 7分

歯の詰め物や被せ物は種類ごとにメリット・デメリット、費用、保険適用の有無が異なります。
この記事では、山梨県甲府市の「山浦歯科医院」の院長が、現役歯科医師の視点で歯の詰め物・被せ物の種類・費用・選び方について詳しく解説していきます。
どの素材を選べばいいのかでお悩みの方はぜひ参考にしてください。
歯の詰め物(インレー)・被せ物(クラウン)の違い
歯の詰め物(インレー) | 被せ物(クラウン) | |
治療の範囲 | 小~中程度(歯の一部分) | 中~大(歯全体または大部分) |
治療するケース | 虫歯が比較的小さい場合 | 虫歯が大きい、神経治療後など |
治療方法 | 歯を削った部分に詰める | 歯を覆うように被せる |
強度・耐久性 | 中程度(使用する材料による) | 高い |
審美性(見た目) | 材料により異なる(銀歯、レジン、セラミックなど) | 材料により異なる(銀歯、セラミックなど) |
使用される材料 | 銀歯、レジン、セラミック、ゴールドなど | 銀歯、セラミック、ジルコニア、ゴールドなど |
費用感(一般的) | 比較的安価 | やや高価 |
歯の詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)は、どちらも虫歯や外傷などで歯を削った後に失われた部分を補うために装着される人工物です。
虫歯が小さい場合は詰め物で対応し、大きく削ったり歯の欠損が大きい場合には被せ物を装着します。
詰め物・被せ物は単に歯を埋めるだけではなく、見た目の美しさや噛み合わせの調整など、機能面や審美面でも重要な役割を担っています。
また、しっかりとした詰め物・被せ物を装着することで、二次虫歯のリスクを軽減し、歯の寿命を延ばすことにもつながります。
一般的に日本では、健康保険が適用される材料としては金銀パラジウム合金(いわゆる「銀歯」)やコンポジットレジンなどが多く用いられますが、審美性や機能性をより重視する場合には、保険適用外(自由診療)のセラミックやジルコニアといった白い素材の詰め物・被せ物が選ばれることがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、患者さんの希望や歯科医師の判断を踏まえて選択することが大切です。
歯の詰め物(インレー)の主な種類と費用
詰め物(インレー)は、歯の欠損部分にはめ込む補綴物です。
小さめの虫歯~中程度の欠損に使用されることが多く、歯の外形をカバーするクラウン(被せ物)とは異なります。
ここでは、保険診療と自由診療で使用される代表的な詰め物について解説します。
材質・名称 | 保険適用 | 費用目安(1本あたり) | 審美性 | 耐久性 | 金属アレルギー |
銀歯(合金インレー) | 〇 | 3,000円前後 | ★ | ★★★ | 可能性あり |
コンポジットレジン | 〇 | 約1,500円前後 | ★★★ | ★★ | なし |
セラミックインレー | × | 3~8万円程度 | ★★★★★ | ★★★★★ | なし |
ハイブリッドインレー | × | 2.5~5万円程度 | ★★★ | ★★★ | なし |
ゴールドインレー | × | 5~10万円程度 | ★ | ★★★ | 可能性低い |
1.金銀パラジウム合金(銀歯)【保険診療】
保険診療でよく用いられる金属(一般的には銀色に見えるので「銀歯」と呼ばれることが多い)の詰め物です。
正確には「金銀パラジウム合金」と呼ばれます。
強度が高く、保険適用のため費用を抑えられるのがメリットですが、見た目が銀色なので目立ちやすく、金属アレルギーの可能性があります。
また、長期的に金属イオンが溶出し、金属アレルギーの原因になり得ます。
2.コンポジットレジン(CR)【保険診療】
保険診療でも使用されるプラスチック系の材料で、小さな虫歯の治療や一部の詰め物として使われます。
歯科用プラスチックを使い、削った部分を直接埋めます。
小さめの虫歯治療や前歯の治療でよく使われ、保険が適用されるので費用を抑えられますが、 強度が低いため大きな欠損には向きにくく、経年劣化による変色や摩耗が起こりやすい場合があります。
3 セラミックインレー【自由診療】
セラミックは白い陶材で、自然な歯の透明感や色合いを再現しやすい素材です。
歯と同じような白さ・透明感があるため、審美性に優れており、高い審美性を求める方に選ばれるケースが増えています。
材質としては陶器(陶材)が使われ、汚れが付きにくく変色もしにくいのがメリットですが、一般的には自費診療となることが多く、保険適用外のため費用が高額になりやすいです。
4.ハイブリッドセラミックインレー【自由診療】
セラミックとレジンを混ぜ合わせた素材です。
セラミックよりも強度に劣り、汚れが付きやすく、 多少の変色が起こりやすいです。
費用は純セラミックよりもやや抑えられる傾向があります。
5.ゴールドインレー【自由診療】
特徴: 金合金を使用したインレーで、適合性が高く噛み合わせにやさしい点が魅力です。
金属アレルギーを起こしにいですが、色味が金属色なので、前歯など目立つ部分には不向きな場合があります。
