インプラント保証は必要?保証の必要性・種類・期間について現役歯科医師が解説
- 山浦 泰明
- 4月29日
- 読了時間: 7分

インプラント治療は、失われた歯を補う治療法として高い機能性や見た目の美しさがありますが、保険適用外で費用が高額になりやすいことから、治療後のトラブルややり直し費用などを心配される方も少なくありません。
そこで注目されるのがインプラント治療時の「インプラント保証」ですが、しかし、「そもそも保証って本当に必要なの?」「どのような条件や期間で保証されるの?」と疑問を抱かれる方も多いでしょう。
そこで本記事では、山梨県甲府市にある山浦歯科医院の現役歯科医師が、インプラント保証の仕組みや必要性、保証を受けるための条件・期間、そしてインプラント保証をつける際のなどをわかりやすく解説します。
治療を検討されている方や、既にインプラントを入れていてメンテナンス方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント保証とは?
インプラント保証とは、インプラント治療後にトラブルが起きた場合、一定の条件のもとで再治療や修復などを補償する制度のことを指します。
インプラントは外科的な手術を伴い、治療費用も高額になりやすいため、万が一のトラブルに備える意味で多くの歯科医院が保証制度を設けています。
一般的には以下のような内容が含まれています。
インプラント体(フィクスチャー)が脱落・破損した場合の再手術費用
アバットメント(インプラントに装着する部品)や上部構造(被せ物)が破損した場合の修理費用
インプラント周囲炎などによるインプラント体の喪失に対する保証
ただし、保証期間内であっても、適用条件に合致しなかったり、患者さん自身のケア不足などが原因でトラブルが生じた場合には保証が受けられないこともあります。
また、保証期間や保証内容などは歯科医院や加入する会社によって異なります。
インプラント保証は2種類ある
インプラント保証は、大きくわけて歯科医院や提携の機関が用意している有償保証と、インプラントメーカー側で用意している無償保証の2種類があります。
有償保証(歯科医院保証) | 無償保証(メーカー保証) | |
---|---|---|
保証主体 | 治療を行った歯科医院 | インプラントメーカー |
対象範囲 | 脱落・炎症など治療後のトラブル | 製品自体の欠陥 |
保証期間 | 10年(保証会社の規定による) | 不明 |
保証適用条件 | 定期メンテナンスを受けること、禁煙等の指導遵守 | 製品自体の不良が明らかな場合 |
内容 | 再治療費用全般(金額上限あり) | 製品交換のみ |
引っ越し・転院時の継続 | 認定歯科医院で継続可能 | 同一歯科医院のみ |
一般的な「インプラント保証」というと、前者の有償保証を指す場合がほとんどです。
こちらは有償である分、保証が長期的かつ手厚い内容となっており、転居・転院時の保証にも保証を継続することができます。
インプラント保証の保証期間は5~10年
保証対象部位 | 一般的な保証期間 |
---|---|
インプラント体(人工歯根) | 5〜10年 |
アバットメント(連結部) | 5〜10年 |
上部構造(人工歯) | 5年 |
インプラントの保証期間は、歯科医院や使用するインプラントメーカーによって異なりますが、一般的にインプラント体やアバットメントは5~10年、上部構造は5年程度の保証を設定している場合が多いです。
インプラント保証の適用条件
定期検診への来院
ほとんどの保証制度で、3~6か月に1度の定期検診を受けることが義務付けられています。
定期検診では、インプラント周囲の歯ぐきの状態や咬み合わせ、清掃状態などをチェックし、必要に応じてクリーニングや調整を行います。
定期検診は口腔トラブルの早期発見や早期対処につながるため、患者さんにとっても大きなメリットがあります。
適切なホームケア
インプラントは人工歯根であるものの、周囲の歯ぐきや骨は天然の組織です。
インプラント周囲炎を予防するためには、天然歯と同様に毎日のブラッシングやフロス・歯間ブラシの使用が欠かせません。
ホームケアがおろそかになると、トラブルが発生しても保証が適用されない場合があるため注意が必要です。
医師の指示に従った生活習慣の改善
歯科医師から喫煙習慣の改善や食生活の見直しを提案された場合、それを守らないと保証の適用外になってしまうこともあります。
特に喫煙は歯ぐきの血行不良や免疫力低下を引き起こし、インプラント周囲炎のリスクを高めます。
保証対象外となるケース
保証制度があっても、以下のようなケースでは保証対象外となる場合があります。
定期的なメンテナンスを受けていない場合
歯科医師の指示に従わなかった場合(例:禁煙指導を守らなかった)
