オッセオインテグレーションの広がり
スウェーデンのブローネマルク博士(Per-Ingvar Brånemark)がオッセオインテグレーションの概念を発表したのは1965年です。
オッセオインテグレーションとはチタンなどの生体材料で作られたインプラント体が、骨と直接結合する現象であり、この年、彼はそれを応用してインプラント治療に成功しました。
この臨床結果をもとにオッセオインテグレーションの概念が広がり、1970年代後半から1980年代にかけて、インプラント治療として広く使用され始めました。
この発見がインプラント治療の発展を大きく推進し、現代のインプラント治療の基盤を築くきっかけとなりました。
(ブローネマルク博士が最初に行ったインプラント治療は驚異的な成果を収めており、この最初のインプラントは、40年以上にわたり問題なく機能し続けていました。最初のインプラント患者であった方は、すでに高齢で亡くなられています。
しかし、彼のインプラントは亡くなるまで約40年以上も機能し続けました。
このケースは、インプラント治療の長期的な成功を示す重要な実例とされ、インプラントの耐久性や信頼性を証明するものとして、現在でも歯科医療の分野で語り継がれています。)
現代のインプラント
現代の「歯根タイプ」のインプラント、つまり自然な歯の根の形状に近い形状を持つスクリュータイプのインプラントが広く使われ始めたのは、1980年代から1990年代にかけてです。
ブローネマルク博士が1965年に発表した最初のインプラントは、円柱状のチタン製インプラントでしたが、当初はシンプルな形状で、現在のようなアバットメントとの接続部分の工夫はまだありませんでした。
その後、研究と技術の進歩により、インプラントとアバットメントをしっかりと接続するデザインや、インプラント体自体が歯根により近い形状を持つものが開発されました。
1990年代にかけては、インプラントメーカー各社がそれぞれの設計でスクリュータイプ(ねじ込み式)のインプラントを改良し、表面性状の改良によってオッセオインテグレーションがさらに安定するようになりました。
それと時を同じくし1990年代に世界中でインプラント治療が大きく普及していきました。
特に、アメリカやヨーロッパを中心に広がり、現在では日本を含むアジア地域でも標準的な治療法として認知されています。
また、インプラント体とアバットメントの接続部分の技術が進化し、現在のような「内部接続型」や「コニカルコネクション」などのデザインも登場しました。
これらの改良により、歯根タイプのインプラントが自然な咬合力の分散や審美性の向上に寄与するようになり、世界中で主流となる現在の形状が確立されました。