また、ゴールドを使用するため素材費用も比較的高めです。
歯の被せ物(クラウン)の主な種類と費用
被せ物も保険診療・自由診療によって使用できる素材が異なります。
材質・名称 | 保険適用 | 費用目安(1本あたり) | 審美性 | 耐久性 | 金属アレルギー |
金属冠(銀歯クラウン) | 〇 | 約3~5千円 | ★ | ★★★ | 可能性あり |
硬質レジン前装冠 | 〇 | 約5~8千円 | ★★ | ★★ | 可能性あり |
オールセラミッククラウン | × | 5~10万円以上 | ★★★★★ | ★★★ | なし |
ジルコニアクラウン | × | 8~15万円程度 | ★★★★★ | ★★★★ | なし |
メタルボンドクラウン | × | 7~15万円程度 | ★★★★ | ★★★★ | 可能性あり |
1.金銀パラジウム合金(銀歯クラウン)【保険診療】
奥歯のクラウンでよく使用される素材で、こちらもいわゆる銀歯になります。
保険が適用されるため費用負担が比較的少ないですが、 やはり金属色が目立つため、前歯や審美的に重視したい部位には適しません。
また、経年劣化による金属アレルギーのリスクも否定できません。
2.硬質レジン前装冠【保険診療】
内側が金属で、外側が白いプラスチック(レジン)で覆われています。
前歯の治療で保険が適用される場合があり、費用は比較的安いですが白い部分がレジンであるため、経年で変色・摩耗が起こりやすいです。
また金属部分が歯茎付近で透けることもあります。
3 オールセラミッククラウン【自由診療】
100%セラミック(陶材)で作られた被せ物です。
天然歯に近い美しさや透明感が得られ、変色が無いのが特徴です。前歯を自然に仕上げたい場合などに特に選ばれます。
デメリットは強度は向上しているものの、割れたり欠けるリスクがある点と、保険外のため費用が高額になる傾向がある点です。
4.ジルコニアクラウン【自由診療】
ジルコニアは「セラミックの一種」ですが、高い強度を持つことが特長です。
内側にジルコニアを使用し、表面にセラミックを焼き付ける「ジルコニアセラミッククラウン」などもあり、審美性と強度を両立できます。
デメリットとしては純セラミックよりも割れにくい反面、噛み合う歯を傷つける可能性があると指摘される場合もあることと、自費診療となってしまうため費用が高くなる点が挙げられます。
5.メタルボンドクラウン【自由診療】
内側を金属で補強し、表面にセラミックを焼き付けた被せ物です。
強度が高く、審美面もある程度期待できますが、 歯茎のラインから金属が見える可能性があるため、歯茎が下がってくると境目が目立つことがあります。
また、金属アレルギーのリスクがゼロではありません。

詰め物・被せ物の選び方のポイント
詰め物や被せ物を選ぶ際には、以下のポイントを総合的に考慮した上で選択するのがおすすめです。
見た目の美しさ(審美性)
前歯など目立つ部分では、白く自然な素材を選ぶことで仕上がりが美しくなります。
一方、奥歯など目に見えにくい部分では、強度やコスト面を重視する方もいらっしゃいます。
素材の強度・耐久性
歯ぎしりや強い噛みしめの習慣がある方は、割れにくく摩耗しにくい素材を選ぶ必要があります。
ジルコニアやメタルボンドなどは強度が高いですが、相応に費用が高くなる傾向があります。
金属アレルギーのリスク
金属アレルギーがある方は、メタルフリー(セラミックやジルコニアなどの非金属)の素材を検討することが望ましいです。
金パラや金合金でもアレルギーを引き起こしにくいとされていますが、事前のパッチテストが必要になる場合もあります。
費用面・保険の適用範囲
保険が適用される素材であればコストを抑えられますが、見た目や耐久性の面では自由診療と比べると劣ることがあります。
自由診療は高額になることがありますが、仕上がりや耐久性をより重視する場合に選択されます。
メンテナンスのしやすさ
詰め物・被せ物は一度装着して終わりではなく、定期的なメンテナンスが重要です。
素材によっては表面に汚れや歯垢がつきにくいものもあり、二次虫歯リスクを下げられます。
定期検診で歯科医師・歯科衛生士によるチェックを受けることも忘れずに行いましょう。
虫歯治療なら山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
歯の詰め物・被せ物は、虫歯や外傷などで歯を失った部分を補い、機能と美しさを取り戻すために重要な治療です。
保険診療と自由診療、それぞれにメリット・デメリットがありますので、大切なのは、ご自身のライフスタイルや審美性へのこだわり、費用面などを総合的に考慮し、歯科医師と相談しながら最適な選択をすることです。
保険診療:費用は安めだが審美性や耐久性に限界がある素材が多い
自由診療:費用は高いが、見た目・耐久性に期待でき、全体的にクオリティが高い
また、どの素材を選んだ場合でも、治療後のメンテナンスを継続して行うことがとても重要です。
山梨県甲府市の山浦歯科医院では、主に自由診療を中心として、長期的に使える素材を使って治療を実施しています。
もし詰め物や被せ物について不安や疑問点があれば、当院にぜひ一度ご相談ください。