事故や外傷、極端な力が加わったことによる破損
他の歯科医院での治療や修理を受けた場合
自然災害や不可抗力による損傷

有償のインプラント保証が必要な理由
無償の保証が用意されているのに、わざわざ有償のインプラント保証をつける必要があるのかと疑問に思う方も多いかもしれませんが、結論からいうと有償でもインプラントの保証はつけたほうがよいと考えます。
以下の3つがその理由です。
1. インプラントは長期間使うもの
インプラント治療は、治療後10年、20年と長期間使用することを前提に設計されていますが、トラブルが絶対に起きないとは限りません。
特に長期間経過すると、インプラントの破損やゆるみ、周囲組織の炎症(インプラント周囲炎)などが起こるリスクがあります。
こうした予期せぬトラブルに備えるため、保証制度があると安心して治療を受けることができます。
万が一再治療が必要になった場合も、経済的負担を最小限に抑えられるため、患者さん自身の安心感にもつながります。
2. 再治療時の経済的負担を軽減するため
インプラント治療は保険適用外のため、再治療となると数万円~数十万円という高額な費用が再び必要になります。
保証がない場合、突然の出費が経済的な大きな負担になるでしょう。
一方で保証に加入していれば、保証期間内のトラブルに対して再治療費用の一部または全額がカバーされるため、想定外の経済的負担を回避できます。
特に複数のインプラントを使用している方にとっては、保証加入のメリットは非常に大きいと言えます。
3. メンテナンス習慣の促進
多くの歯科医院では、インプラント保証の適用条件として「定期的なメンテナンス受診」や「適切なセルフケア」を必須としています。
メンテナンスを続けることでインプラントの寿命が延び、トラブルを未然に防ぐことが可能になるだけでなく、万が一トラブルが発生した場合でも、早期に発見して対処できます。
保証という形で定期的なケアを習慣づけることは、インプラントを長期間使う上で非常に効果的です。
インプラント保証に加入する際に確認すること
とはいえ、インプラント保証は有償ですので、加入をする前には、特に以下のポイントについて確認しておくことをおすすめします。
保証範囲
インプラント治療を受ける際にまず確認しておきたいのが、保証の対象範囲です。
具体的には、インプラント本体(フィクスチャー)だけなのか、それとも上部構造(被せ物)や周囲組織のトラブルまでカバーされるのかが重要なポイントになります。
また、再治療や再手術時にかかる技術料や材料費まで含まれるのか、あるいはレントゲン撮影や型取りといった検査費用が補償されるのかどうかも医院によって異なります。
治療後に予期せぬ出費が生じないよう、事前に細かい部分までしっかりと確認しておきましょう。
保証対象の費用
保証期間内であっても、全ての費用が無料なのか、一部自己負担が発生するのかは医院によって異なります。
例えば、技術料は無料でも、材料費や診察費が必要になるケースもあります。
また、レントゲンやCT撮影などの検査費用が別途かかる場合もあるため、具体的にどの範囲まで負担してもらえるのかを確認しましょう。
再治療時の費用に関しては曖昧なまなにせず、治療前の段階でしっかりと説明を聞くことが大切です。
転居・転院時の保証継続
インプラント治療は長期にわたるメンテナンスが必要なため、引っ越しや転職などで通院先を変更する可能性も考えておきたいところです。
医院独自の保証制度の場合、転院すると保証が無効になってしまうケースがあります。
一方で、メーカーの大手の歯科グループや複数の医院で統一した保証システムを導入している場合は、転院先でも継続して保証を受けられる可能性があります。
引っ越しなどが近い将来に見込まれる方は、契約前に「全国対応」や「グループ内の引き継ぎ」に関する仕組みの有無を確認すると安心です。
インプラント10年保証に対応する山梨県甲府市の「山浦歯科医院」
山梨県甲府市の山浦歯科医院では、全国共通の認定歯科医院でのみ導入できるガイドデント社の10年インプラント保証を用意しています。
こちらはインプラント体・上部構造ともに10年間保証があり、認定歯科医院からの転院であれば保証を継続することも可能です。
当院では県内でも最高水準の機材を揃え、世界基準の高品質なインプラント治療を実施しております。
もし甲府市周辺でインプラント治療にお悩みの方、また転居・転院で保証が継続できるのか不安な方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※保証の適用には条件がありますので、詳細は当院までお問い合わせください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個々の症状や治療については必ず歯科医師に相談し、適切な診断や治療を受けてください。